• 日. 12月 22nd, 2024

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なにわ男子・西畑大吾は言葉のチョイスが個性的! プロ作詞家が「ちゅきちゅきブリザード」を分析

 作詞家、作曲家からの提供曲を「歌って踊る」ことがメインのジャニーズアイドル。しかし、グループによってはメンバーが作詞・作曲を行うなど、積極的に楽曲制作に携わっているケースもあります。

 そこで今回は、なにわ男子の2枚目のアルバム『POPMALL』(7月12日発売)に収録されている、西畑大吾の作詞曲「ちゅきちゅきブリザード」(通常盤のみ収録)を、プロの作詞家・昆真由美さんに評価してもらいました。なお、同曲は1stアルバム『1st Love』(2022年)に収録されている「ちゅきちゅきハリケーン」(同じく作詞は西畑)のその後を描いた第2弾です。

なにわ男子・西畑大吾「ちゅきちゅきブリザード」には“こなれ感”がある

――「ちゅきちゅきブリザード」を聞いた際、全体的にどのような印象を持ちましたか。

昆真由美さん(以下、昆) 歌詞全体の印象としては、書き慣れている人が書いてるなと思いました。なぜかと言うと、構成がすごくキレイなんですよね。第1弾の「ちゅきちゅきハリケーン」が、カップルになる前のラブラブな感じの片思いソングで、第2弾の今回は、付き合ってからのケンカを描いていますが、それぞれの歌詞の世界観がしっかりと伝わってきます。第1弾と同じフレーズ<ピースを閉じて 少し曲げる>が入っている点も、“こなれ感”を醸し出しています。

――では、全体像から細かく歌詞を見ていった際、特に素晴らしいと感じた点はどこでしょうか。

 めちゃくちゃ韻を踏んでいるところです。作詞を始めたばかりの人だと、書きたいことを文章のようにつづりがちで、比喩表現を多く取り入れたり、韻を踏んだりするのをつい忘れてしまうことも多いんですね。

――「ちゅきちゅきハリケーン」が作詞デビュー曲の西畑さんですが、すでに様になった歌詞を書いているんですね。

 西畑さんが韻を踏む歌詞を書くのは、彼が実際にパフォーマンスをされるアイドルだからだと思います。作詞家も、声を出して歌いながら歌詞を書くことが多いのですが、自身で歌ってパフォーマンスされるアーティストやアイドルの方は特に、歌っていて気持ち良いと感じる歌詞がどういうものかを感覚的に知っているのかもしれません。そのため、自然と韻を踏んだ歌詞が思い浮かんだのではないでしょうか。

 さらに西畑さんの場合、韻を踏むためにオリジナルの言葉を作っているのも素晴らしいポイントです。例えば、イントロの<倦怠期 危険帯域>は、倦怠期という言葉で韻を踏むために“危険帯域”という言葉を創造したのだと思いますが、“危険帯域”という言葉自体は一般的にまず聞くことのないオリジナルの言葉です。「恋人とケンカして別れの危機!」という同曲のイメージにもぴったりです。

 <豆腐ハートタックル>という言葉もそう。「豆腐メンタル」という言葉は聞きますが、「豆腐ハート」はオリジナルの言葉です。何となく雰囲気で言葉を乗せようとすると、こういったオリジナルの言葉は生み出せません。西畑さんの歌詞からは、作詞に対して真剣に向き合っているという気概を感じました。

なにわ男子・西畑大吾に書いてもらいたい歌詞は「パーティーソング」

――一方で、「ここを変えたらもっと良くなる!」と思った箇所はありましたか。

 歌詞全体にまったく問題はないので、作詞家目線であえて挙げますね。恋愛ソングは大きく分けて「片思い期」「交際期」「失恋期」の3種類があります。以下の図のように「ちゅきちゅきハリケーン」がもうすぐ両思いになるという「片思い期」を、「ちゅきちゅきブリザード」がケンカから仲直りするまでの「交際期」を書いているのですが、欲を言えば、1曲丸々、ケンカの情景だけを書く歌でも良かったかなと。

 というのも、1曲のどこを聞いても同じテンションというのが、聞く人にとっては一番わかりやすいんです。そのため、タイトルの「ブリザード」という言葉のように、交際中の吹雪のようなケンカだけで終わらせて、第3弾として仲直りの曲を作ることも可能だったと思います。

――確かに、「ちゅき婚○○」など、「危険帯域」から抜け出して結婚するまでの曲があっても面白そうですね。

 そのパターンも聞いてみたかったですね。また、「ちゅきちゅきハリケーン」「ちゅきちゅきブリザード」を聞いて、西畑さんはストーリー調の明るいポップな曲が得意なのかなと思ったので、パーティーソングを書いてみてほしいです。一方、それとは真逆の哲学的な歌詞にも挑戦してほしいですね。言葉のチョイスが個性的なので、別のタイプの曲になったとき、どのようなワードが出てくるのか楽しみです。

昆 真由美(こん・まゆみ)
一般企業に勤める傍ら、作詞家、作詞講師として活動中。J-POPを中心に、アイドル、声優、アニメ・ゲーム、K-POPまでと幅広いジャンルの歌詞を手がけている。著者として『作詞入門 〜実例で学ぶポイントとコツ』(スタイルノート)がある。

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