『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)2月4日放送回は「結婚したい彼と彼女の場合 ~令和の婚活漂流記2024~ 前編」。結婚相談所「マリーミー」で婚活を行う人々を追った内容で、男女3人の奮闘が映し出された。
1人目は、中高一貫の男子校出身で、女性との交際経験はゼロ、実家で母親と二人暮らしの進藤さん(仮名・29)。女性と二人きりで話すのはお見合いの席が初めてだといい、緊張からか会話の中で何度も自身の母親について「お母さま」と口にしてしまう。その後、ヒゲ脱毛や髪の染色など、清潔感を増して挑んだ通算46回目のお見合いでは、女性を怒らせてしまった。
2人目はバツイチの内田さん(55)。離婚後に増量した体重を25kg減らし、全身脱毛や筋トレなど外見を磨き続けているが、会話での失敗が多いようだ。初対面の女性との会話中に「ラブホ」というワードを使い、婚活アドバイザー・植草美幸氏から「スナック」でのトークではないと注意されていた。
3人目は28歳のゆかさん(仮名)。なかなかお見合いが成立せず焦り始め、自身のお見合い写真の映りが気になったようだ。雰囲気が暗いと感じたといい、目元を二重に整形。そして、年収およそ800万円という条件の良いお相手とお見合いすることになったが……。
3人の婚活は、引き続き来週放送「結婚したい彼と彼女の場合 ~令和の婚活漂流記2024~ 後編」で伝えられる。
なお、「婚活漂流記」は2022年1月16日、23日にもオンエアされていた。サブタイトルは「結婚したい彼女の場合 ~コロナ禍の婚活漂流記~」。主人公として登場した30歳の女性・ミナミさんの言動はネット上で波紋を広げ、放送後も大反響となった。今回の「婚活漂流記」シリーズのオンエアにあわせて、議論を呼んだミナミさんの回についてレビューを再掲する。
※2022年1月24日公開記事を再編集しています。
日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。1月23日の放送は「結婚したい彼女の場合 ~コロナ禍の婚活漂流記~後編」。
『ザ・ノンフィクション』あらすじ
コロナ禍で2020年の国内婚姻件数は52万5,490組と前年より12.3%も減っている。外出自粛やリモートが出会いの機会を奪っているのだ。
そんなコロナ禍で「婚活」を始めた、飲食店で働く実家暮らしの31歳の女性・ミナミ。共稼ぎの両親のもとで育ち一人で食事をとることも多かったと話し、専業主婦志望だ。
恋愛経験のないミナミは結婚相談所「マリーミー」に入会するも、状況は芳しくなく、マリーミー代表、植草美幸による直接指導コース(月3万円)を受ける。植草は8割の利用者を1年以内に成婚させるやり手だ。
専業主婦志望という条件でなかなか決まりにくかったミナミの婚活だが、資産家の家系で、駅前にマンションを2棟持っている40代の長谷川とは話が弾み、デートを重ねる。しかしその同時期にやりとりを始めた30代の介護士、町田に初恋状態になり、浮かれた様子で番組スタッフに話していた。
恋心から、当初考えていなかった共働きのライフプランまで植草に披露していたミナミだったが、その後町田の自宅でデートをしたところ、気持ちは一転。町田との交際を終了したいと植草に告げる。
町田の自宅で、使い込んだ座布団が擦り切れてワタが見えていたり、電球を取り替えておらず部屋が薄暗かったり、一方で(ミナミ的にはあまり価値を置かない)車にお金をかけているなど、リアルな生活状況を知った途端、急速に冷めてしまったようだ。
一方、長谷川との関係だが、長谷川が親兄弟と同居していること、育った経済的な環境が違いすぎることなどが理由で、ミナミの母親は交際を反対。ミナミの心も揺れる。植草は「(母親がミナミのことを)一人前だと思ってないんだと思う。どっかで飛び出さないとね、自分が」とミナミの背中を押す。
しかし、長谷川がミナミの実家にあいさつに来ることになった直前、ミナミは番組スタッフに対し「長谷川さんとは交際終了になると思います」と唐突に告げる。
