現地時間8月15日までに、ブルース・ウィリスの介護をしている妻のエマ・ヘミングが、自分と同じ立場のケアギバー・パートナー(認知症患者を無償で介護する家族や友人、近隣住民たちのこと)たちに向けて「自分を大切にしようね」とメッセージ動画をインスタグラムに投稿。心身共に疲れているように見えると心配する声がネット上に上がっている。
高次脳機能障害による失語症のため俳優を引退すると発表してから11カ月後の今年2月、症状が進行し、認知症の中で唯一難病指定されている「前頭側頭型認知症」と診断されたと公表したブルース。14年前に再婚した23歳年下のエマは、11歳と9歳の娘の子育てをしながらブルースを介護しており、家族4人で一緒に生活している。
エマはインスタグラムにブルースの最新写真や動画を頻繁に投稿し、とても愛情深い父親だと報告しているが、3月にパパラッチされたブルースの姿や表情からは病状がかなり進行していることがうかがい知れ、世間は大きなショックに包まれた。
そんな介護生活を送っているエマは、インスタグラムで認知症になった愛する家族を介護するケアギバー・パートナーの現実を多くの人に知ってもらいたいと、インスタグラム上で活動している。ブルースの68歳の誕生日には「朝から泣いてしまった」「強いねって言われるけど、私にはほかに選択肢がないから」と告白。
結婚記念日には「記念日は介護者にとってつらいもの」「彼は記念日を認識できない」と吐露。結婚10年目に挙式した場所で誓いを新たにしたのだと明かし、「もう思い出せない人のためにも、この思い出を大事にしていく」とつづり、多くの人の涙を誘った。
6月の自身の誕生日には、「誕生日の願いの一つは、みんなが介護している人に『今週は、これとこれとこれをサポートできるよ』って連絡入れてくれたらなってこと。彼/彼女たちは、きっと『何もしなくていいわ、大丈夫よ』って答えるだろうけれど、食べ物や花とか届けてあげてほしい。『ここにいるよ。いつでもサポートできるよ』って伝えてあげてほしい」と発信し、「なんていい人」「あなたこそ頑張りすぎないで」と彼女の気持ちに寄り添う声が上がった。
そんなエマが、8月中旬、一人でハイキングした後に車中で撮影した動画を投稿。事前にケアギバー・パートナーたちに向け、「美しいと感じたものの写真を撮影して送ってほしい」と呼びかけていたが、それに応じた人々に「幸せな気持ちにさせてくれてありがとう」と感謝するとともに、そう呼びかけた理由を説明した。
エマは、「思考を断ち切ることが本当に大切だと思うの。私の場合、悲観的な先行きばかり考えていて」と吐露。最高な人生を送っているように見えるのは、「意識的にそうしているから。最高な人生であるように、毎日、意識して努力しているの。私自身のために、2人の子どもたちのために、そうしてほしいときっと望んでいるブルースのために」と語り、「だから私がいい人だって誤って解釈されたくないの。だっていい人じゃないから」と苦笑いした。
エマは続けて、「でもね、私自身のために、そして家族のために全力を尽さなければならないのよ」「自分を大切にできなければ、ケアしなければ、愛する人のケアをすることなんてできないからね」と述べ、簡単なことではなく「意識的に努力しなければできないことだけど」と繰り返し、遠くを見つめた。
そして、ケアギバー・パートナー仲間に「ストレスフルな毎日だってこと、大変だってことは理解しているわ。でも、一日のうちほんの少しだけ、美しいものを探す時間を作ってほしいの」とほほ笑んでいた。
動画では穏やかな口調で話しているエマだが、将来を悲観したり絶望的に気持ちになったこともあるだろう。そして、そんな思考を断ち切る時間を作らないと精神的に参ってしまうと実感したのかもしれない。
ネット上では「時折見せる硬い表情から、精神的にかなり参っているのがわかる」など心配する声が上がった。今年3月にブルースがパパラッチされた時にも、「エマがインスタグラムで近況を報告してくれるんだから、それでいいじゃないか」「認知症患者をさらし者にしているようで不快だ」などの声が噴出していた。
父親の病気を受け入れ、理解を深めようとしている娘たちも、これから思春期になる。介護だけでなく、子育ての面でも不安があるのだろうと、ネット上ではさまざまな声が飛び交っている。自分も経験したことがあると寄り添う声、自分も将来的にケアギバー・パートナーになるかもしれないと不安がる声など、エマの言動は人々の関心を集めている。