4月14日から放送を開始した、テレビアニメ『ポケットモンスター』(テレビ東京系、以下『アニポケ』)新シリーズ。ダブル主人公の少女・リコと少年・ロイによる新たな旅がスタートし、1997年4月の第1シリーズ放送開始から主人公として絶大な人気を誇っていたサトシからバトンを引き継ぐことに。25年にわたってサトシの声を務めてきた声優・松本梨香も“卒業”となった。そんな本作について、業界関係者は、一部声優に関する「コネキャスティング疑惑」を指摘する。
最新ゲームソフト『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』に登場するニャオハ、ホゲータ、クワッスの3匹をはじめとするポケモンたちと共に、リコとロイが冒険を繰り広げている今作。
リコ役は『マクロスΔ』(TOKYO MXほか)フレイア・ヴィオン役、『ウマ娘 プリティーダービー』(同)アグネスデジタル役などで知られる鈴木みのりが演じており、ロイ役は『イナズマイレブンGO』(テレビ東京系)松風天馬役や『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』(TBS系)クーデリア役として活躍した寺崎裕香が務めている。
一方で、サトシの相棒であるピカチュウを担当してきた大谷育江が、新キャラとなる「戦うポケモン博士」フリード(八代拓)の相棒であるキャプテンピカチュウ役として続投。また、ロケット団・ムサシ役を務めていた林原めぐみがリコの相棒ポケモン・ニャオハ、前作でもう1人の主人公として活躍したゴウ役を務めた山下大輝がホゲータ、これまで数多くのポケモンの声を演じてきた浪川大輔がクワッス役を担当しており、長年『アニポケ』を支えてきた声優陣が引き続き参加。ネット上では往年のシリーズファンから喜びの声が上がった。
とはいえ、新シリーズスタートからまだ2カ月と日が浅く、リコとロイがサトシのように主人公として世間に周知されるには、まだまだ時間がかかりそうだ。なお、今作のキャスティングについて、業界関係者は以下のように分析する。
「アニメ本編を見る限り、あの歴史ある『アニポケ』の主人公役を継ぐくらいですから、鈴木、寺崎のどちらもそつなく演技ができる声優だと感じました。おそらくリコとロイ役はオーディションで決まったのでしょう。起用にあたっては、“事務所忖度”のようなものは感じられません。唯一気になるのは、続投した実力派声優たちの中に、演技力が乏しいと評価されがちの浪川がいることでしょうか」(声優業界関係者)
なお、この配役に関しては、音響監督を務める三間雅文氏も深く関係しているようだ。
「彼は、お気に入りの声優をプッシュすることで有名。声優業界の間では『三間組』と呼ばれ、そのメンツは、山寺宏一、大谷、林原といった超実力派と、三木眞一郎、浪川ら、三間氏と趣味やプライベートを共にする面々を集めた2つに分かれています。後者は、三間氏と三木が企画しているレーシングチーム『VART』に参加している声優たちがほとんど。もちろんレースそのものに興味を持った声優もいるとは思いますが、音響監督に『チームに入らないか?』と誘われたら、断ることは難しいと思いますよ。なぜなら、キャスティング権の一部を持っているのは音響監督ですから。こういった、実力以外のコネクションで長く仕事を取っている代表格とされるのが浪川といわれています」(同)
ちなみに、この「VART」の活動をめぐっては、苦言も聞こえてくる。
「部外者からすると、カーレースは素人には想像できないほどの危険を伴いますから、仕事の付き合いで行わないほうがいいのでは……と心配になります。実際、大事には至らなかったものの、とある声優が『VART』に参加し、事故を起こしたらしいですし……。現在は活動を終了しているようですが、三間氏は何やら新たな車にまつわる企画を考えているようですよ」(同)
声優が仕事を勝ち取るためには、実力だけではなく、時として趣味や飲みなどプライベートでの“付き合い”も必要ということなのか。「声優戦国時代」といわれる昨今、トップで活躍し続けるためには、声優としての技量はもちろん、コミュニケーション能力も必要なのかもしれないが……。