もうそこまで近づいているクリスマス。それらしいイベントに参加する予定がない人でも、時節柄、チキンだけは食べたいですよね。定番のケンタッキーをはじめとしたファストフードチェーン、そしてファミチキでおなじみのファミリーマートなどのコンビニでもクリスマスに合わせたチキンを展開中です。そこで今回は、管理栄養士の猪坂みなみ先生に、クリスマスから正月にかけた暴飲暴食シーズンでも健康的に食べられるチキンを選んでもらいました。
※一部店舗では価格が異なります。各公式サイトでご確認ください。
ケンタッキーのオリジナルチキンは肉の比率が高い
――各社がクリスマスに向けたチキンを用意しています。フライドチキンの栄養素としての特徴はどんなものがありますか?
猪坂みなみ先生(以下、猪坂) フライドチキンは、鶏肉に味の付いた衣をつけて揚げた料理ですので、鶏肉からたんぱく質を補給できます。さらに油で揚げていますので脂質が多めに含まれていることと、衣は小麦粉や片栗粉ですので、少しですが糖質も摂取できますね。
――クリスマスから正月にかけては年に一度の暴飲暴食シーズンです。ファストフードチェーンで展開中のチキンについて、健康に配慮した上でおすすめのものを教えてください。対象は、ケンタッキー・フライド・チキンの「オリジナルチキン」、モスバーガーの「モスチキン」、フレッシュネスバーガーの「フライドチキン」、ウェンディーズ・ファーストキッチンの「フライドチキン」の4つです。
猪坂 この中でしたら、ケンタッキーの「オリジナルチキン」がおすすめですね。ひとつ当たりの脂質が一番少ないため、その分エネルギーも218kcalと他のお店のチキンよりも少なめです。しかし、たんぱく質は16.5gと一番多いので、おそらく衣が薄めでお肉の比率が高いのだと思います。
――2番目におすすめのものも教えてください。
猪坂 2番目におすすめのチキンは、モスバーガーのモスチキンです。ケンタッキーのオリジナルチキンの次に低脂質かつ高たんぱく質でした。ちなみに塩分はどちらも1つで1.5gと、お味噌汁1杯分よりも多い量が含まれていますので、一緒に食べるメニューは薄味に調整すると良いですね。
コンビニのチキンならセブンの「ななチキ(骨付き)」
――続いて、コンビニで販売中のクリスマスチキンから暴飲暴食シーズンでも健康的に食べられるチキンを教えてください。ローソンは「黄金チキン(骨つき)」、ファミリーマートは「ファミマプレミアムチキン(骨付き)」、セブン-イレブンからは「ななチキ(骨付き)」がクリスマス用にプッシュされています。
猪坂 この中では、セブンイレブンのななチキ(骨付き)をおすすめします。脂質が最も少ないため、1本あたりのエネルギーが222kcalと最も少ないことと、反対にたんぱく質は19.5gとしっかり含まれており、1食で摂りたい量をしっかり補えます。
ただし塩分は1つで2g以上も含まれているので、ほかのおかずのことも考えると塩分の摂り過ぎにつながりやすいという難点も。特に衣に味がしっかりついていますので、気になる人は衣を少しはがすなどすると、塩分だけでなく脂質や糖質のカットにもなりますよ。
――クリスマスはチキンのほかにケーキも外せません。この2つを食べる上で、ほかに摂取したほうがいい食材や栄養素はありますか?
猪坂 フライドチキンとケーキは、どちらも脂質が多いメニューですので、健康面や太ってしまうのが気になる場合は、最初に水溶性食物繊維を含む「野菜や海藻類」を摂取しておくのがおすすめです。水溶性食物繊維には、余分な脂質を体外に排出する働きがあるからです。パーティの時であれば、サラダや野菜スティック、野菜のグリル、蒸し野菜などを合わせると良いですね。
また、ケーキには脂質だけでなく糖質も多く含まれていますので、代謝を助けてくれるビタミンB群を補給しておきたいところ。
特に、鯛やサーモンのカルパッチョや、ライ麦パンなどからビタミンB1を、ブロッコリーやほうれん草のお惣菜からビタミンB2を摂取できると良いですね。
――最後にクリスマスから正月にかけての体重増加を回避するために食生活で意識すべきことを教えてください。
猪坂 食べ過ぎが続いてしまった……というときは、「食事の最初に野菜をたっぷり食べる」「食べた後にお散歩することで糖を筋肉で消費する」「夕食は午後6時くらいまでに済ませる」などの工夫で調整すると良いでしょう。
すぐに体重を戻したいからといって極端に食事量を減らすと、筋肉が減って代謝が落ちるリスクが高まってしまいます。そのため、あくまでも「バランスの良い食事」を意識的に心がけ、その上で運動のタイミングや食べる時間を調整することで、体重増加を防止していきましょう。