9月30日、宝塚歌劇団の団員である25歳の女性が、兵庫・宝塚市の自宅マンション敷地内で死亡したこと、また18階から自ら身を投げ、転落死した可能性があることを、一部メディアが報道。翌日には、劇団側も公式ホームページで「宝塚歌劇団員の死亡に関する報道がございました。謹んで心より哀悼の意を表します」(原文ママ、以下同)などとコメントし、同時に「ご親族の心情に配慮し、詳細につきましては公表を差し控えさせていただきます」としていた。そんな中、同5日発売の「週刊文春」(文藝春秋)が、女性の死の背景について詳報。しかし、同日午後1時現在、何のアナウンスも行わない劇団側に対し、ネット上には批判の声が上がっているという。
「文春」は今年1月と2月、劇団内での“いじめ疑惑”を追及。トップスターが、コンビを組むトップ娘役に暴言を吐いていたこと、とある団員が下級生の額にヘアアイロンでやけどを負わせていたことなどを伝え、「先輩から下級生へのパワハラや暴言は当たり前」という生徒関係者の証言を掲載した。当時、劇団側は一連の疑惑を「事実無根」と断言していたが、転落死した女性は、同記事内でいじめ被害者とされた人物とみられている。
「今月5日発売の『文春』では、所属する組のリーダーとして、新人公演を仕切っていた彼女が、上級生からの罵倒や下級生からの突き上げに悩まされていたとする証言などが掲載されています。また、今年頭の『文春』記事をめぐって、女性は自らを責めるような言動を取っていたそうですが、同誌は『不都合な出来事は一切公表せず、口癖のように「事実無根」と繰り返して隠蔽』する劇団側の姿勢を痛烈に批判しているんです」(同)
「事件ですよ」宝塚歌劇団の運営を問題視する声も
なお、今月1日配信の「文春オンライン」は、同日に行われた『第56回宝塚舞踊会』(宝塚バウホール)で、劇団理事長・木場健之氏が観客に対して「昨日の報道については哀悼の意を表します。しかしながら、現時点では詳細は公表しません。舞踊会は自己研鑽の場なので予定通り開催することをご理解ください」などとコメントしていたと伝えている。
「その後、ホームページ上では宙組と花組の一部公演の中止が発表されましたが、5日には花組の公演再開がアナウンスされ、亡くなった女性に関する説明はありません。とはいえ『文春』が以前から伝えていたいじめ疑惑と結びつけるネットユーザーは多く、『宝塚の対応ヤバくない? ジャニーズよりタチ悪い』『今はジャニーズに注目が集まってるけど、これで宝塚が何事もなかったかのように運営を続けるなら事件ですよ』といった書き込みが散見されます」(同)
ジャニーズ事務所は現在、事務所創業者であるジャニー喜多川氏(2019年に死去)の性加害問題に揺れている。同氏の問題は、以前から「文春」はじめ一部では報じられていたものの、今年3月、BBC(英国放送協会)がドキュメント番組『Predator: The Secret Scandal of J-Pop』で徹底追及したことにより、ようやく「文春」以外の大手メディアでも扱われるようになった。
「ネット上では、ジャニー氏の性加害問題が長らく大事にされないままだったように、宝塚も閉鎖的かつ隠蔽体質であると問題視する声が飛び交っている状況。同時に、『タカラジェンヌの件、テレビではほとんど報道されてないよね?』『マスコミもスポンサーもどうした? ジャニーズの一件から何も学んでないじゃん』『宝塚もBBCが踏み込んでこないと報道できないの?』など、またしても大手メディアが女性の死やいじめ問題を扱わないことへの疑問も寄せられています」(同)
「ジャニーズの次にメスが入るのでは」との声もある宝塚歌劇団。亡くなった女性に対するいじめは本当になかったのか、また、劇団内でハラスメント行為が横行しているといった実態はないか、しっかりと調査してほしいものだ。