• 日. 12月 22nd, 2024

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岡田美里は時代を象徴する女性――「カリスマ主婦」から「恋する母」への変貌

私たちの心のどこかを刺激する有名人たちの発言――ライター・仁科友里がその“言葉”を深掘りします。

<今回の有名人>
「お皿を洗ってくれて、お洗濯もしてくれる」岡田美里
『徹子の部屋』(12月6日、テレビ朝日系)

 とある女性誌から取材を受け、その雑誌を読んだところ、路線が変わっていることに驚いた。経済力のある男性に選ばれて、のちに裕福な専業主婦となるであろう独身女性のための雑誌と勝手に思っていたが、今は日本を代表するフェミニスト・上野千鶴子センセイが登場して、恋愛や結婚の在り方をレクチャーしていたのだ。

 時代は変わった――そう思わされることは多々あるが、岡田美里の再々婚もその一つではないだろうか。

堺正章との離婚、「わがままな妻」とバッシングされた過去

 聖心女子大学を卒業した後、モデルやテレビ番組のアシスタントをしていた岡田は1989年、15歳年上の堺正章と結婚し、「アトリエミリーミリー」を開講。料理やテーブルセッティングなど、センスある暮らしをレクチャーする講座は、裕福な専業主婦や幸せな結婚を夢見る家事手伝いの若い女性に大人気だったという。

 カリスマ主婦としての地位を築いた岡田だが、2001年に離婚を発表。岡田は会見を開き 、堺宛てに全国から送られてくるお中元やお歳暮をさばくことが苦痛であったこと、あまりに量が多く、食べきれないためにホームレスの人に食べ物をわけていたことなどを明かしていた。

 また、岡田は離婚の決定的な原因として、実父であるタレントのE・H・エリックのDVを挙げた。暴力を受けた際の心の傷が癒えていないため、堺が付き人などをきつめに叱責したり、物を机の上に投げるなど、ちょっとしたことで当時の記憶が呼び起され、恐怖を感じるPTSD(心的外傷後ストレス障害)に悩んでいたそうだ。

 今の時代であれば、DVやPTSDに関する知識を手に入れることは簡単だろうが、当時はメンタルヘルスに関する理解が十分でない時代だったため、岡田はお中元やお歳暮をさばくことを面倒くさがる、わがままな妻としてバッシングされたのだった。

岡田美里の再々婚相手は「お皿を洗ってくれて、お洗濯もしてくれる」

 離婚をするということは、岡田がこれまで築き上げてきたカリスマ主婦という肩書を捨てることも意味する 。それでも離婚したということは、岡田にとってよっぽど結婚生活は耐えがたいものだったのだろうと想像するが、その2年後、岡田は一般人男性と再婚。当時、「経済力があり、知名度のある年上の男性に守られるのではなく、同じ目線のパートナーが欲しかったのかな」と思った記憶があるが、5年後にまたも離婚してしまう。

 もう結婚はこりごりと思いそうなものだが、岡田は13年の交際を経て、還暦を迎えた際に、3度目の結婚を果たす。ゲスト出演した12月6日放送の『徹子の部屋』では、夫はとてもいい人で、「お皿を洗ってくれて、お洗濯もしてくれる」と話していた。

 お嬢さま育ちの女性が、実父と同じ、もしくはそれ以上の経済力のある男性と結婚して、子育てやママ友たちとの社交に勤しみ、夫の経済力やネームバリューをもとに、自宅でサロンを開く――そんな生き方が憧れの対象になった時代があり、岡田はそのパイオニアといえるだろう。

 しかし、面白いのは、その後の岡田が「カリスマ主婦」 というスタイルを自ら壊しながら、「恋する母」という新たなる女性の形を提案しているように見えること。上述した通り、岡田は2回離婚しているが、最初の離婚後、あまり日をおかないでの再婚や、13年間の交際からわかるように、恋愛からまったく遠ざかっていない。

 離婚後も子育てと恋愛に邁進する一方 、タレントの仕事はもちろん、近年はジャム作家としても活動するなど、仕事に対してもアクティブな岡田。心の通わない夫と暮らすよりも、こういう生活のほうがうらやましいと思う人は、今後どんどん増えてくるのではないか。

 離婚が恥と考えられた時代も今は昔。経済力 を持つ女性にとっては、離婚は新しい恋愛をするためのチャンスカードとみなされる時代が、まもなくやってくるかもしれない。その際に女性たちが選ぶのは、経済力のある男性ではなく、皿を洗ってくれる人のように思う。やっぱり岡田って時代を象徴する カリスマなのだと思わずにいられない。

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