8月4日、国連人権理事会の「ビジネスと人権」作業部会の専門家が日本記者クラブで記者会見を行い、ジャニーズ事務所創業者・ジャニー喜多川氏(2019年に死去)の性加害問題に言及。「同社のタレント数百人が性的搾取と虐待に巻き込まれるという、深く憂慮すべき疑惑が明らかになった」と述べた。これを受け、世間では同社社長・藤島ジュリー景子氏の“退任論”が、あらためて高まっているようだ。
ジュリー氏は5月、ジャニー氏の性加害問題について、ビデオメッセージを公開し謝罪。自らの進退について「辞職する選択肢も考えました」と発言していたが、「この時点で『社長を降りる』ことを内々には伝えていた」(芸能プロ関係者)という。ともすれば、騒動を収束させるための“切り札”にも思えるジュリー氏の退任だが、果たしてどれほどの効果が見込めるのだろうか。
ジャニー氏の性加害、メリー氏は「あえて目に入れないようにしていた」
3月、英公共放送のBBCがドキュメント番組『Predator: The Secret Scandal of J-Pop』を放送して以降、国内外で注目を浴びるようになったジャニー氏の性加害問題。ジャニーズ事務所は、この問題に関して長らく沈黙を貫いていたが、世間からの批判が鳴りやまない状況もあり、ついにジュリー氏がビデオメッセージで謝罪をするとともに、今後の対応を説明する運びとなった。
しかし、事態は収束に向かうどころか、ジャニー氏の性加害について、“知らなかった”と発言したことにより、ジャニーズ事務所並びにジュリー氏へのバッシングはさらに勢いを増した。
「ジャニーズ事務所は過去、ジャニー氏の性的虐待問題を特集した『週刊文春』(文藝春秋)を名誉棄損で訴え、4つの争点で勝訴したものの、東京高裁は性的虐待の部分は“真実”と認定。最高裁でこの高裁判決が確定したのは04年のことですが、以降はジャニーズ幹部の間で『ジャニー氏の性加害行為は収まった』というのが共通認識だったんです。ジュリー氏の“知らなかった”発言は、正確には『裁判後も続けていたとは知らなかった』という意味なのでしょう」(レコード会社関係者)
ジャニーズ事務所の名誉会長を務めたメリー喜多川氏(21年に死去)も生前、「表向きには『性虐待なんてあり得ない話』と全否定していたそうですが、実際は『あれはもう病気みたいなものだから』とあえて目に入れないようにしていたといい、裁判が行われたことで『これでやっとこの問題に片が付く』と胸をなで下ろしていた」(同)ようだ。
King&Princeの脱退・退所発表の頃から、ジュリー氏は退任する意向だった?
とてつもない“負の遺産”を抱えた状態で、ジャニーズ事務所を引き継ぐこととなったジュリー氏。性加害問題が表面化して以降、一部では、ジュリー氏が責任を取って社長を退任するのではないかと見られていたものの、先のビデオメッセージでは、「今すべきはこの問題から逃げることなく、被害を訴えてこられた方々に向き合うこと、さらにこれから先、二度と同様の問題が起こらないよう、すでに着手し始めている経営改革、社内意識の抜本的改善をやり抜くことだと考えております」と、これを否定。
しかし、実際のところ、性加害問題が勃発する以前から、社長職を退く意向だったという。
「ジュリー氏は、母であるメリー氏の希望で社長に就任したそうですが、経営や責任を伴うポジションにはもともと興味がなかったといいます。昨年11月、King&Princeメンバー3人の脱退・退所が発表された“分裂騒動”あたりから、親しい関係者には退任する旨を伝えていたようです」(前出・芸能プロ関係者)
しかし性加害問題が大きく取り沙汰される現在、ジュリー氏は、そう簡単に退任はできなくなった。
「ジュリー氏がビデオメッセージを公開した背景には、『親しい人物からの助言があった』といわれているのですが、確かにあの段階で退任の意向を明かしてしまうと、それこそ『責任逃れ』と批判されかねないだけに、辞めるつもりはないと明言したのでしょう。しかし、ジャニー氏の性加害問題が国際問題にまで発展したとあって、もはや『辞めざるを得ない』状況に追い込まれているといいます。とはいえ、退任したところで、事態が解決するわけではないですし、ジャニーズ事務所の苦境はまだまだ続くでしょう」(同)
ジャニーズ側は8月末頃に記者会見の実施を明言しているが、ジュリー氏退任のカードは、ここで切られるのだろうか。マスコミ関係者の注目は日に日に高まるばかりだ。