宝塚歌劇団の公式サイトに掲載された著作権に関する禁止事項をめぐり、“ヅカオタ”から運営に批判が相次ぐ事態となっている。
運営は同サイトの「よくある質問」コーナーにて、「出演者のイラストを描きました。SNSに投稿してもいいですか?」との質問に回答。
二次創作されたイラストの投稿は“ファンアート”と呼ばれ、長年、ファンの間で楽しまれてきたが、運営は「イラスト化に関しても肖像権やパブリシティ権の侵害にあたる可能性がございます」「個人様が描かれたイラストをご本人様が所持されることに関しての制限はございませんが、個人様のホームページやブログでの掲載、Twitter、Instagram等のSNSを含むインターネット上への投稿、SNS等のアイコンやヘッダーでの利用、印刷物への掲載、その他すべての許可のない掲載はご遠慮くださいますようお願いいたします」としている。
加えて、「宝塚歌劇団の出演者の写真(舞台写真およびそれ以外もすべて含みます)、公演チラシ・ポスター、映像、芸名、台詞・歌詞、衣装、音源、小道具・舞台装置、各種ロゴマーク等の著作権・肖像権・パブリシティ権は、宝塚歌劇団やその他の権利者に属します」とした上で、「商用利用・個人利用に限らず、これら宝塚歌劇団が権利を有する著作物等や出演者の肖像を流用することはお断りして」いることを明記。
文面通り受け取ると、ファンアートや公演のチラシ・ポスターの写真のみならず、タカラジェンヌの「芸名」すらSNSに投稿してはいけないということのようだが、ネット上では「勝手に名入れグッズ作ってる人とか、本人が言ってもないセリフをタカラジェンヌに言わせる漫画を描いてる人とかいて不快だったから、当然だと思う」「こうした質問が投げかけられた場合、企業側はリスクヘッジのためにノーと言わざるを得ないから、何も間違っていない」と理解を示すファンも。
その一方で、「SNSの投稿禁止とか、時代に逆行しすぎ。運営はファンのSNSを見たことがないんじゃないの?」「この書き方はあまりにも乱暴。ファンをなんだと思ってるんだろう」と批判も多く、炎上状態となっている。
また、「芸名も禁止なら」と、ファンの間だけで通じるような愛称や隠語を投稿するネットユーザーが増加しており、閉鎖的なムードが高まっている印象だ。
ただし、オフィシャルグッズを販売する「キャトルレーヴ」の公式Twitterは、過去に役者の肖像をプリントしたアクリルカードのスナップショット写真をアップしつつ、「アクリルカードと撮った記念写真は、ぜひシェアしてお楽しみください♪」「アクリルカードと撮影した記念写真は、SNSへ投稿くださって大丈夫です」と投稿していた。
加えて、「よくある質問」の「上演中以外の舞台や緞帳を撮影してもいいですか?またその写真をSNSに投稿してもいいですか?」との質問には、「舞台セット(ステージ面)単体でのSNSへの掲載は、会場を問わずご遠慮ください。主たる被写体としてお客様ご自身が写っていらっしゃり、その背景としてステージ面が写り込んでいる場合は、SNS等への掲載をお断りはしておりません」とあり、「芸名はダメでも、公式グッズの投稿はOKなの?」「自分さえ写り込んでいれば、舞台セットの写真はOKってこと?」と、さらなる混乱を招いているようだ。
なお、二次創作物を扱う同人誌関係者の間では、良し悪しは別として、「ファンアートに関しては、公式はノーと言わざるを得ないため、決して問い合わせてはいけない」ということが半ば常識化している。そのため、質問を送った人物を責めるような声も散見される。
ファンを騒然とさせている宝塚公式の「お断り」事項。この様子では、タカラジェンヌの芸名がSNSで“トレンド入り”する機会は、この先ないかもしれない。