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中学受験直前、塾でブッ倒れた母も? わが子が「心配でたまらない」親たちの声

 まもなく中学受験の本番がスタートというこの時期、ほとんどの親は、わが子のことが「心配で心配でたまらない……」という心境なのではないだろうか。中でももともと心配性の親は強い不安感に襲われ、夜も眠れない日々を過ごしているかもしれない。

 サイゾーウーマンはこれまで、受験カウンセラー、教育・子育てアドバイザー鳥居りんこ氏の連載「“中学受験”に見る親と子の姿」内で、受験直前期、プレッシャーに押しつぶされそうになったという母の経験談を取り上げてきた。

 親として、どっしり構えていなければいけないのに、どうしてもそれができない――現在、そんなお悩みを持つ中学受験生の母にぜひ参考にしていただきたく、今回はこれらの記事を再掲する。



“親子の受験”といわれる中学受験。思春期に差し掛かった子どもと親が二人三脚で挑む受験は、さまざまなすったもんだもあり、一筋縄ではいかないらしい。中学受験から見えてくる親子関係を、『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などの著書で知られ、長年中学受験を取材し続けてきた鳥居りんこ氏がつづる。

中学受験、心配症の母親が塾でブッ倒れ……この季節の“あるある話”に塾の対応は?

※初出:2021年11月14日

 2月の東京・神奈川の中学受験本番まで残り100日を切った。ということは1月受験である他県の中学受験生も含め、すべての中学受験家庭に焦りが見える時期が到来したということになる。この晩秋から初冬にかけては、そのプレッシャーで押しつぶされそうになるお母さんが続出する季節でもあるので、注意が必要だ。

 啓代さん(仮名)は自ら「心配性なんです、私」と訴えるほどに繊細な人である。一昨年の今頃の話。小6の息子である大輔くん(仮名)を塾にお迎えに行った啓代さんは、校舎内に大きく貼られた掲示を見て、言いようもない不安感に襲われたのだそうだ。掲示板には、墨文字でこう書かれてあったという。

「受験本番まで、あと87日!」

 その直前、啓代さんがお迎えの母親同士の会話を聞くともなしに聞いていると、過去問の話をしているご様子。

「そうね……。お兄ちゃんの時は過去10年分をやりこんだから……」

「そうなのね、やっぱり10年? うちはまだ、3年分くらいしかできてないな……」

 啓代さん自身には中学受験の経験はなく、大輔くんは一人っ子。何もかもが手探りなのであるが、人見知りな性格も加わり、ママ友と呼べる人もいない“孤独の戦い”だったそうだ。

 啓代さんは「え、もう3年分? 3年分は終わったってこと? ウチはまだ1年分だけ……。え、待って。10年分やらないといけないって、どのくらいかかるの? もう、絶対、間に合わないじゃない!?」という焦りを感じた時に、目に飛び込んできた文字が「あと87日」。大輔くんは国語・算数・理科・社会という4科目で受験するので、1科目50分だとして、過去問1年分で200分。10年分で33時間超。それを第3志望校までやるとしたら……?

 塾も学校もあるのに、どうやって時間を作るのかを考えただけで、啓代さんは顔面蒼白。それからの記憶がおぼろげだと言う啓代さんであるが、それもそのはず、なんと啓代さんはそこで貧血のような症状を起こして、倒れてしまったというのだ。そして、気が付いた時には、事務室内のソファーに寝かされていたという顛末。

「もう、本当に恥ずかしかったです。手当てしてくださった先生にも申し訳ないですし、何より、大輔に心配をかけてしまって……」

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中学受験の本番直前、母を襲う極度の“不安”――「自分は狂ってる」と吐露した悩みとは?

※2019年1月13日初出

 今年も各地で中学受験の本番がスタートした。2月1日に受験解禁になる東京・神奈川の私立中学の受験生家族は、まさに今、右往左往しているであろう。

 「人事を尽くして天命を待つ」というように、「できる限りのことをしたのだから、その結果は天の意思に任せよう」と、どっしり構えていられれば最高なのだが、現実はそうはいかない。もうなすがままに身を任せるしかないとは頭では理解しているつもりでも、心配しすぎで足掻いてしまうのが親心。中学受験とはそういうものなのだ。

 この心配は「合格しなかったらどうしよう?」ということに尽きる。しかも、その心配が高じて、些細なことまでもが、さまざまな“不安”となって、母の心をかき乱すのだ。

 東日本大震災の数年後、筆者は貴也君(仮名)という男の子の母・聖子さん(仮名)から、相談を受けたことがある。貴也君は、全国でもトップレベルの偏差値をキープしたまま、受験本番週を迎えた。模試の結果によると、志望校は余裕で合格圏内、塾もお墨付きを与え、何より、受験するご本人様が“やる気満々”。死角はどこにもないと誰もが確信していたのだ。

 しかし、聖子さんだけが人知れず“不安”と戦っていた。受験本番数日前、彼女から筆者の元にメールが届いたのだが、その内容はこうだった。

「もし、受験本番の日に大地震が起こったら、息子はどうすれば良いのでしょうか?」

 「なぜそんなことを?」と思わずにはいられないが、彼女は真剣に悩んでいたのだ。参考までに記すと、筆者は「大地震があったら、入試は延期になる。受験生全員が等しい条件で受けられないのだから、心配いらない」と答えた。

 筆者はつくづく、母という生き物は、悩みがなさそうな人であっても、わざわざ自ら“悩み”を生み出してしまうものなのだなと実感したのである(結果、貴也君は、余裕で最難関校を総なめにした)。

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