• 日. 12月 22nd, 2024

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明日あなたが被害にあうかもしれない

市川猿之助の性加害を報道した「女性セブン」、ジャニー氏の性加害は隠蔽の謎

下世話、醜聞、スキャンダル――。長く女性の“欲望”に応えてきた女性週刊誌を、伝説のスキャンダル雑誌「噂の真相」の元デスク神林広恵が、ぶった斬る!

 凄まじい衝撃度だった。市川猿之助の両親が死亡し、猿之助が意識朦朧で発見されたとの一報が。猿之助が両親を殺害し、自分も自殺未遂という“無理心中”だと、なぜかとっさに思ってしまった。現時点でも情報が錯綜している。今後の警察捜査を待つしかない。

第651回(5/18〜5/23発売号より)
1位「歌舞伎激震の性被害! 市川猿之助 コロナ拡散濃厚セクハラ」(「女性セブン」6月1日号)
2位「激震スクープ! 市川猿之助 詫びたかった“遺書の宛名”」(「週刊女性」6月6日号)
同2位「市川猿之助 暴走悲劇に『実父介護8年』『大名跡の呪縛』」(「女性自身」6月6日号)
参照「平野紫耀 米国進出で頼る『辞めジャニ2人』」(「女性自身」6月6日号)
3位「追い込まれたジャニーズ事務所の“禁じ手”」(「週刊女性」6月6日号)

 ということで衝撃の市川猿之助事件だが、その発端、原因と推測されているのが「女性セブン」のスクープ記事だ。時あたかもジャニーズ事務所創業者である故・ジャニー喜多川氏の性加害問題で藤島ジュリー景子社長が謝罪動画を公開したばかり。そんなタイムリーなタイミングで飛び出したのが、「セブン」による歌舞伎界の実力者で人気者の市川猿之助の性加害、セクハラ、パワハラ報道だった。

 記事には、猿之助が共演する役者などをホテルに誘い、“隣に寝なさい”と指示した後、布団の中に潜り込んでキスしたり体を弄んだりといった“深刻な接触”があったとの関係者の証言が記載されている。そして猿之助は澤瀉屋の座頭だ。

「師匠と弟子、座長と役者・裏方の関係は絶対で、無言の圧力のなかで、間違っても口答えしたりすることはできません」「拒否したらどうなるのか。舞台で役を与えられなかったり、無視されたり。スタッフなら仕事を取り上げられたり」(「セブン」記事より)

 絶対的立場の猿之助による性加害、ハラスメント。歌舞伎界が旧態依然とした世界だとはいえ、今のご時世で猿之助の行為は許されるものではない。

 が、その後起こった衝撃の事態はご存じの通り。「セブン」発売当日、意識混濁とした猿之助が自宅で発見され、両親が亡くなったことも発覚したのだ。そして案の定、一部で巻き起こったのが「セブン」への批判だ。もちろん、それはお門違いというほかない。

 もし猿之助の性加害が見過ごされれば、まさにジャニーズ性加害問題と一緒になってしまう。確かに「セブン」は、ジャニーズの性加害については隠蔽し、擁護までしている。そのことは批判されるべきだが、切り離して考えたい。今回の報道は週刊誌として当然のものだから。

 次週、「セブン」がどんな論調、切り口で猿之助事件を描くのか、注視したい。

猿之助事件、「週刊女性」と「女性自身」の対照的な報道

 そして猿之助事件を受け、「週刊女性」「女性自身」もこれを特集している。いくつか興味深い記述などがあるので、紹介したい。

 まずは「週女」。かなり踏み込んでいる。まず事件の原因としてセクハラ、パワハラ報道で「自身のプライベートを明かされることを悲観した」と指摘、今後の進展についてもこう記している。

「経緯によっては刑事事件に発展して身柄が拘束されることも考えられますから、舞台復帰の見通しはまったく立っていません」(梨園関係者のコメント)

 それだけでなく、実父の“段四郎”でなく伯父の“猿之助”を襲名したことで、実父や右團次(元市川右近)などベテラン勢との軋轢が生じていたことを指摘。また、ファンでさえも猿之助の配役起用について問題視していたことが記されている。

「猿之助さんのお気に入りの役者がいい役につくと思ったら、急に舞台に出なくなったりと、私情で選んでいるのが露骨にわかりましたよ」(ファンの女性のコメント)

 そして猿之助が残したメッセージには“愛するM”と書かれていたこと、Mは猿之助と共演が多く、仲よくしていた役者だとも明かすのだ。

 だが一方の「自身」は、トーンががらりと変わる。性加害について同情的、というか“言い訳”めいたエピソードを羅列している。

「とても繊細な性格」「1〜2年前から睡眠薬を手放せなくなった」「悩みがあった」「心身ともに疲弊してしまったことで、ひょっとしたら現実と物語の境界線が薄れてしまっていたのかもしれません」などなど。また父・段四郎が寝たきり生活で母親が老老介護をする状態たったこと、そのため猿之助も「金銭面に加え多忙の合間を縫って両親のサポートにも最大限努めてきた」と猿之助の窮状を指摘するのだ。

 なるほどね。「自身」はいまだ、ジャニーズの性加害について一切触れていない。性加害を擁護するという一貫性はあるのかも。ちなみに今週の「自身」表紙はKing & Princeの高橋海人、そして事務所を退所した平野紫耀に関する“どーでもいい”記事を掲載。まるでジャニーズの性加害問題などなかったかのようだ。

「週刊女性」のジャニーズ擁護と責任転嫁

 そんな中、今週になってやっとジャニーズ性加害問題を取り上げたのが「週刊女性」だ。でも唖然呆然。この後に及んでジャニーズ擁護を展開しているから。その内容はジャニー喜多川氏を“類いまれな感性”と持ち上げ、ジャニー喜多川氏と“ジャニーズらしさ”を切り離して考えるのは難しいと指摘。その上でこう分析する。

「そういった特殊性のある芸能事務所なのに、一般企業の枠で考えてしまうのは無理があるのではないでしょうか」

 はあ!? びっくりだ。しかもこの分析、ジャニーズに造詣の深いというライター・霜田明寛氏によるコメント。外部にコメントさせ、擁護し、ついでに責任転換か!? えぐすぎる。

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