下世話、醜聞、スキャンダル――。長く女性の“欲望”に応えてきた女性週刊誌を、伝説のスキャンダル雑誌「噂の真相」の元デスク神林広恵が、ぶった斬る!
「文春オンライン」が衝撃のスクープを。性加害問題に揺れるジャニーズ事務所の新社長に東山紀之が就任すると同時に、現社長の藤島ジュリー景子氏が役員として残留する可能性が濃厚というのだ。これでは何も変わらない――。
第665回(8/31〜9/5発売号より)
1位「Kis-My-Ft2北山宏光は受けるのか『滝沢キッス』の洗礼」(「女性セブン」9月14日号)
2位「嵐 デビュー25年目の『再始動』はムリ!」(「週刊女性」9月19日号)
3位「ジャニーズ激震で決断 中居正広『後輩の駆け込み寺に!』」(「女性自身」9月14日号)
木村拓哉、嵐、なにわ男子、中居正広、長瀬智也、井ノ原快彦、岸優太、三宅健、堂本光一、玉森裕太、京本大我、滝沢秀明、渡辺翔太、森本慎太郎、北山宏光、HiHi Jets、美 少年、男闘呼組、ついでに藤島ジュリー景子氏――ざっと拾っただけでもこれだけの名前が並ぶ。今週の女性週刊誌3誌で特集、グラビア、その他で取り上げられているジャニーズタレントやグループ(元も含む)の面々だ。
それほどに女性週刊誌がジャニーズに依存している証左でもある。生前のジャニー喜多川氏の性加害に、見て見ぬ振りをするはずだ。社会問題になった現在でもなお、なるべく触れたくないはず。中でも、いまだその忠誠心が最も強いのが「女性セブン」ではないか。性被害を実名で訴える元ジャニーズをバッシングしてしまうほどに。
そんな「セブン」が今回特集記事として取り上げているのが、8月31日にジャニーズ事務所を退所したKis-My-Ft2の北山宏光だ。その内容は主にKinKi Kids・堂本光一とTOBE率いる滝沢秀明氏との絆。特に滝沢氏に関しては、いかに北山が心酔し慕っているかが強調される。
いわく“北山はJr.時代から滝沢氏を兄貴分として慕っていた”“北山が退所を決意したのは滝沢氏がジャニーズ事務所を辞める意向を示した直後”“滝沢氏が舞台で高所から落下した際に北山が身を挺して受け止めた”“食事や旅行などプライベートも共にする2人だが支払いは全て滝沢氏”などなど。そのため、北山が今度TOBEに合流するのは既定路線だという。
ジャニーズに対抗する滝沢秀明氏への嫌がらせ!?
まあ、ここまではいい。だが問題は記事後半で紹介される滝沢氏の“独特な指導方針”についてだ。それはかつて北山自身がバラエティなどで語ったことだというが、あまりに驚きの記載なので、以下少々長いが引用したい。
《「滝沢さんはけんかする後輩がいれば、話し合うだけでなく、最後に自分の目の前でキスをさせるのだそうです。北山さんは『後輩のどんな溝も埋める滝沢キッス』と名付け、それを聞いていた三宅健さん(44才)も『キスして、揉めてた人たちが仲よくなっちゃうって、こんな画期的なシステムないですね』とコメントしていました」》
《滝沢は「ハグぐらいっていうのは、ぼくの前だけになっちゃうのがイヤなんですね。だからその壁を越えようって」と説明していたというが…。》
ジャニーズ事務所の性加害が大きな問題となっている今現在、「セブン」がこんなエピソードをわざわざ引っ張り出してきて紹介するのはどうなのか、何なのか。これってセクハラ、パワハラ、ジャニー喜多川氏の性加害問題をどうしたって連想させてしまうエピソードだよね。単なる無神経? いや、性加害をわざわざ連想させる意図的なもの? ジャニーズに対抗する勢力の代表格である滝沢氏への嫌がらせ? ジャニーズをやめた面々に対する当てこすり? 何か別な含みがある?
ジャニーズ御用雑誌「セブン」の面目躍如か……。
性加害問題と嵐の「再始動」との関連性
こうして現在でもひたすらジャニーズ事務所の意向に沿おうとする雑誌がある一方、女性週刊誌の中ではほんの少〜しだが、これまでも性加害問題に触れてきたのが「週刊女性」だ。数年前まではアンチジャニーズ媒体だった矜持が少しはあるのかな。
そんな「週女」が特集しているのが、ジャニーズ事務所の性加害問題とグループ活動を休止中の嵐の「再始動」との関連性だ。記事では冒頭からジャニーズ事務所の性加害問題、藤島ジュリー景子氏の去就、新社長に東山紀之が就任することが濃厚なことなどがレポートされる。ここまでで2頁特集の半分(1頁)を使っているからまあまあ健闘していると言えるだろう。
そして後半では嵐の再始動について記されているが、リーダーの大野智が首を縦に振らず、さらに性加害も再始動の障害になっていると指摘されるのだ。
「いま嵐の再始動を発表しても世間の注目をそらしたいだけなのでは、といった批判に晒されるのは目に見えていますから。ほとぼりが冷め、カムバックが歓迎される時期を見定めていくのでしょう」(芸能プロ関係者のコメント)
確かにね。性加害問題は、嵐の今後にまで大きな影響を及ぼしている。もちろん他ジャニーズタレントたちにも。
「一部の大手企業や広告会社では、性加害の事実を黙認してきたジャニーズ事務所に対して、タレントの起用や広告契約を結ぶのはコンプライアンス上どうなのか、といった声も上がっています」(スポーツ紙記者のコメント)
でも、どうなの? “性加害の事実を黙認”してきたのは、大手企業や広告会社も同じではないのか。知っててタレントを起用してきた共犯ではないのか。
そんなことを考えさせられた「週女」のジャニーズ特集。これまでの女性週刊誌の中では性加害に一番踏み込んだ特集だった。
性加害問題に、ほぼ完全沈黙状態の「女性自身」
そして性加害問題に対し、ほぼ完全沈黙状態なのが「女性自身」だ。今週のジャニーズ関連記事は、中居正広が悩めるJr.たちの相談にのっているというものだが、性加害問題の記述は冒頭のたった8行ほど。申し訳程度というのは、こういうことを言う。