覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける瑠壬(るみ)さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。
岡山刑務所の最高齢受刑者は96歳
まだ瑠壬の周囲はコロナの人も結構いてますが、世間の気分はもう「アフターコロナ」ですね。お祭りもどんどん復活して、お祭り好きの瑠壬はうれしいですが、コロナは怖いし……。
微妙なところですが、ムショも運動会やお花見なんかの行事を再開してるようで、岡山刑務所の「2年ぶりの運動会」はネットニュースになってました。
ちゅうか、ニュースの裏テーマは「ムショの高齢化」でした。岡山刑の懲役(受刑者)433人の平均年齢は54.9歳、3割の129人が65歳以上で、最高齢はナント96歳やそうです。瑠壬の頃は、さすがに100歳目前はいてなかったと思いますね。
高齢化に合わせて、定番の綱引きとかかけっこのほかに「魚釣りゲーム」や、「卓球ラケットにボールをのせて走るリレー」とかの競技もあるとか。懲役にとって行事はめっちゃ重要なので、お年寄りでもできる種目は必須です。
ちなみに岡山刑務所は、懲役8年以上で犯罪傾向の進んでいない受刑者を収容する施設で、収容分類級でいうと「LA級」です。8年以上の刑期はL(long)で、犯罪傾向の進んでいない――つまり初めてムショに入る人はAと分類されます。
あと岡山刑務所には、有名人はあんまりいてないようですね。同じLA級の千葉刑務所は、綾野剛さん主演の映画『日本で一番悪い奴ら』のモデルになった元北海道警のイナバさんや、あとで無罪になった布川事件のお2人、オウムや左翼関係者など、いろんな人がいてます。
有名人がいるからいいってもんでもないですけどね。
「悪い子はいない」――保護司さんのインタビューに共感
「96歳の懲役」について、ちらっと書くつもりが長くなってしまいましたが、本題です。
ネットニュースで町田市の地区保護司会副会長・鈴木幸夫さんが、「悪い子はいない。社会や大人がそうさせている」と、「東京新聞」のインタビューに答えている記事を見つけました。ホンマにそれやなと思います。
96歳の懲役氏も、もともとは子どもです。町田市の保護司さんのような人に出会えていれば、違った人生もあったかもしれません。鈴木さんは元農協職員さんで、今は農業をしながら保護司さんをされてるそうです。
「一人一人をみると、みんな素直で良い子。家庭や環境に問題がある場合が多く、特に悪い交友関係があると、だめになってしまう」
「社会や大人が受け入れ、目が届くようにすれば、もっと犯罪は減らせる」
もう鈴木さんの言葉ぜんぶが瑠壬の心に染みましたね。保護司さんが全員、鈴木さんみたいやったらええのに。瑠壬は弟子入りしたいくらいです。
鈴木さんによると、やっぱり今も昔も窃盗事件が多いそう。クスリ(違法薬物)の犯罪も増えてるようですが、万引きとか普通にやりますからね。保護観察中に再逮捕される子もいてて、獄中(なか)からおわびの手紙が来たり、カノジョができた、とかのうれしい報告もあるそうです。
もうほんと尊いお仕事ですね、保護司さん。
「留置所で気づいてももう遅いよ」ラッパー・SILENT KILLA JOINTさんのツイートに思うこと
少年犯罪については、ムショ経験のあるラッパー・SILENT KILLA JOINTさんのツイートが話題でしたね。
「闇バイトはやめとけ 銀座強盗を成人の初犯で逮捕された場合にこれから待ってるのは 取調べ 裁判 刑務官から罵声を浴びせられ 狭い部屋で集団生活が始まり 部屋の中は縦社会で 殴りかかれば出所が伸び 6年前後の懲役を終えシャバ 親からの絶縁 賠償責任 手元に残る金なんてない 君らは捨て駒なんや」
「死に物狂いで犯罪を犯すなら 夢を掴む努力を何故しない サッカー選手になれなくてももっと身近に夢があるはず 家族を幸せにする 友達を幸せにする 彼女を幸せにする 大切な人の幸せな顔を見て幸せになれない人間はいないって 留置所で気づいてももう遅いよ」
保護司の鈴木さんみたいな人はともかく、えらそうなオッサンに説教されるより、ラップは説得力あると思いました。
同じツイートで、「拡声器を耳に当てられて、『お前は犯罪者やからな普通に過ごせると思うなよ』と怒鳴られてる人を大阪刑務所で見ました」とも書いてました。
鼓膜が破れない限り、痕に残らない暴行として、男子刑務所ではありがちです。顔にオシッコやツバをかけたりするのと同じ。そんなんで更生しようと思えるわけがないです。
「悪ガキの更生なんかムリー」とかゆうてる人は、明日は被害者かもしれませんよ。