忙しい朝の救世主といえば、カフェのモーニング。サッと朝食を済ませられるので便利ですし、1日の始まりのちょっとした贅沢に「癒やされる」という人も多いのでは?
各店がさまざまなメニューを用意していますが、できればおいしくて栄養バランスのとれたものを食べたいですよね! というわけで今回は、管理栄養士の猪坂みなみ先生に、ドトール、カフェ・ド・クリエ、エクセルシオール、上島珈琲店、ベローチェのおすすめモーニングメニューをお聞きしました。
モーニングセットを食べる際、ぜひ参考にしてみてください!
※2022年2月11日、2022年8月公開の記事を再編集しています。
※金額、メニュー等は公開時点の情報です。
※最新の情報は各店公式サイト等をご確認ください。
【1】ドトール
【2】カフェ・ド・クリエ
【3】エクセルシオール
【4】上島珈琲店
【5】ベローチェ
【1】ドトール「ホットモーニング あつあつハムチーズ」はとてもおすすめ!
――まず、朝食で摂ったほうがいい栄養素はどんなものがありますか?
猪坂みなみ先生(以下、猪坂) 朝昼晩どのタイミングであっても「バランスよく食べる」が基本ですが、特に朝食で重要なのは、脳のエネルギーとなる「ブドウ糖」を摂ること。夜、寝ている間に体の中の糖は消費されてしまうので、朝はそれを補給しないと脳が効率よく動いてくれません。
さらに、筋肉のもとになるたんぱく質を摂ることも大切。たんぱく質は常に合成と分解を繰り返していますが、一度に大量に摂取して体内に貯めておくことはできないので、毎食しっかり摂取する必要があります。
その他、血糖値の急上昇を抑制してくれる食物繊維や、代謝をスムーズにしてくれるビタミンやミネラルも、バランスよくとり入れられると、さらにいいですね。
――早速「穴場なコーヒーチェーン」を教えてほしいところなのですが、昨年秋に新しくなった「ドトールコーヒー」のモーニングメニューも気になります。
猪坂 ドトールはコーヒーチェーンの中でもメジャーですし、モーニングを利用している方も多いですよね。昨年秋からの新メニューである「ホットモーニング あつあつハムチーズ」(420円、税込み/以下同)は、とてもおすすめ。パンからエネルギー源となる糖質を摂れるのはもちろんのこと、ほかのメニューと比較すると、たんぱく質の含有量が最も多いんです。
一般的に、食後は体がポカポカと温かくなりますが、これは食事をして体内で栄養素が分解されるとき、その一部が熱となるから。この「食事を摂るだけで消費するエネルギー」は、糖質や脂質よりたんぱく質を分解するときのほうが大きいという特徴があります。そのため、朝からしっかりたんぱく質を摂って体温を上げると、代謝アップも期待できますよ。
【2】カフェ・ド・クリエのモーニング、500円台おすすめメニューはコレ!
――では本題ですが、モーニングを食べるうえで「穴場のコーヒーチェーン」とはどこですか?
猪坂 実は一番おすすめしたいのが、「カフェ・ド・クリエ」のモーニング。「ドトール」に比べて店舗数が少ないので、あまりメジャーなコーヒーチェーンではないかもしれませんが、モーニングメニューがとても充実しているんです。
一般的にカフェのモーニングといえば、サンドイッチとドリンクだけなど、軽めのメニューが多いですよね。しかし、カフェ・ド・クリエはスクラングルエッグやサラダなどがセットについているのがほとんどのため、栄養バランスを整えやすいと思います。
――「カフェ・ド・クリエ」モーニングの中で、おすすめのメニューはありますか?
猪坂 中でもおすすめしたいメニューは、「トーストサンドモーニング ハムタマゴ」(570円)。サンドイッチに挟まっている卵とハム、デザートのヨーグルトなどからたんぱく質を補給できます。また、サラダもついているので、野菜不足が気になる人にもいいですね。
朝食のタイミングで野菜などから食物繊維を摂っておくと、昼食の時まで血糖値の急上昇を予防してくれると考えられています。そのため、朝からしっかり野菜を摂っておくのは、とてもいいことなんです。
「あったかモーニングプレート ブロッコリーチーズポタージュ」(540円)も、トーストとスクランブルエッグとサラダに温かいポタージュがセットになっているので、冷えが気になる人にはおすすめ。スープがついている分、やや塩分が多くなるので、スクランブルエッグやハムなどには何も調味料をかけずに食べると、より健康的な朝食になりますよ。
「モーニングプレート ソーセージ」(500円)は、トーストとウインナー、サラダというシンプルなセットですが、ウインナーやトーストのバター、マヨネーズなどに脂質が多く含まれています。カロリーなどが気になる場合は、先ほど挙げた2つのセットから、どちらかを選ぶといいでしょう。
なお、朝ごはんを抜いて夜ごはんをたくさん食べるよりも、朝しっかり食べて夜を軽くしたほうが、余分な脂肪蓄積を防止できます。今回ご紹介したようなコーヒーチェーンのモーニングを活用して、忙しい朝でも手軽にしっかり朝食を摂る習慣をつけてほしいですね!
