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『VIVANT』トップも『ハヤブサ消防団』が逆転の可能性? 『転職の魔王様』はワースト入り【夏ドラマ初回視聴率ランキング】

 2023年7月期の連続ドラマ(民放4局、午後8~10時台)が続々とスタート。初回視聴率ランキングでトップになったのは、世帯平均11.5%(個人7.4%/ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)を記録した堺雅人主演の日曜劇場『VIVANT』(TBS系)だった。

 阿部寛や役所広司ら主役級のキャストをそろえ、2カ月半におよぶモンゴルロケを行ったりと、ネット上で「とにかくお金かかってそう!」と話題の同作。

 7月11日発売の「女性自身」(光文社)によれば、同枠で前クールに放送された福山雅治主演『ラストマン-全盲の捜査官-』の制作費が1話につき約5000万円だったのに対し、『VIVANT』は1億円ほどかかっている可能性があるとか。その内訳は、“1話500万円”とうわさされる堺のギャラや、キャスト・スタッフ約250人の渡航滞在費、撮影機材の運送費……などだという。

 そんなスケールの大きい同作だけに、今期の視聴率ランキング首位はTBS側も予想していただろう。ただ、『ラストマン』の初回が世帯平均視聴率14.7%で、『VIVANT』を3.2ポイントも上回っていたことを思うと、制作費が視聴率に比例するわけではない……ということもわかる。

『ハヤブサ消防団』視聴者の期待値高く『VIVANT』超えも?

 2位は、中村倫也主演の木曜ドラマ『ハヤブサ消防団』(テレビ朝日系)で、初回の世帯平均は10.5%(個人5.9%)。原作は池井戸潤氏による同名小説だが、ベテランぞろいのキャスティングや、原作本の評判がすこぶるいいこともあって、放送前から高視聴率が予想されていた。

 ジャンルは、山間の集落“ハヤブサ地区”を舞台にした“戦慄ミステリー”だが、序盤の絵面ののどかさから“ほっこりヒューマンドラマ”を想像して見始めた視聴者も少なくなかった様子。

 しかし、第1話の終盤、遺体が水面からザバーッと勢いよく飛び出すホラーめいたシーンが描かれたため、ネット上では「思ってたのと違う!」と驚きの声が続出した。

 また、「面白い」「つまらない」とネット評が二分している『VIVANT』とは違い、『ハヤブサ消防団』は「先が気になる!」という声が多く、初回で視聴者の心をガッチリつかんだように見える。期待値の高さは今期トップとみられ、この先、視聴率で『VIVANT』を超える可能性もありそうだ。

『シッコウ』の原案本が「買えない」事態?

 3位は、伊藤沙莉主演の『シッコウ!!~犬と私と執行官~』(同)。初回の世帯平均は9.6%(個人5.6%)だった。

 同ドラマは、2001年に文芸社から刊行された執行官・小川潤平氏によるドキュメント作品『執行官物語』が原案。だが、すでに絶版しているのか、主要ネット書店を探しても購入不可能な状況だ。ドラマ化した本は「売れる」ため、版元が増刷するのが通例だが、おそらく実現できない理由があるのだろう。

 ともあれ、執行官に光を当てた同ドラマは、概ね好評な様子。ただ、主演の伊藤よりも2番手の織田裕二のほうが劇中で目立っているため、ネット上では「織田裕二のほうが主演っぽい」「なぜダブル主演にしなかったのか」と疑問の声も多い。

 また、放送前の番宣時から「肌が黒すぎる」と話題になっていた織田だが、8月19日に開幕する『世界陸上』ハンガリー大会前に同ドラマをクランクアップし、直ちに観戦に向かうとの報道も。ハンガリーの夏は30度を超える猛暑日もあるため、現地でさらに日焼けする可能性は高い。

 ワースト1位は、成田凌主演『転職の魔王様』(フジテレビ系/個人3.2%)と、若村麻由美主演『この素晴らしき世界』(TBS系/個人3.0%)で、ともに世帯平均5.4%だった。

 『転職の魔王様』は、大手広告代理店を3年たたずに退職した未谷千晴(小芝風花)が、人材派遣会社の敏腕キャリアアドバイザー・来栖嵐(成田)のもとで、“見習い”として働き始めるという“転職・爽快エンターテインメント”。本来、“月10”枠は2ケタを取ることも珍しくないものの、前の時間帯で放送されている“月9”『真夏のシンデレラ』の数字が振るわない影響もあってか、同枠では類を見ない低空発進となってしまった。

