フルーツ大福の店を全国に展開する「覚王山フルーツ大福 弁才天」。こだわりのフルーツを甘さ控えめの白餡と上品な求肥で包んだ大福は、“餅切り糸”でカットした際の断面が「萌え断」と呼ばれ、“映える”と大人気に。同社社長は、和菓子とは無縁の古着屋の経営者だったという異色の経歴もメディアでよく取り上げられ、2019年10月の創業からわずか3年で、全国に約80店舗を構えるほどの急拡大を見せました。
しかし、23年春頃には、各メディアが弁才天の閉店ラッシュを伝えるように。「文春オンライン」では、一時のブームが去ったことにより、高額な初期費用を回収する目処が立たず、店を辞めるFC店オーナーが相次いでいることも報じられました。
確かにここ最近、すっかりその名前を聞かなくなってしまったフルーツ大福、そして弁才天……。しかし、昨年12月、東京・銀座に「benzaiten Cafe」をオープンさせていたことをご存じでしょうか? フルーツ大福以外にもパフェやアフタヌーンティーを提供する高級志向のカフェだといいます。
斜陽の弁才天が起死回生に始めたカフェとは一体どのようなお店なのか――早速、足を運んでみることにしました。
目次
フルーツ大福の弁才天、銀座に高級志向のカフェをオープン
東京メトロ各線・銀座駅から徒歩10分弱、西銀座通り沿いにある「benzaiten Cafe」。入り口には暖簾がかかっており、和の雰囲気を感じさせます。
店内はさほど広くはないものの、カウンター席とテーブル席があり、全体的にシックで落ち着いた雰囲気。私が訪れたのは平日の昼過ぎですが、女性客で席のほとんどが埋まっていました。
同店のイチオシはどうやらいちごのパフェのよう。というのも、店の前にこのパフェの食品サンプルが置かれていたのです。
今回はこのパフェを食べてみようとメニューをじっくり見ていたのですが、なんとお値段、2,750円!! 高級志向のカフェであることはモダンな店の造りからも明らかだったのですが、まさかパフェ1つが3,000円弱とは!
またその隣に載っていた「いちごの和風アフタヌーンティー」は、いちご大福、フルーツどら焼き(いちご&オレンジ)、宇治抹茶と栗の濃厚テリーヌ(3月からは別の新スイーツ)、生ハムいちごのローズキッシュ、イクラとサーモンのタルタルパイにドリンクがついて4,620円。
取材でなければなかなか手を出せない価格帯だな……と思ったのですが、「フルーツ大福」は660円~、「フルーツどら焼き」は880円、「宇治抹茶と栗の濃厚テリーヌ」は660円と、気軽に注文できる値段でした。
一方ドリンクは、「コーヒー」(770円)「フルーツソーダ」(770円)「いちごのスパークリングワイン」(1,320円)などがラインナップされています。
スイーツを注文するとソフトドリンクは+550円、アルコールは1,100円でドリンクセットにできるそうです。
フルーツ大福・弁才天の高級いちごパフェは「春らんまん」な味わい
今回、私が注文したパフェの正式名称は「弁才天特製求肥入り いちごパフェ」。メニューでは「真っ赤なパフェ」と紹介されていたのですが、実物が運ばれてくると、その鮮やかかつ華やかな見た目に、思わず「わ~!」と拍手してしまいました。
3,000円弱のパフェを食べるのは生まれて初めて、おそらく今後の人生でもなかなかお目にかかれないであろう高級品とあって、俄然テンションが上がります!
まず目を引くのが、アイスの上にそっと置かれた菓子。メニューでは「華やかないちごのテュイルと雪をイメージしたアメ細工」と説明されています。
フランス語で「瓦」や「タイル」を意味するというテュイルは、薄~く焼いたクッキーを想像していただければと思います。口の中に入ると、パキパキッと折れ、その後ホロっと溶ける……そんな繊細なお菓子です。
続いて出てきたのは、真っ赤ないちごのソルベ。フレッシュないちごの甘酸っぱさが口の中にいっぱいに広がります。サイドに添えられたいちごと一緒に食べると、「春らんまん……!!」という気持ちに。このいちごも、一口食べただけで、私が普段スーパーで買っている1パック398円くらいのお買い得品とは一線を画す、高級品であることがわかります。とにかく甘みが深いんですよね。
その下には、ピスタチオのアイスが。あくまでメインはいちごなので、量は多くないものの、ピスタチオの味がさわやかなパフェに濃厚さをプラスしてくれます。ピスタチオの欠片が入っているので、プチプチとした食感も◎。
フルーツ大福・弁才天の高級いちごパフェには、「洋風と和風」2つの顔がある
ここまで食べて、ちょうど半分くらい。ピスタチオアイスの下からは、生クリームが顔を出します。この生クリームがさっぱりした味わいで、くどさはゼロ。もちもちした求肥も混ざっています。
この求肥は、弁才天のフルーツ大福を包んでいるのと同じもの。これにより、洋風のように思えたいちごパフェが一気に「和スイーツ」に変貌を遂げます。1つのパフェなのに洋風と和風、2つの顔があったんです! 生クリームやいちごとの相性もバツグンでした。
そして、最後に登場したのがエルダーフラワーのジュレ。華やかな香りで、パフェのフィナーレを飾ってくれます。薄切りのいちごと一緒に食べるとなんとも贅沢な気持ちになれますよ。
3,000円弱もするパフェだから、ゆっくり味わって食べよう……と思っていたものの、いろんな味と食感に前のめりになっていたようで、15分程度で完食。値段に見合う味だったと満足しました。
閉店ラッシュの弁才天ですが、もしかしたら新業態のカフェは結構当たるのでは? と、再ブームの兆しを感じました。果たして銀座以外にも出店できるのか――今後も弁才天をウォッチしていこうと思います。