今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。
逃亡していた絆會の若頭が逮捕
半世紀も逃亡してた左翼活動家のまさかのカミングアウトに続いて、絆會の金澤成樹若頭も逮捕されましたね。この若頭については、前回ご紹介したところでした。
六代目山口組に移籍した自分の若い衆を撃ってケガをさせて逃亡中に、「2件の殺人事件も起こしてるかも」という説があったのです。あくまで「かも」の話なんですが、ヤクザの間では話題でした。
「前日から用意周到」そして逮捕
報道によりますと、若頭逮捕のために宮城県警はめちゃくちゃ張り切ってましたね。
前日から潜伏先のアパートに若頭がいることを確認して、アパートの住民さんはホテルに避難。逮捕当日は明け方から、装甲車やマスコミ各社の記者もアパート周辺へ到着したようです。お部屋には若頭しかいないことがわかってるのに装甲車ですよ……。
まあ若頭が拳銃を持ってて抵抗してくる可能性はありましたからね。特殊部隊が「10人ほど」で部屋に潜入して閃光弾を「10発ほど」撃って身柄を押さえました。若頭は抵抗しなかったそうです。
ちなみに、なぜ「ほど」と正確性に欠ける表現なのかはわかんないですが、そもそも人員も閃光弾も装甲車もそんなに必要だったんでしょうか?
「現代ビジネス」では「宮城県警では年に1回もないような、凄まじい逮捕劇」という捜査関係者のコメントを紹介してますから、なんかお祭りっぽい感じだったのかなと。まあいいけど、これも税金ですからね。
そして、若頭の潜伏先は「匿名の通報」からわかったことも謎です。若頭ほか指名手配犯には警察庁が100万円の懸賞金をかけています。匿名だったら100万円をもらえないですよね。
なぜ匿名なんでしょうか? 実は、「若頭の逃亡を支援してた関係者による通報説」があります。逃亡にはお金がかかりますから、もうお金が払えなくなったとか、そんな理由なのかも、と思ってみたりしてます。支援できなくなって他人を装って通報するのは、ヤクザに限らずあるようです。
「片手に拳銃、片手にケーキ」の事件の犯人?
逮捕された若頭は黙秘してるそうですが、これは当然ですよね。
一方で、茨城県警も2020年に水戸市内で起こった事件について若頭の逮捕状を取っていることが報道されました。
この事件は、15年の山口組の分裂による抗争で初めて六代目山口組側の関係者が亡くなったことで話題になりました。ヒットマンはケーキの箱を持って組事務所を訪れ、応対に出た組幹部を射殺して拳銃を現場に置き、組事務所のクルマで逃走したそうです。「道具」を置きますかねえ? 事務所のクルマは鍵がかかってなかったのでしょうか? 銃はまた使う可能性もあるので、まず現場に置くことはないですし、抗争相手の事務所のクルマに乗るって微妙です。
もうひとつ、六代目山口組弘道会傘下組織の現役組長でラーメン屋さんを経営してた大将の射殺事件も、金澤若頭が犯人との説があります。あくまでも「説」なんですが、信じてるヤクザは多いですね。
この原稿を書いている2月8日現在、水戸市内の事件では若頭は逮捕されてませんし、ラーメン屋さんの事件は逮捕状も取られていないようです。仮にこの2件で再逮捕されても、若頭は黙秘するでしょうし、物的証拠があるとも思えませんから、起訴されない可能性もありますよね。
そもそも指名手配されてたからといって、「事件の犯人」と決まったわけではありませんよ。ほぼタテマエですが、有罪判決が確定するまで無罪と考える「無罪推定」の原則があります。金澤若頭も、あくまでも「容疑者」として「手配」されてただけで、裁判はこれからです。若頭は逮捕された今、何を思われてるのでしょうか?
「衰弱死」した逃亡犯
逃亡犯に心休まる時はないでしょうが、思い出すのは、やっぱり五代目山口組若頭射殺事件(1997年)のヒットマンたちの逃亡生活ですね。特に18年に神戸市内の倉庫で遺体となって見つかった鳥屋原精輝(とりやばら・きよてる)さんは忘れられないです。
ご遺体は衣装ケースに入っていて、56歳なのに体重34キロ、歯はほとんどなくて床擦れの痕もあり、死因は「衰弱死」だったそうです。もともと糖尿病や慢性肝炎の持病があったそうですが、指名手配中ですから病院にも行けず、少しずつ衰弱していったのでしょう。死体遺棄に関与した人は口をつぐんでいて、逃亡生活については明らかにならないままです。元極妻が言うことでもないですが、お気の毒でした。