 なお、2番手の小芝は、7月19日付のニュースサイト「週刊女性PRIME」によると、来年1月クールの同局“木曜劇場”枠で放送される『大奥』で主演を務めるとか。

 小芝は今年4月期の主演ドラマ『波よ聞いてくれ』(テレビ朝日系)以降、『転職の魔王様』、12月~来年1月放送の主演ドラマ『あきない世傳 金と銀』(NHK BS)、そして『大奥』と、ほぼ休みなく連ドラ撮影が続くため、一部ファンから「活躍はうれしいけど、少し休ませてあげてほしい」と体調を気遣う声も見られる。

 一方、“木曜劇場”枠で始まった『この素晴らしき世界』は、平凡な生活を送る主婦が、ひょんなことから大女優になりすましながら二重生活を送る“なりすましコメディー”。

 当初は鈴木京香が主演と発表されていたが、5月11日に体調不良による降板を発表。この影響で当初の予定よりも話数が削除されたという。

 ネット上では、「今期で一番面白い」「若村麻由美の演技がいい」と好意的な声が上がる一方で、「やっぱり鈴木京香で見たかったなあ」と残念がる声も。若村にとって、プライム帯の民放連ドラ主演は千載一遇のチャンスといえるだけに、存在感を発揮してほしいところだが……。

『ばらかもん』、裏番組『向井くん』に逆転勝利?

 ワースト3位は、杉野遥亮が民放GP帯連ドラ初主演を務める『ばらかもん』(フジテレビ系)で、初回の世帯平均は5.9%(個人3.3%)。裏番組で同日に始まった赤楚衛二主演『こっち向いてよ向井くん』(日本テレビ系)の初回6.0%をわずかに下回った。

 『ばらかもん』は、ヨシノサツキ氏による同名コミックが原作。2014年にはアニメ版『ばらかもん』(日本テレビ系)が放送されたほか、スピンオフ漫画『はんだくん』が16年にTBS系でアニメ化されており、初の実写化に多くのアニメファンも注目している。ゆえに、ネット上では「ドラマは、アニメに比べて○○だ」とアニメ版と比較する声も目立つ。

 また、「さわやかな雰囲気が朝ドラっぽくて素敵」と朝ドラファンから好意的な反応が寄せられている同作だが、19日放送の第2話では、残念ながら世帯平均5.3%(個人3.1%)までダウン。

 しかし、『こっち向いてよ向井くん』が第2話で5.1%まで落ち込んだため、『ばらかもん』が「水10対決」で逆転勝利する可能性もあるだろう。

 見逃し配信動画サービス「TVer」で視聴する層が増えているのか、ランキング対象の12作品のうち、半数以上が世帯平均6%台以下となった今期。下位は団子状態であるため、今後大きな順位変動があるかもしれない。

1位『VIVANT』(TBS系、日曜午後9時) 11.5%
2位『ハヤブサ消防団』(テレビ朝日系、木曜午後9時) 10.5%
3位『シッコウ!!~犬と私と執行官~』(テレビ朝日系、火曜午後9時) 9.6%
4位『トリリオンゲーム』(TBS系、金曜午後10時) 7.4%
5位『真夏のシンデレラ』(フジテレビ系、月曜午後9時) 6.9%
6位『18/40~ふたりなら夢も恋も~』(TBS系、火曜午後10時) 6.6%
7位『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』(日本テレビ系、土曜午後10時) 6.5%
8位『CODE-願いの代償-』(日本テレビ系、日曜午後10時30分) 6.1%
9位『こっち向いてよ向井くん』(日本テレビ系、水曜午後10時) 6.0%
10位『ばらかもん』(フジテレビ系、水曜午後10時) 5.9%
11位『転職の魔王様』(フジテレビ系、月曜午後10時) 5.4%
同率11位『この素晴らしき世界』(フジテレビ系、木曜午後10時) 5.4%

※小数点第2位以下を四捨五入。6月および8月スタートの『刑事7人』『何曜日に生まれたの』『科捜研の女』(すべてテレビ朝日系)は含まず。

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