11月10日放送予定のテレビ朝日系音楽番組『ミュージックステーション』(以下『Mステ』)2時間スペシャルに、11人組ボーイズグループ・INIが初出演すると発表された。ここ数カ月、旧ジャニーズ事務所所属ではないボーイズグループの出演が相次ぐ『Mステ』だが、業界関係者はこの事態をどのように見ているのか。
『Mステ』をめぐっては以前から、旧ジャニーズと競合しそうなボーイズグループの出演機会がほとんどなく、ネット上では同社による“圧力”や、テレ朝の“忖度”が疑われていた。そんな旧ジャニーズは今年、創業者・ジャニー喜多川氏(2019年7月に死去)の性加害問題が取り沙汰され、現在も被害者への具体的な補償に向けて対応を進めている。
「旧ジャニーズが9月7日に行った会見では、記者から『Mステ』に他社のボーイズグループが出演していない状況に関する質問も飛び出し、東山紀之新社長が『(今後の忖度は)必要ありません』と明言。その後、同29日放送の『Mステ』3時間スペシャルには、7人組ボーイズグループ・BE:FIRSTが初登場。10月20日放送の同番組2時間スペシャルには11人組ボーイズグループ・JO1も初出演を果たしました」(芸能ライター)
そして今月10日に放送が予定されている『Mステ』2時間スペシャルには、JO1の“弟分”的グループ・INIが初登場する。なお、JO1は20年3月4日、INIはBE:FIRSTと同じ21年11月3日デビューのグループだ。
「いずれもデビューから2~3年遅れでの初登場で、JO1もBE:FIRSTも複数曲を披露。INIも3曲歌う予定で、ファンは大喜びしています。しかしこれにより、旧ジャニーズからの出演妨害、番組側の忖度の弊害があったことが強調されてしまい、あらためて視聴者に衝撃を与えたのではないでしょうか」(同)
テレ朝サイドが“非ジャニーズ”のボーイズグループの出演を解禁したのは、同社との癒着というネガティブイメージを払しょくしたいからと考えられるが、「正直、この決断が番組にとってプラスになるとは思えない」(同)という声も聞こえてくる。
『Mステ』の危機を救ったのが旧ジャニーズだった
1986年から続くご長寿番組『Mステ』は、長年、人気タレント・タモリと、テレ朝の女性アナウンサーが司会を担当。90年代~00年代は、『Mステ』に出演することで、一流のアーティストと認められるという風潮もあったほど、同番組はブランド化。しかし、今年9月1日配信の「週刊女性PRIME」記事でも触れられていたように、番組開始当初の80年代は人気低迷が続き、出演するアーティストも集まらなかったという。
「そこに救いの手を差し伸べたのが旧ジャニーズ。人気グループを何度も番組に出演させ、視聴率に貢献したそうです」(スポーツ紙記者)
その恩義もあってか、『Mステ』は、これまで“ジャニーズファースト”に徹してきたとみられる。
「ジャニー氏の性問題が表面化する前から、他局の音楽番組は、旧ジャニーズ以外のボーイズグループを積極的に起用する流れになっていましたが、こと『Mステ』は頑なに当初の姿勢を貫いていた。そんな背景もあってか、今さら路線変更しても、他社のボーイズグループサイドは冷めていて、特に喜んでいるわけではないようです」(同)
『Mステ』はオワコン化――BE:FIRST、JO1、INIサイドにこだわりはなし?
そもそもこの数年、『Mステ』はもとより、テレビの音楽番組自体が“オワコン”化している。
「昔と違って『Mステ』に出演すれば世間に認められる、さらに売れるなんてことはまずありません。BE:FIRST、JO1、INIといった若い世代のアーティストを抱える運営側は、『Mステ』出演というか“テレビに出ること”自体に、あまりこだわりがないんです。ここ最近、彼らが『Mステ』に出演しているのも、単に“お試し”感覚で、今後は出演しない可能性もある。音楽番組の“オワコン”化が進む中、『Mステ』はこの先、出演者探しにも苦労するようになりそうですし、番組打ち切りは規定ルートとみられています」(同)
ジャニー氏の性加害問題が大ごとになってからも、『Mステ』はジャニーズグループを出演させているが、その枠がなくなると一番困るのは、番組サイドなのかもしれない。