今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。
20年も前の「破門処分」を変更でざわつき
組織を脱退後にYouTuberになっていた六代目山口組系組織傘下の元組員さんの「絶縁」が話題になっていますね。
この方は、20年以上も前にカタギになっていて、もともとは破門されていたそうです。それが今年3月に突然「絶縁」されたので、理由について臆測が流れているんですね。「破門」処分が「絶縁」処分に変わること自体は、多くはないですが、まあありますね。
有名なところでは、1997年の山口組若頭射殺事件ですね。傘下の組員に射殺を指示したとされる中野会・中野太郎会長は、最初は破門でしたが、流れ弾が当たった無関係のカタギさんが亡くなられたことで絶縁処分を受けています。そのくらい重いことなんですよ。
話がそれましたが、3月25日付のニュースサイト「FRIDAYデジタル」には「絶縁状」が掲載されていたものの、その理由が書かれていません。昔なら「鬼畜にもとる所業」とか書かれていて味わい深かったのですが、今はそういうのもないですね。
この件について、記事では「組についてYouTubeで情報発信することが問題視されたのではないか」としています。私もときどき拝見してましたけど、「組について」の言及はない気がしますし、あったらそれこそ炎上でしょう。
また、記事には「チャンネル登録者数も1万人を超える人気ぶり」ともありますが、似たような経歴の懲役太郎さんは約43万人ですから、そんなにすごい「人気」なのかなあと思いました。
あと、「最近のヤクザ業界ではしばしばYouTubeが議論の的になっていて、組織の内情について配信するユーチューバーを問題視する向きが確かにある。回ってくる通達文でも、特定のユーチューバーの名前を出した上で『まったくのデマである』『信じてはいけない』と訂正することが多くなってきた」そうですが、これってYouTubeに限ったことではないんですよ。
昔は普通にコンビニや書店で売られてた「実話雑誌」の記事や、Vシネマのテーマ(〇〇抗争とか)なんかもヤクザの間では話題になってました。
オットのところには「この記事はケシカラン。〇〇は適当なことしゃべりやがって」とか「このVシネの事件はウチの組の話だろう。勝手に使いやがって」とか怒ってくる人が結構いたんです。
オットは「いや俺に言われてもわからんから、作ってる会社に聞いたら?」などと言ってました。
だいぶ後になって、編集者さんから「最近は『現役』さんからクレーム電話が来なくなりました」と聞きました。クレームの何件かはオットに言われたせいかもしれません。その節はすみませんでした。
ヤクザの「絶縁」と「破門」の違い
「ところで、ヤクザの『絶縁』と『破門』て、どう違うんですか?」
編集者さんから聞かれました。やっぱりカタギさんには遠い世界のことですね。
ヤクザ社会には、もともと厳しい独自の法律、すなわち「掟」があります。このあたりは、故・宮崎学さんが、ご著書『法と掟と―頼りにできるのは、「俺」と「俺たち」だけだ!』(洋泉社、2005年)などで詳しく書かれていました。
かつてはこの「掟」に従っていれば、ヤクザもまあまあ暮らしていけました。Vシネマに出てくるような「ハイブランドの黒のスーツ・金時計・外車」みたいな人はむしろ少数派なんですが、妻子やカノジョを養う程度のシノギはあったんです。夜の街の飲食店経営や、飲食店へのおしぼりや植木のリース業のほか不動産、貸金業などいろいろでしたね。
今は「暴力団員」というだけで、こうした合法的なシノギはできなくなり、クスリ(違法薬物)やオレオレ詐欺に手を出すしかないんですが、非合法のシノギに手を出したら「即・処罰」となるのも珍しくなくなりました。
処罰には大きく分けて、「絶縁」と「破門」があります。
最も重い処分が「絶縁」で、ヤクザ社会には戻れないものです。友好団体にはハガキやファクスで絶縁した組員の所属や名前などを送るので、かばうようなことをしたら、その組織と敵対することになります。
これに対して「破門」は、まだ復帰の余地があるものです。とはいえ、すぐにはムリですし、絶縁と同じで破門したことはハガキやファクスで友好団体に通知されますので、足を洗うしかないのですが、難しいですよね。カタギとして生きていけなくてヤクザになったのですから、路頭に迷うことも多いようです。
ちなみに「偽装破門」もあります。ヤクザはクルマの運転もできない(免許も取れない、車も買えない)ので、いったんやめたことにして、「周辺者」として組に貢献してもらうのですが、これだと警察も把握しにくいと思いますよ。