デートの際、具合が悪くなったミナミに対し、「僕もパニックになることがあるよ」と励ました長谷川の「パニック」という発言に対し、ミナミは持病があるのかと疑い出し、さらに、その疑いは植草への不信、怒りへと変わっていってしまったのだ。
すっかりだまされた気になり、植草に言いたいことを言ってやると「マリーミー」に向かったミナミだったが、植草に諭され気を取り戻す。だが長谷川との間は交際不成立で終わった。
『ザ・ノンフィクション』「婚活漂流記」ミナミの「決めつけ」の強さ
先週の前編では、お見合いの席でミナミに「(大卒なのに)ホールの仕事をしているの?」と言った無礼な男性がいて、涙を流すミナミに心無い人もいるものだとミナミに同情した。しかし、後編は前編からうっすら気配があった「ミナミのまずさ」が際立った回で、気遣いのできる長谷川の次なる良縁を願わずにはいられなかった。
ミナミのまずさは「決めつけの強さ」だ。前編では、長谷川が肌着などをイトーヨーカドーで買うことから「資産家はケチなのかもしれない」と決めつけていたが、この決めつけが後編ではマシになるどころか、悪化する。
その流れを整理すると、このようになる。
1:デート中に具合の悪くなったミナミに、長谷川が「僕もパニックになることがある」と気遣う。
2・長谷川の「パニック」という発言にミナミが過敏に反応。病気を隠していると疑い、母親に伝えると「騙されているのと一緒だよ」と怒っていたという。植草に対しても、なぜそんな大事なことを教えてくれないのかと怒りが沸騰。
3:植草に怒りの丈をつづったメールを送信する。裏切られた、アンフェア、騙されたなどの記載があった。
番組を見ていない人が見ると、上の記載は何かを大幅に省いたり、誇張して書いているのではと思うかもしれないが、番組を見た人にはおおむね見たままを書いたことが伝わると思う。そのくらいミナミは決めつけが激しく、さらにその決めつけに基づいて極端な行動に出てしまう。
『ザ・ノンフィクション』「婚活漂流記」母親には頭が上がらない様子のミナミ
「僕もパニックになることがある」と聞いたときに、ミナミは「単に『パニクっちゃうことがある』程度のことじゃないのか?」「とりあえず植草さんに確認してみよう」「仮になんらかのパニックを起こす疾患があったとして、そういったものは結婚相談所では事前に申告し、伝えられるものではないのか?」などの感情の整理をする余裕がないまま、暴発してしまう。「パニック」状態なのはむしろミナミだと思った。
また、ミナミははっきりした物言いの母親には頭が上がらないようだが、母親は長谷川に会ってもいないのに交際に反対していた。母娘で「決めつけが強い」傾向が似ているように思った。
そして身近な人がこうだと、もしかしたらミナミは自分が「決めつけが強い」という自覚すらないのかもしれない。イトーヨーカドーの件で、すでに植草にたしなめられていたのに直せてないということは、かなり身についてしまっている思考回路なのだろう。
番組では、コロナで先の見えない生活の中、結婚相談所には20代前半の女性の入会が続いていると伝えられていた。そのうちの一人は、髪を巻き、薄ピンクを基調にしたワンピースを着用して植草のもとを訪ねていて、婚活とは何かを理解した服装だった。
『ザ・ノンフィクション』「婚活漂流記」結婚相談所には20代前半女性の入会が増加
その20代女性は40代男性とお見合いし交際しているようだが、植草に相手との年齢差について聞かれたときに、「彼も(自分同様)海外にいた経験があって、年齢差を全く感じない会話ができていたので」と百点満点の答えをしていた。若くしていろいろなことと折り合い、諦め、妥協ができている、ソツのない大人に見えた。植草の手を煩わせず早々に「卒業」していくのではないかと思われる。
一方のミナミは31歳のわりには幼く、それゆえに理想は高く、決めつけが激しい。しかし、そんなミナミが成婚に至ったらそれはとてもドラマティックだ。
手ごわい20代ライバルが増える中、ミナミは植草のアドバイスのもと婚活で自己研鑽を重ね大人になり、現実と折り合いをつけ、狭き門である専業主婦になれるのか。
また、専業主婦になれなくても、座布団のワタや、部屋の電気の暗さ程度で幻滅せずに「この人とやっていきたい」と覚悟を決められるのだろうか。