2023年4月期の連続ドラマ(民放4局、午後8~10時台)が続々と最終回を迎えた。全話平均視聴率ランキングでトップになったのは、世帯平均12.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)を記録した福山雅治主演『ラストマン-全盲の捜査官-』(TBS系)だった。
同ドラマは、人気脚本家・黒岩勉氏が手掛けるオリジナルストーリーで、全盲のFBI特別捜査官・皆実広見(福山)と警察庁の刑事・護道心太朗(大泉洋)がバディを組む刑事ドラマ。
初回から世帯平均14.7%と好発進し、自己最低は第3話の12.0%。「日曜劇場」枠において、全話平均で12%を超えたのは、昨年4月期の『マイファミリー』以来1年ぶりで、同作も黒岩氏の脚本であった。
※以下、ドラマのネタバレを含みます。
また、同作は“泉きゅん”こと護道泉役を演じたKing&Prince・永瀬廉のアクションシーンがファンの間で話題に。
第4話では、痴漢役を演じた芸人・岡野陽一を華麗に投げ飛ばしていたほか、第7話では、暴力団員役の役者に、藤波辰爾のオリジナル技として知られる「ドラゴン・スクリュー」をキメる場面も。「廉くんのアクション、かっこよすぎる」と食いつく視聴者が相次いだ。
井ノ原快彦『特捜9』、初の1ケタ落ちも……ジャニーズドラマ首位
2位は、20th Century・井ノ原快彦が主演を務める刑事ドラマ『特捜9 season6』(テレビ朝日系)。全話平均は9.9%で、シリーズ史上初めて1ケタ台に落ち込んでしまったものの、今期のジャニーズ主演ドラマの中ではトップとなった。
井ノ原演じる警視庁捜査一課特別捜査班の主任・浅輪直樹と、その仲間たちが難事件に挑む同シリーズ。今期、『ペンディングトレイン-8時23分、明日君と』(TBS系)など複数のドラマを掛け持ちしていた山田裕貴や、今シーズンからレギュラーに復帰した津田寛治は出番が極端に少なかったが、最終回はおなじみのメンバーが集結する大団円に。
一方、今シーズンでは、浅輪夫妻が、妻・倫子(中越典子)の勤め先のアルバイト女性から“宗ちゃん”という名の乳児を預かっているという設定が何度も登場。
しかし、最後まで事件に絡むことがなかったため、「宗ちゃんって結局なんだったの?」「他人に子どもを何日も預ける非常識な母親が、一体何者なのか知りたかった」とモヤモヤした視聴者も多かったようだ。
木村拓哉『教場0』に「特別編詐欺」とブーイングも
3位は、下馬評では『ラストマン』と並んで「春ドラマの目玉」と目されていた木村拓哉主演『風間公親-教場0-』(フジテレビ系)で、全話平均は9.8%。新人刑事役として、赤楚衛二、北村匠海、白石麻衣、染谷将太、新垣結衣といった豪華俳優がリレー形式で登場した。
同作は、新人刑事の成長物語として高い評価を得ていた一方で、謎解きの部分は「ツッコミどころが満載」と話題に。
最終回は、有機化学者・清家総一郎(北大路欣也)が、娘・紗季(森カンナ)に暴力を働く夫・甘木保則(馬場徹)を殺害し、アリバイのために自ら失明する……という話であったが、視聴者から「なんで娘を離婚させなかったの?」と疑問の声が続出。
また、最終回の翌週には、1時間48分にわたって『風間公親-教場0- 特別編【刑事指導官と5人の新人刑事、その足跡を辿る】』を放送。大半が本編を再編集した映像であったため、「ただの総集編だった。時間を返してほしい」「特別編詐欺だ」とブーイングが巻き起こることに。視聴率も世帯平均5.8%と散々であった。
『だが、情熱はある』、「日曜ドラマ」枠歴代最低に
残念ながら最下位となったのは、King&Prince・高橋海人とSixTONES・森本慎太郎がダブル主演を務めた『だが、情熱はある』(日本テレビ系)で、全話平均4.1%。
同局「日曜ドラマ」枠の歴代最低は、これまで、全話平均4.4%を記録したKing&Prince・永瀬廉主演『新・信長公記~クラスメイトは戦国武将~』(昨年7月期)だったが、『だが、情熱はある』はこれを下回ってしまった。
