• 日. 12月 22nd, 2024

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コムドット・やまとの“自画自賛”ぶりに見る、彼らに欠けているモノとは?

私たちの心のどこかを刺激する有名人たちの発言――ライター・仁科友里がその“言葉”を深掘りします。

<今回の有名人>
「すごすぎる」コムドット・ゆうた
『コムドットって何?』(8月7日、フジテレビ系)

 私たちは誰もが、自分で冷静に物事を判断していると思いがちだ。しかし心理学では、実際のところ、いろいろなバイアス(思い込み)に左右されていることがわかっている。

 そのうちの一つが、「信念バイアス」と呼ばれるもので、これは簡潔に言えば「いい結果のときは、そこに至るまでのプロセスはすべて正しく、反対に結果が悪いと、やり方すべてが間違っていると思い込む」ことを指す。

 例えば、1日2時間程度の勉強で東大に合格したら「地頭がいいから、能率よく勉強した」と褒められるだろう。しかし、不合格だったら「もっと勉強したほうがよかったんじゃないの? 受験舐めてない?」と言われてしまうだろう。残念ながら、世の中は往々にして、結果を出さない人に厳しいものなのだ。

 男性5人組YouTuberのコムドットは、今、世間の人々の信念バイアスに晒され、批判されやすい状態にあることは間違いないだろう。チャンネル登録者数はYouTuberの人気を図る指標となるが、410万人以上いたはずが、いつの間にか391万人(8月9日現在)になってしまった。こうなると、上述した信念バイアスが発動して、「あれが悪い、これが悪い」とやいやい言われてしまう。

 しかし、彼らもだいぶ追い詰められているだろうから、追い打ちをかけることは言いたくないが、『コムドットって何?』(フジテレビ系)を見ていると、彼らには、あるモノが欠けており、その影響もあって世間に悪く言われがちなのではないかと感じるのだ。

コムドットは「悔しい」という感情がないように見える

 8月7日放送の同番組では、メンバーのゆうたが描いた、お世辞にもうまいとは言えないイラストを300枚ステッカーにして、フジテレビのイベント『お台場冒険王2023』でゲリラ販売するという企画をやっていた。なお、価格は1枚1,000円、SNSでの事前告知はせず、3時間で手売りするという。

 うまいイラストならまだしも、ヘタなイラストのステッカーを買おうと思う人は少ないだろう。買ってもらうには、コムドットのネームバリューもしくはそれ相応の営業力が不可欠となる。メンバーは自作のプラカードを作り、猛暑の中、会場内を営業して回っていた。

 結局、ステッカーは88枚売れて、ゆうたらメンバーは「すごすぎる」と成果に満足したようだった。実際、すごいと思う。正直、私なら買わないような代物だが、やはり旬の人、コムドットが作ったものだからと、財布の紐が緩んだ人がいたというわけだ。

 だが、番組をエンタメとして考えるなら、ここは悔しがったほうがよくないだろうか。リーダーのやまとは、世間からの批判や逆風に対して「悔しい」とよく口にしているイメージだが、彼らは自身の行いについては、あまり悔しいという感情がないように見えるのだ。

 やまと、ゆうたは7月22~23日に放送された『FNS27時間テレビ』(フジテレビ系)内で100キロマラソンに挑戦した。やまとは「100キロ走ったら俺、ぶっちゃけ全回収だと思っています。『やっぱコムドットすごいわ』になると思っています」と強気な発言をしており、走り切る自信を匂わせたが、実際は40キロ(ゆうた)、43キロ(やまと)という結果だった。

 日ごろから運動しているわけでもなく、マラソンも未経験な彼らが酷暑の中よく40キロ以上走ったとは思うが、“結果”だけを重視するエンタメの世界の論理でいえば、100キロ走るという企画の趣旨は全うできていないわけだ。

 やまとはインスタライブで「俺とゆうたは番組側の人の予想で、『やまとくん5キロ、ゆうたくん10キロ走れたらいいほうですね』って言われてて。練習量から見てね。ほかの人めちゃめちゃ練習してるから。俺ら練習の時間が取れなくて、当日もぶっつけ本番になっちゃいますみたいな話だったから」と、裏事情を説明し、自画自賛していたが、どんな事情があろうと走りきれなかったのは事実である。

 誤解なきよう申し添えると、「死んでも100キロ走るべきだった」と言いたいのではない。走れなかったのなら、悔しがるなどのリアクションが必要だったのではないか。やまとのビッグマウス的な発言は若者の心をつかんできたのだろうが、きちんとした結果が伴わないと、単なる口ばっかりの人、言い訳だらけの人とみなされてしまう気がする。

 悔しさとか屈辱というのは、ポテンシャルの高い感情といえるのではないか。100キロマラソンの例でいえば、悔しさをバネに「今度こそ、100キロ走ってみせる」と練習に励めば、世間の注目を集めることになる。そして、達成できた暁には、「コムドットは変わった、口ばかりではない」と印象付けることもできるはず。

 つまり、悔しさを吐露し、一時的に負けを認めることは、人々の注目を集めるし、さらには現状が変わるきっかけにもなり得るということだ。悔しさはイメージチェンジのために打ってつけの感情といえるだろう。

 フジテレビに強烈に推されている印象を受けるコムドットだが、テレビ局は数字が取れないと判断するとバッサリ切り捨てるものだ。どうか心無いオトナに踊らされて、自分を見失わないでほしいと願ってやまない。

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