今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。
もともとあった「LINEの暴排条項」
10月いっぱいでヤクザがLINEを一斉にやめた件については、いろんな情報が錯綜してましたね。
「LINEに暴排条項ができて、11月からヤクザはLINEを使えなくなるそうです」
オットの元若い衆からLINEで連絡があったのは、10月の半ばくらいでしたか。「ヤクザ業界は大激震」だったそうです。ていうか今までLINEに暴排条項がなかったことに驚きましたが、違いました。条項自体は前からあったことが報道されてます。
でも、ニュースサイト「ポストセブン」によると、11月から「LINEの規約が変わって、『反社会勢力の人間は10月でLINEが使えなくなる』という話が広まった」ことで、現役のヤクザがみんな慌ててやめたそうです。この拡散の速さはネットの怖いところですね。
今やLINEはヤクザにとっても必須アイテム。事務所が使えないところも多いし、通話も無料なので、日常の連絡はほぼLINEと聞いてます。
一方で、「ちょっと前までは、組を抜けたい若い者がLINEで『やめます』と連絡してきたけど、今はそれ(=LINEの連絡)すらない」(元オットの兄弟分情報)という話もあって、これも時代ですね。
飛んだら(逃げたら)地獄の果てまで追いかけてひどい目に遭わせるというのは、「闇バイトグループ」です。
住所などを把握したうえで「家族全員を殺す」と脅したり、撮影しておいたリンチの画像を見せたりと、もはやヤクザ以上です。
昭和の頃は、「盃」の前後に本人だけでなく家族の写真を撮ったり、住所を調べたりして、「飛んだとき」に備える親分もいました。今はトップにまで責任がいってしまうので、それもやらないと思います。
話がそれましたが、そもそもLINEのアカウントが反社かどうかを、どうやって調べるのでしょうか?
2023年6月末時点で、月間ユーザー数は約9,500万人だそうです。企業やブランドの公式アカウントも含まれますが、ほぼ1億ですよ。
まあ今までもスーパーマーケットやETCのポイントカードとかで「暴力団員」が逮捕されてますから、急にみんながLINEをやめたのも、逮捕に備えてのことですね。「LINEを使っているだけで逮捕される可能性」がなくはないということです。
LINEは基本タダなんで、「スーパーやETCのポイントを詐取した」みたいにはならないでしょうから、「暴力団員であることを隠して契約した」という詐欺罪とかになるのでしょうか。
本当にヤクザには生きにくい社会になってますね。
「トラブルを解決するヤクザ」も絶滅?
殺人罪などで起訴されている五代目工藤會・田上文雄会長は、ヤクザをやめない理由を「私のように、この世界(=ヤクザ社会)でしか生きていけない人間もいる」と法廷で述べたことは前にも書かせていただきましたが、とにかく生きにくいので、「ヤクザをやめても生きていける社会」にしたいですね。
平成の半ばくらいまではヤクザを利用するカタギさんも珍しくなくて、「頼れる親分」「トラブルを解決してくれる親分」としての役割もありました。
今はそういうのもないし……と思ってたら、先日、「4年前の車両特攻事件」で関係者が逮捕されましたね。立ち退きに応じなかったラーメン屋さんにダンプカーが突入して店内設備を壊し、移転させた事件です。
報道によりますと、依頼したのは医療法人役員、頼まれたのは六代目山口組の関係者で、役員から関係者の口座に50万円が振り込まれてたそうです。これが事実なら、「今どきヤクザに解決を頼む珍しい事件」といえますが、50万円は安いですね。着手金ももらってるのでしょうか?
逮捕→起訴→懲役となったら、50万円じゃ全然合わないです。弁護人の着手金だけでそのくらいかかります。
この事件は謎が多いですね。なんでそんなに報酬がお安いのか、なんで足のつきやすい口座振り込みにしたのか、そもそもなんで今どきヤクザに頼むのでしょう?
暴力団排除条例は2011年10月までに全国の都道府県と一部の市町村で出そろってて、施行からほぼ10年です。よくも悪くも定着してきてますから、こういう事件はもう起こらないかと思ってました。裁判も注目したいです。