オードリー・若林正恭と南海キャンディーズ・山里亮太の半生を描き、大きな話題となった同作だが、一方で「そもそも山ちゃんの半生に興味が持てない」と題材に難色を示す声も飛び交うことに。
ただ、放送中はTwitter上にドラマの感想が大量に寄せられ、関連ワードが続々とトレンド入り。視聴率は振るわなかったものの、視聴者の“熱量”は今期上位といえるだろう。
なお、これまでの民放GP帯のジャニーズ主演作において、歴代最低はHey!Say!JUMP・山田涼介主演『親愛なる僕へ殺意をこめて』(フジテレビ系/昨年10月期)の全話平均3.8%。『だが、情熱はある』は、間一髪で最低記録を逃れたようだ。
「水10対決」は、波瑠『わたしのお嫁くん』に軍配
ワースト2位は、同じく日テレの芳根京子主演『それってパクリじゃないですか?』で、全話平均4.2%。初回こそ6.0%とまずまずの滑り出しであったが、第2話以降で3~4%台が続いてしまった。
同ドラマは、情報漏洩の疑いをかけられた飲料メーカー“月夜野ドリンク”の開発部員・藤崎亜季(芳根)と、知的財産のプロ・北脇雅美(ジャニーズWEST・重岡大毅)がバディを組み、ライバル会社に奪われた特許を取り戻すため奮闘する物語。
裏番組では、波瑠主演『わたしのお嫁くん』(フジテレビ系)が放送。「水10対決」として視聴率が注目されたものの、『それってパクリじゃないですか?』は知的財産権をテーマにしたストーリーが地味すぎたのか、全話平均5.6%のフジに軍配が上がった。
『日曜の夜ぐらいは…』、最終回3.8%と最後まで振るわず
ワースト3は、日曜午後10時台の新設枠で放送された清野菜名主演『日曜の夜ぐらいは…』(テレビ朝日系)。人気脚本家・岡田惠和氏が手掛けた作品としては、全話平均4.7%とイマイチだった。
同作は、鬱々とした日常を送る女性3人が、一緒に買った宝くじの当選をきっかけに、カフェのオープンに向けて動き出すストーリー。単話での自己最高は、初回の世帯平均5.6%で、その後、視聴率が徐々に下降。自己最低は第9話の3.7%で、最終回も3.8%と振るわなかった。
初回が4月30日とかなり遅いスタートとなった同作は、最終回を7月2日に放送。同日の裏では、夏ドラマである坂口健太郎主演『CODE-願いの代償-』(日本テレビ系)の初回が放送されるという事態が発生していた。
テレビ局別に見ると、日テレの不調が目立っていた春ドラマ。好調だった「日曜劇場」枠では、7月16日より「キャストが豪華すぎる」と話題の『VIVANT』がスタートするが、『ラストマン』を超える反響が寄せられるだろうか。
4月期ドラマ平均視聴率ランキング(民放4局、午後8~10時台)
1位『ラストマン-全盲の捜査官-』(TBS系、日曜午後9時) 12.9%
2位『特捜9 season6』(テレビ朝日系、水曜午後9時) 9.9%
3位『風間公親-教場0-』(フジテレビ系、月曜午後9時) 9.8%
4位『ケイジとケンジ、時々ハンジ。』(テレビ朝日系、木曜午後9時) 8.2%
5位『合理的にあり得ない』(フジテレビ系、月曜午後10時) 7.8%
6位『王様に捧ぐ薬指』(TBS系、火曜午後10時) 7.0%
7位『Dr.チョコレート』(日本テレビ系、土曜午後10時) 6.7%
8位『unknown』(テレビ朝日系、火曜午後9時) 6.2%
9位『ペンディングトレイン-8時23分、明日君と』(TBS系、金曜午後10時) 6.1%
10位『わたしのお嫁くん』(フジテレビ系、水曜午後10時) 5.6%
11位『あなたがしてくれなくても』(フジテレビ系、木曜午後10時) 5.5%
12位『日曜の夜ぐらいは…』(テレビ朝日系、日曜午後10時) 4.7%
13位『それってパクリじゃないですか?』(日本テレビ系、水曜午後10時) 4.2%
14位『だが、情熱はある』(日本テレビ系、日曜午後10時30分) 4.1%
※小数点第2位以下を四捨五入。