その年度に「最も印象に残る」活躍をした声優や話題となった作品の業績を称えるために、日本音声製作者連盟とKADOKAWA、文化放送、小学館、小学館集英社プロダクションがアニメ業界各社と協力し、2006年に創設した「声優アワード」。
主演声優賞、助演声優賞など全16部門のうち、ファン投票により選出される唯一の部門「MVS(Most Valuable Seiyu)」以外の15部門の選考は、実行委員会・選考委員会で行われ、毎年3月に授賞式が開催されている。
現在、「声優アワード」公式サイトをはじめ、アニメ情報誌「月刊ニュータイプ」(KADOKAWA)公式サイトや動画配信サービス・dアニメストア内では、「MVS」部門の投票を受付中だ。
声優界、アニメ界の世相やトレンドがわかるとあり、双方のファンにとっては、一大イベントとなっている「声優アワード」。一方で、その年に限らず、スタッフウケのいい声優はいったい誰なのか? アニメ業界関係者は以下のように語る。
「まず、声優業界で長く生き残っている人は、技術があるのはもちろん、人柄も良い。作品に起用する上で、主要キャラクターは人気のある声優を優先的に使いますが、脇役の場合、最終的には声優自身の人柄が重視されるケースもあるんです」(アニメ業界関係者)
そんな中で、業界内にファンが多いのは、国民的アニメ『ルパン三世』(日本テレビ系)シリーズの石川五ェ門役をはじめ、『ハイキュー!!』(TBS系)の及川徹役や、『HUNTER×HUNTER』(フジテレビ系)のヒソカ役など、数々のアニメに出演している浪川大輔だとか。
「彼は若い頃から『飲み営業』をしていたので、業界内に一定数の“浪川一派”がいるんです。正直、芝居はあまりうまくないのに人気アニメによく起用されているのは、彼の営業努力の賜物でしょう。また、『BLEACH』(テレビ東京系)の茶渡泰虎役などで知られる安元洋貴も、業界内で人気が高いですね。ただ、彼は声優や主要スタッフには愛想が良いものの、自分にメリットがあまりない――つまりキャスティング権を持たないスタッフなどには横柄な態度を取ることも多いと言われています」(同)
業界内で評判がイマイチなのは、「声優アワード」殿堂入りのあの声優!
逆に、スタッフからの評判がイマイチな声優は、「台本に“意見を言いたがり”な声優」(同)だという。
「『新世紀エヴァンゲリオン』(テレビ東京系)シリーズの碇シンジ役でおなじみの緒方恵美や『おそ松さん』(同)シリーズの松野チョロ松役などで知られる神谷浩史らが挙げられます」(同)
彼らはよく「この役はこういうセリフを言わない」「ここのセリフの意味が理解できない」などと、台本に意見するというが、「最終的な責任を負っているのは監督なのですから、台本を受け取った声優は、最大限の芝居で応えるべき。たとえセリフの意図が理解ができず、自分の意思とは反する台本だとしても、与えられたものを自分なりに読解して、監督の期待を超える芝居をする声優は、業界内でとても好かれます」(同)とのこと。
ちなみに、浪川は「第4回声優アワード」にて「助演男優賞」を受賞。安元は同アワードの「第15回」でラジオ、webラジオ、TV、その他の番組でパーソナリティとして活躍した人物としてパーソナリティ賞に輝いた。
また、緒方は「第16回」の主演女優賞、神谷は「第10回」で5年連続最多得票賞を受賞し「殿堂入り」を果たすなど、その実力は確かに認められている。
とはいえ収録現場では、やはり技術面だけでなく、スタッフへの接し方も重要視されているようだ。