2023年も残すところあと1カ月、今年も映画館ではさまざまな作品が上映され、多くの観客を魅了した。映画ファンの間では、興行収入に基づいた国内映画ランキング(興行通信社)も注目され、公開初週は特に、ロケットスタートを切った作品は何か、つまずいてしまった作品は何かがネット上で大きな話題になる。
今回は、23年に国内で大規模上映(300館以上)された洋画を対象に、初日3日間の興行収入をランキング化。ぶっちぎりの1位になった作品、一方で下位に沈んでしまった作品をチェックしていこう。
2023年公開の洋画(大規模上映作品)初動ランキング【11月30日最新】
1位:『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』(4月28日公開)372館 18億4300万円
2位:『ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE』(7月21日公開)383館 10億6500万円
3位:『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』(5月19日公開)374館 9億9200万円
4位:『リトル・マーメイド』(6月9日公開)378館 7億1200万円
5位:『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』(6月30日公開)375館 6億4800万円
6位:『ホーンテッドマンション』(9月1日公開)370館 4億7600万円
7位:『MEG ザ・モンスターズ2』(8月25日公開)348館 4億3300万円
8位:『アントマン&ワスプ クアントマニア』(2月17日公開)360館 4億1100万円
9位:『スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース』(6月16日公開)354館 3億9600万円
10位:『マイ・エレメント』(8月4日公開)359館 3億3700万円
11位:『マーベルズ』(11月10日公開)366館 3億2300万円
12位:『ジョン・ウィック コンセクエンス』(9月22日公開)328館 3億200万円
13位:『ザ・フラッシュ』(6月16日公開)345館 2億1500万円
14位:『ザ・クリエイター 創造者』(10月20日公開)355館 1億6400万円
15位:『ドミノ』(10月27日公開)335館 7600万円
※初日3日間の興行収入が不明の『バビロン』(2月10日公開)『シャザム!~神々の怒り~』(3月17日公開)『シング・フォー・ミー、ライル』(3月24日公開)『ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り』(3月31日公開)『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー VOLUME 3』(5月3日公開)『トランスフォーマー/ビースト覚醒』(8月4日公開)『グランツーリスモ』(9月15日公開)『名探偵ポアロ ベネチアの亡霊』(9月15日公開)を除く。
『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』が断トツ! 2位はトム・クルーズの人気作
1位は、日本のゲーム『スーパーマリオ』シリーズを原作とした『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』(4月28日公開)で、公開3日間の興行収入は18億4300万円。今年公開された日本映画で最も初動の勢いがあったのは『名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)』(4月14日公開)の31億4600万円で、それには及ばなかったものの、洋画としてはダントツであった。
日本の漫画やゲームを海外で映画化した際、残念な出来になることも少なくない中、任天堂とイルミネーションの合作とあって、期待していたゲームファンも多かった様子。マリオを宮野真守、ルイージを畠中祐、ピーチ姫を志田有彩が担当している日本語吹き替え版も概ね好評なようだ。
2位は、トム・クルーズ主演『ミッション:インポッシブル』シリーズの第7作目にあたる『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』(7月21日公開)で10億6500万円。全人類にとって脅威となる兵器が悪の手に渡るのを阻止するため、「2つの鍵」をめぐる戦いに挑むイーサン(トム)とIMFチームの姿が描かれる。
同作は2部作の前編にあたり、後編は当初24年6月28日公開とアナウンスされていた。しかし、全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)のストライキの影響で25年5月23日まで延期することが発表されたため、ネット上では「前編の内容忘れそう」と不安視する人も……。
3位は、『ワイルド・スピード』シリーズの10作目にあたる『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』(5月19日公開)で9億9200万円。制作費は3億4000万ドルと報じられており、「史上8番目に制作費が高額な映画」としてランク付けされているとか。
今回は、家族や仲間と平和に暮らす主人公・ドミニクに、シリーズ史上最も凶悪なヴィラン・ダンテが襲いかかるストーリー。ちなみに、5月に行われた公開記念イベントには、なかやまきんに君とみちょぱ・大倉士門夫妻が登壇していた。
ワーストのベン・アフレック主演『ドミノ』は『インセプション』を彷彿?
一方、初日3日間の興行収入が公表された範囲内の下位作品を見ていこう。
ワースト3位は、エズラ・ミラー主演のタイムループ・アドベンチャー『ザ・フラッシュ』(6月16日公開)で2億1500万円。同作は『ジャスティス・リーグ 』(17年)に登場する“地上最速のヒーロー”フラッシュことバリー・アレンが、幼い頃に亡くした母親を救うため時間を遡るも、その行動が“現在”に歪みをもたらし、世界滅亡の危機に瀕してしまうというストーリーだ。「DC最高傑作」の触れ込みだが、日本での興行収入はそこそこだった様子。
ワースト2位は、SFアクションスリラー『ザ・クリエイター 創造者』で1億6400万円。元特殊部隊のジョシュアが、人類を滅ぼす兵器を創り出した“クリエイター”の潜伏先を見つけ、暗殺に向かう物語だ。渡辺謙も出演しており、日本語吹替版では渡辺の声を声優の森川智之が担当している。
ワースト1位は、ベン・アフレック主演のSFアクションスリラー『ドミノ』で7600万円。『スパイキッズ』シリーズのロバート・ロドリゲスが監督・脚本などを手がけるものの、プロモーション不足もあってか厳しい数字となった。また、題材や予告編がクリストファー・ノーラン脚本・監督のヒット作『インセプション』(10年)を彷彿とされると話題に。映画ファンの期待値も上昇し、結果的に良くも悪くもハードルが上がってしまったようだ。
今年は『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』の一人勝ち状態となった洋画ランキング。来年も“マリオ級”のヒット映画が日本に上陸することを心待ちにしたい。