「子ども同士の付き合い」が前提のママ友という関係は、価値観や環境の違いからさまざまなすれ違いが起きやすい――。ママたちの実体験を元に、ママ友ウォッチャーのライター・池守りぜねが、ママ友トラブルの解決策を考える。
1人の女性が一生の間に産む子どもの数(合計特殊出生率)は、年々減少を続け、2022年は「1.26」 となっている。兄弟や姉妹がいると、第2子以降は兄や姉のおさがりの服を着たり、おもちゃで遊ぶことが普通だった。しかし一人っ子が増えている現在では、サイズアウトした衣類や、子どもが遊ばなくなってしまったおもちゃが、「まだ使える」状態でたまっていき、その処分方法に 悩むというケースは珍しくないだろう。
今回は、「ママ友に善意で渡したおさがりが、思わぬ使い方をされていた」とショックを受けるお母さんの声を取り上げる。
夫の妹と私は“ママ友”の関係だけど……義母の態度の違いにモヤモヤ
唯さん(仮名・36歳)は、地方都市で7歳になる女児の育児をしている。彼女は関東出身だが、結婚を機に夫の地元にお引っ越し。最寄り駅からはバスで10分程度かかるため、夫の妹夫婦とよく車を相乗りしてショッピングモールまで出かけるという。
「夫の妹の雅美さん(仮名・28歳)は、5歳の男の子と3歳の女の子を育児中。20代とまだ若いので、義母から『育児を手伝ってあげてほしい』と言われていました。雅美さんとはお互いの家を行き来するような仲になり、私にとって雅美さんは、義妹というよりもはやママ友です 」
唯さんいわく、義母は雅美さんのサポートに積極的で、「自分に対する態度との違いを感じる」とのこと。
「義母は平日、雅美さんたちを家に招いて夕飯を食べさせ、育児も手伝ってもらっています。しかも、月に1~2回ほど夜に子どもたちを預かっていて、その間、雅美さんは友達と飲みに行ったりしているんです。 一方、義母は私に対して『子どもが1人しかいないから、自分でみられるよね』という態度で、長男の嫁だからか、家の用事の手伝いまでお願いされることもしばしば。 義母と雅美さんは実の母娘だから、距離が近いのはわかるんですが、 不平等な気がしてしまいます 」
しかし唯さんは、「子どもをもう1人、しかも男の子を産めなかった」という負い目を感じているため、義母に文句の一つも言えないそうだ。
「夫は2人兄妹だし、うちの地域は子どもが2人以上の家庭が多い。さらに義実家は家業をやっていることもあって、義母はもう1人、かつ跡継ぎになる男の子を産んでほしかったみたいです。でも私は体が弱く、年齢的にも子どもは1人で諦めざるを得なかった。これは夫と話し合って決めたことですが、どうしても気になってしまって。東京に住んでいる友達は、子どもが1人だけの夫婦も多いのに……」
そんなモヤモヤした気持ちを抱えている唯さんだが、雅美さんとの関係自体は良好だという。 ただ、雅美さんは、普段から唯さんの使っている育児用品を「貸してほしい」としきりに言ってくるようで、「断ることもできず、困惑した」そうだ。
「『親戚同士なんだし、 貸し借りし合うのは普通』というような言いぶりでした。私も早い段階で2人目は考えていなかったので、雅美さんが1人目を妊娠した時には、抱っこ紐やベビーバス を貸したのですが……結局、そのまま使わなくなったので、雅美さんに譲ったような形に なりました」
とはいえ、子どもが1人で、親しいママ友も少ないという唯さん。娘のサイズアウトした服は たまる一方だったため、雅美さんの娘へ譲ることにした。
「一人娘ということもあって、外出着などはブランドものを着せていました。洗濯は手洗いで、記名もしておらず、かなりきれいな状態だったため、サイズアウトしたものを捨てるに捨てられず……。 いちいちメルカリに出品するのも面倒だったので、まとめて引き取ってもらえる雅美さんに段ボールごと譲りました。ほかにも使わなくなったおもちゃをあげたりしていたんです 」
しかし、唯さんの善意は思いもよらぬ事態を引き起こしたという。
「ある時、雅美さんと共通のママ友から信じられない話を聞いたんです。『雅美さん、唯さんにもらった洋服とかおもちゃ、育児グッズを、いくつかセカンドストリートやメルカリで売ってるみたいだよ』って。まさか善意で譲ったものでお小遣い稼ぎしていたなんてとびっくりしました」
唯さんは、雅美さんに確認する前に、義母にそのことを報告した。すると、悪く受け取ることは一切なかったそうだ。
「『あげたものなのだから、どうしようと勝手でしょう』『お金になったのならよかったじゃない』と言われたんです。大事に使ってくれると思って譲ったのに……。私たちが買った物を売って、現金化するなんて非常識だと思うんです。なんだか裏切られたような気持ちになりました」
「別にお金が欲しかったわけではない」という唯さん。人からもらったものを売り払ってしまうことにモヤモヤしたそうだ。
「雅美さんは義妹だし、数少ないママ友でもあるので、今後も付き合いは続けていきます。でも、おさがりをあげるのはどうしようかと悩んでいます 」
子どものサイズアウトした服や使っていないおもちゃを、メルカリやヤフオク!などに出品したり、セカンドストリートやハードオフ、トレジャーファクトリーなどに売ったりして小銭を稼ぐというのは、今の時代、当たり前となった。しかし、困るのが今回のようなお古としてもらった服やおもちゃの処分方法だ。
唯さんが雅美さんにおさがりをあげたのは、処分目的もあるが、 「彼女の役に立ってほしい」という気持ちがあったからだろう。それを、フリマアプリに出品され、買取ショップに売られていたと知ったら、ショックも大きい。筆者も、同じような経験があるので気持ちは理解できる。「売るつもりなら譲ったものを返して」とも言いづらいだけに、気持ちはすっきりしないだろう。
唯さんは雅美さんを「ママ友」と言っていたが、雅美さんには、 親戚であるがゆえの無配慮さを感じた。これからは自分の精神衛生のためにも、「捨てた」という気持ちになれるものしか譲らない、もしくは最初に「あなたが使ってください」と伝えるべきだ。
子どもが1人しかいない場合、使用しなくなった洋服やおもちゃ、育児用品が、きれいな状態で残っているというケースも多く、 未練が残ってしまいがち。手間がかかっても、自分でフリマアプリに出品して販売するか、買取ショップに持って行く、それができないのならば、たとえ売られたとしても許せる相手に譲るべきだろう。
「相手が大切に使ってくれたらラッキー」。おさがりをあげるときは、それくらいの気持ちでいるほうがいいのかもしれない。