7月9日放送の『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)、テーマは「就職先はさる軍団2 ~汗と涙の新入社員物語~ 前編」。
『ザ・ノンフィクション』あらすじ
2022年4月、群馬県草津温泉に、「日光さる軍団」による湯もみショーなどを披露するレジャースポット「草津温泉おさるの湯もみ処~おさ湯~」がオープンした。コロナ禍の厳しい状況下で攻めの決断をした村崎太郎は、かつて「反省ザル」の次郎とともに一世を風靡した猿回し師で、現在は日光さる軍団劇場やおさ湯などの施設を運営する経営者でもある。本拠地となる日光さる軍団劇場がある「おさるランド」も、同年7月に1億円かけて大幅リニューアルを行っている。
伝統芸能であり、師匠と弟子の世界である猿回しにも令和の「働き方改革」が進みつつあるようだ。従来、業務時間外の稽古を前提に猿回したちは芸を磨いていたのだが、業務時間外に稽古をしろと言えない時代になり、教育担当の「ジュニア」は芸のレベルが落ちているとも話す。
22年の新入社員は10名。そのうちの一人だった齋藤は、日光さる軍団を辞めたいとジュニアにLINEで伝えていたものの、その後、同業他社と思しき知り合いと連絡をとり、他社は日光さる軍団よりも残業代が払われにくいことを知り、辞意を撤回した。
また藤倉は、動物とショーがしたく、動物園に就職してもショーの担当者になれると限らないからと日光さる軍団に就職。部活で鍛えた和太鼓は相当な腕前だが、村崎に芸を披露する新人総見の場では出鼻をくじかれ、最後には表情がすっかりこわばってしまいと、ほろ苦いデビューとなった。
中村はロッカーの中にジュースの空き缶が無造作に放置されているなど、片付けは相当苦手なようだが、残業代の申請はしっかりしていた。家に帰ったら気が付けば朝という激務の生活で、夏には体重が入社時から10キロ以上痩せていたという。
年末年始は日光さる軍団の稼ぎ時であり、猿回したちは全国各地に散って、興行を行う。中村も千葉県・鴨川に相棒の猿・キャサリンと共に向かう。神社近くで初詣客を相手にした中村の初公演は盛況となっており、おひねりもたくさん集まっていた。
しかしその正月の繫忙期を過ぎてまもなく、中村の姿が社内から消える。ジュニアのもとには中村から長文のLINEが届き、その中には「そもそもこの仕事に向いているのかわからなくなりました」「命を扱う仕事を自分がしていいのか」「何もかも中途半端でズルい自分が嫌で大っ嫌いです」「考える時間をください」と苦悩する文言が並んでいたのだった。
▼20年放送の「就職先はさる軍団」のレビューはこちらから。
『ザ・ノンフィクション』今どきの若者は金にシビア
中村は片付けが苦手でも残業申請は怠らず、齋藤は一度辞める意思を示するものの、同業他社より日光さる軍団のほうが残業申請が通りやすいことを知り結局残ることにした。
このあたりの「金へのシビアさ」は今どきだなと思う。「新人で教えてもらっている立場だし、残業代だなんて……」みたいな遠慮はない。こういった振る舞いを「ちゃっかりしている」と取る人もいるかもしれないが、我慢に我慢を重ねた結果、後から、自分は残業代も我慢していたのに! と大爆発するくらいなら、「細かい金をもらうことで自分の中で納得感を得ておく」というのは重要なライフハックなのかもしれない。
しかしそれでも、中村は失踪してしまったのだが……。
『ザ・ノンフィクション』3年後には精悍な青年に
一方、20年に放送された前回の「就職先はさる軍団」で、新人発表会が一人うまくいかず涙にくれ村崎に激励されていた当時の新人・吉澤は、3年を経て、一人で頼もしく舞台をこなす精悍な青年になっていた。
ジュニアは「(新人たちに対して)『3年間は本当にやってくれ』って思います。じゃないとこの仕事の楽しさとか、この仕事のすごさが絶対わからないので」と力説していたが、その壁を越えた吉澤に漂う貫禄を見ると、ジュニアの言葉は間違っていないのかもしれない。中村はこの壁を越えられるのだろうか。
次回は今週の続編。地方興行に出ていた新人の猿回しの動画がネット上で拡散され、「サルへの過剰なしつけ」ではないのかと大炎上してしまう。危機を迎えた日光さる軍団はどうなるのか。そして中村は戻って来るのか。