今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。
「餃子の王将」社長射殺事件は公判維持が難しそう
あっという間に2月も終わりですね。2月7日に、「餃子の王将」の社長さん射殺事件の「公判前整理手続き」が始まったことがニュースになってました。
起訴されたのはおととしの2022年ですから、「今頃?」という印象しかないです。初公判の期日は未定で、3月6日にも手続きがあるそうです。ずいぶんゆっくりですが、やっぱり公判維持が難しいんじゃないですかね。
そもそも直接証拠はないですし、被告人も黙秘してるそうですが、検察と警察的には最初から「状況証拠と推認だけで有罪にしよう」となってるはずです。被告人と被害者の社長さんは知り合いではないようですから、まずは被告人に指示した人や共犯者がいることを証明しないとなんですが、まずできないでしょう。「殺害現場近くにタバコの吸い殻が落ちてた」とかじゃ弱いですよね。
とはいえ、今までもヤクザに対しては「有罪ありきの逮捕」「推認有罪」は普通で、特に工藤會に対しては「推認で死刑もアリ」という前例ができてますから、最終的には「推認で有罪」だと思います。
でも、保守的なイメージの産経新聞が「状況証拠のみ、立証の壁超えられるか 王将社長射殺」というタイトルで解説してるくらいですから、かなり厳しいのかなとも思います。
やっぱり「被告人しかこの事件は起こせない」と証明できて、「動機はコレ!」みたいのがないと公判は難しいと、産経新聞さんが書いてるんですよ。どうなりますかね。被害者の社長さんやご遺族にはお気の毒ですが、「ヤクザなんだから犯人に決まってる」というのでは雑すぎますからね。
暴力団員がパソカの使用を規制されている問題
「証拠がなくてもヤクザは有罪」「ヤクザは壊滅させろ」みたいな話は、昔からあったんですが、やっぱり2011年までに全都道府県で暴力団排除条例が施行されてから、どんどん暴排が厳しくなってますね。
最近では、高速道路の運営会社によるパソカ(クレジットカードがなくてもETCを使える「ETCパーソナルカード」)の「暴力団員への使用規制」問題です。
パソカが使えないとめちゃくちゃ不便ですから、「暴排は差別だから違憲」として六代目山口組の傘下組織が、国と運営会社6社に精神的苦痛などの損害賠償143万円の支払いを求めて提訴、今も裁判が続いてます。
この問題について、憲法学者で立命館大法科大学院教授の倉田玲(あきら)先生は、朝日新聞の取材に「暴力団員が高速道を走るだけで、暴力団員ゆえの迷惑行為が起きやすいと想定するのは難しい。不当な行為がないのに、属性だけで(パソカの)入会を断るのは、憲法や法律に照らすと正当化できない」とバッサリとお答え。ほんとその通りです。
高速を通るだけなら、いいじゃないですかねえ。問題が起こったら、カタギさんでも不良でも対応してくだされば。
暴対法が取り締まるのは「暴力団員」ではない
さらに、倉田先生は「暴力団に所属し、暴力団員であること自体を禁じることは、少なくとも憲法の解釈では導き出せない。世間の評判に関わらず、憲法上の権利は基本的人権として保障されている」として、「国の法律で暴力団の壊滅がうたわれたことはない。暴力団対策法も『暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律』という正式名のとおり、『人』ではなく、不当な『行為』を防ぐための法律」とコメントされてます。
これは目からうろこですね。法律とは、「罪を憎んで人を憎まず」的な話で、「人を憎むような排除は、罪と人が直結されるような場合でもない限り、まずかろうというのが僕の意見」だそうです。
そして、「基本的人権に少しでも関わることは、検討が緻密であるべきだ。理屈や筋を通すべきで、『なんとなく規制してもいいんじゃないか』という雰囲気や空気が論理を凌駕することは認められない」とおっしゃっていました。要するに、罪に見合った対応が必要なんですよね。
3月には、工藤會トップのお2人の判決も予定されていますが、「推認で死刑」って、「罪に見合っている」と言えるのかどうか。判決にとても注目しています。