ジャニーズ事務所創業者・ジャニー喜多川氏(2019年に死去)による“性加害問題”をめぐって、同社は9月13日に「被害補償及び再発防止策」を発表した。ジャニーズサイドは7日に記者会見を行い、ジャニー氏の姪である前社長・藤島ジュリー景子氏が性加害の事実を認め、被害者に謝罪。以降、スポンサー企業が相次いで撤退する中、被害補償や再発防止策について説明した形だ。
そんな中、ジャニーズ事務所は、13日に公式企業サイトを更新し、「故ジャニー喜多川による性加害問題に関する被害補償及び再発防止策について」(原文ママ、以下同)と題したお知らせを掲載。“被害者救済”にあたっては、被害者救済委員会を設置するとともに補償受付窓口も開設し、「この被害者救済委員会の判断に従い被害者に対する金銭補償を行います。また、弊社は被害者の方々との対話を進める所存です」とアナウンスした。
なお、「金銭補償」は、「弊社にタレント又は研修生(『ジャニーズJr.』等)として所属していたことがある方、又は現に所属している方で、故ジャニー喜多川による性加害の被害を受けた方」が対象。ほかにも被害を受けたと申告があった場合には被害者救済委員会に相談しつつ、個別に対応を検討していくと明かした。
さらに、再発防止策に関しても「チーフコンプライアンスオフィサー(CCO)の策定と設置及び社内の諸制度の整備・拡充・実施」「研修の実施・充実」「ガバナンスの強化」「メディアなどの関係者の皆様との対話等のエンゲージメント」を挙げている。今月5日に新社長に就任した少年隊・東山紀之のもと、事務所側は新たな一歩を踏み出したようだ。
そして、今回の文章には重要な情報も。「弊社は失った信頼を回復できるように全力を注ぐととともに、今後1年間、広告出演並びに番組出演等で頂く出演料は全てタレント本人に支払い、芸能プロダクションとしての報酬は頂きません」と宣言している。
ネット上では「『芸能プロダクションとしての報酬は頂きません』って、そういう問題ではないと思う」「1年もたてば事態が収まると考えているところが甘い」といった批判が寄せられ、波紋を呼んでいるようだ。
一部からは「ファンクラブ会費とか、グッズの売り上げ、チケット代とかファンが支払うお金は、被害者への補償に充てられるの?」「タレントにはお金が入るかもしれないけど、マネジャーやほかの社員への給料はどこから出るの?」と疑問の声もわずかだが聞かれる。
ジャニーズ、タレントに出演料を全額支払いは「妥当な判断」?
なお、7日の会見後から、ジャニーズタレントが出演するCMに大きな動きがあり、複数の企業が「広告契約は期間満了をもって終了」または「新たに起用しない」などと表明している。
「例えば、モスバーガーを展開する株式会社モスフードサービスの公式サイトは、13日付で『ジャニーズ事務所所属タレントの起用方針について』というリリースをアップ。モスバーガーはSnow Man・ラウールと渡辺翔太をCMに抜てきしており、期間限定商品『月見フォカッチャ』の新CMは同日にテレビ放送がスタートしたばかりでした」(ジャニーズに詳しい記者)
同社は「いかなる性加害の問題も、私どもの人権方針の基本的な考え方に反します。今後、明確な被害者救済と再発防止の取り組みが認められない以上、ジャニーズ事務所との契約は継続しないことを本日決定いたしました」と公表。11日の時点では「起用継続」としていたものの、「現在展開中のジャニーズ事務所所属タレントを起用した TV-CM や店頭広告などについてもできる限り速やかに変更します」と、一転して中止となった。
こうした状況もあり、タレントの報酬に関する発表については「タレントは応援したいけど、今の時点で事務所と契約はできない……と、苦渋の決断をしている企業にとっては朗報だと思う」「事務所にお金が入るというだけで批判する人もいるから、妥当な判断」「報酬がタレント個人に支払われるから、『ジャニーズ事務所とは取り引きしない』という理由で契約を切られることが少しは減るのかな」「タレントに罪はないんだから、本人にギャラを全て支払うのはうまい手だと思う」などと、企業の契約継続に有効だとする意見も多く上がっていた。
ネットユーザーからは、被害者への補償や対応に進んでいる事務所の姿勢を評価する声もある。
今後も一連の問題に関しては、透明性をもって随時報告していくことが望まれるだろう。