今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。
出所を機に引退するヤクザが増加
亡きオットの元兄弟分が少し前に出所したのですが、ヤクザを引退したそうです。
「死んでもヤクザとして生きる」みたいな人だったので、ちょっとびっくりしましたが、これもご時世ですね。もう若くないし、ムショ帰りで「元・暴力団員」ですから、これから大変だと思いますが、健康なのでなんとかがんばるそうです。
出所を機に引退……というのは珍しくないんですが、最近は多い気がします。でも、ヤクザが減ったからって、治安がよくなるわけはないですよ。むしろ半グレとか「より悪いもの」が出てきます。ていうか、すでにそうなってきてますね。
「元ヤクザ」の更生支援は、ぜひ国家プロジェクトで進めていただきたいのですが、なかなかそうもいかないようです。
「元ヤクザ」は一生口座をつくれない? 反社の5年条項とは
前から時々書かせていただいてますが、いわゆる「5年条項」の裁判がもうすぐ始まります。
元ヤクザが「組織を離脱して5年以上たっているのに口座を開設できないのは不当な差別」として、みずほ銀行に対して損害賠償を請求している件です。みずほ銀行は「契約自由の原則」を主張する方針だそうです。
7月18日の弁論準備手続きで、みずほ銀行は「契約自由の原則が妥当」「(口座開設の)申し込みに応諾する義務はない」「反社会的勢力の排除は社会的要請で、拒絶に違法性はない」という方針を出してました。
そうはいっても、警察庁は2022年2月1日に「暴力団離脱者の口座開設支援について」という通達を出してますけどね。
「暴力団の壊滅のためには、暴力団員を一人でも多く暴力団から離脱させ、その社会復帰を促すことが重要」で、「暴力団から離脱した者が、就労先から給与を受け取るための預貯金口座の開設を申し込んだ場合において、過去に暴力団員であったことを理由として排除されることがないよう」「暴力団離脱者の預貯金口座の開設に向けた支援策」も策定してます。
これについて、みずほ銀行側は「拒絶時点で原告の離脱を把握しておらず、離脱情報を得る方法はない」と主張する方針だそうです。
要するに「知るか、そんな通達」というわけですが、把握できないことはないと思うんですよ。そんなにたくさんある案件じゃないでしょうし、そもそも離脱は「茨城県警様」が支援してるんですし。
元ヤクザが一生犯罪に手を染めないという保証は?
とはいえ、私も経営者ならそう考えるかもしれません。「この人が一生犯罪に手を染めないという保証がどこにある?」と思うでしょう、普通。
もともとみずほ銀行はヤクザに対する「融資」で炎上したこともありますから、ナーバスにもなるってもんでしょう。将来、何かトラブルがあっても、茨城県警様が謝罪や弁償をする保証はない以上、わざわざリスクを取ることもないですし。
そんなわけで、この裁判は「元ヤクザの更生を支援しないと犯罪者が増えるし……」という意見と、「元ヤクザなんか信用できない。口座なんか誰がつくらせるか!」という意見がぶつかるので、とても注目しています。すごく根本的な問題ですよね。
判決文だけじゃなくて、準備書面も公開していただきたいくらいです。更生支援が進むような説得力のある判決を期待しておりますので、裁判所におかれましてはナニトゾでございます。