――コーヒーショップでモーニングメニューを頼む際、どんなことに気を付けるとよいのでしょうか?
猪坂 朝食を抜くと、単純に栄養不足を招くだけでなく、お昼と夜の食事ボリュームが増えて、太りやすくなってしまいます。なので、コーヒーショップなどで手軽に食べられるモーニングを活用して、朝からしっかり栄養を摂ってほしいですね。
コーヒーショップのモーニングは、パンが主体のメニューが多いため、エネルギー源は補給しやすいのですが、たんぱく質や野菜類は不足しがち。栄養バランスを整えるためには、肉や魚、大豆製品、卵などでたんぱく質を、野菜やキノコなどでビタミンやミネラル、食物繊維が摂れるメニューを選ぶようにしましょう。
――では、「エクセルシオール」のおすすめモーニングメニューを教えてください。
猪坂 エクセルシオールのモーニングの中では、「ジャンボンハム・レタスサンド」ドリンクS付き(468円、税込み/以下同)がおすすめ。
ジャンボンとは、豚のもものことを指します。あまり聞き慣れないかもしれませんが、“豚もものハムが入ったサンドイッチ”のことです。なので、ハムからはたんぱく質が摂れますし、トマトやレタスからはビタミン類が補給できます。
ただし、このメニューだけでは十分な栄養が摂れないので、セットドリンクでミルクやカフェラテを選ぶなどして、たんぱく質を補うようにしましょう。
ちなみに、朝は前日の食事から長時間何も食べておらず、空腹状態になっているので、摂取した栄養が吸収されやすい時間帯です。そのタイミングでたんぱく質やビタミン、ミネラルだけでなく、コーヒーにも含まれるポリフェノールを摂取すると、効率よく栄養素を吸収できるメリットがありますよ。
【4】上島珈琲のモーニングメニューは、栄養バランスに注意が必要?
――続いて「上島珈琲店」のおすすめメニューはどれですか?
猪坂 上島珈琲店のモーニングメニューの中で、比較的たんぱく質と野菜をバランスよく摂れるのは、「ベーコンエッグ&厚切りバタートースト」(740円)と「3種チーズのクロックムッシュ (ミニサラダ付)」(730円)です。
「ベーコンエッグ&厚切りバタートースト」は、パンでエネルギー、卵とベーコンでたんぱく質、サラダでビタミンやミネラルなどを摂ることができます。ただし、ベーコンとバターはどちらも、コレステロールの増加につながると考えられる飽和脂肪酸が多い食品なので、お昼と夜は低脂質なメニューを選ぶなどして、バランスをとりましょう。
「3種チーズのクロックムッシュ (ミニサラダ付)」からも、「ベーコンエッグ&厚切りバタートースト」と同じような栄養素が摂れます。しかし、チーズも飽和脂肪酸が多い食品なので、やはりお昼と夜の食事は注意が必要。お魚や大豆製品を中心とした食事を選んで、栄養バランスを整えるように意識してみてください。
また、「前日に食べ過ぎて胃もたれ気味」「野菜不足が気になる」といった人には、野菜が中心の「彩りサラダモーニング」(730円)もおすすめ。野菜や生ハム、ゆでたまご、はとむぎシリアルなどの具材がトッピングされているため、さまざまな食材から栄養を補給できます。ただし、これだけでは糖質やたんぱく質が足りませんので、ほかの食事で補えるといいですね。
――最後に、「カフェ・ベローチェ」のおすすめモーニングメニューを教えてください。
猪坂 モーニングメニューはAからCまで3種類ありますが、「モーニングC トーストサンド とろ~りチーズ&ハム」ドリンク付き(480円)が一番おすすめ。前述の通り、チーズは飽和脂肪酸が多い食品ではあるものの、骨や歯の材料となるカルシウムや、たんぱく質、脂質の代謝を助けてくれるビタミンB12などが豊富です。
ただし、やはりこのメニューだけでは栄養が不足してしまうので、お昼と夜の食事で補う必要がありますね。
――今回紹介した中から、一番おすすめしたいモーニングメニューを選ぶならどれですか?
猪坂 今回ご紹介したメニューは、どれも「それだけでは栄養バランスが偏ってしまう」といった感じでした。その中でも、エクセルシオールの「ジャンボンハム・レタスサンド」は、ドリンクセットでカフェラテやミルクを選べば、サンドだけでは足りないたんぱく質が補給でき、栄養バランスが整いやすいので、こちらが一番おすすめです。
もちろん、ほかのお店のメニューも、エネルギーやたんぱく質の補給には役立ちます。1日を気分よく始めるのも、朝食の重要な役割。食べたいメニューを選んで、お昼や夜の食事で栄養を調整するという選択も、ありだと思いますよ。
朝食をきちんと食べる人には、「栄養素の摂取量が多い」「睡眠の質が良い」「ストレスが少ない」という傾向があるといわれています。心も体も健康な状態を保つため、手軽に食べられるモーニングメニューを活用してみてはいかがでしょうか。
(文:佐藤真琴)