総合スーパーのイトーヨカドーが北海道、東北、信越地方の17店を今春、順次閉鎖するとのニュースが注目を集めました。今後は首都圏に集中することで、赤字からの立て直しを図るとのこと。その首都圏スーパー事業「ヨークフーズ」について、ユーザー歴1年の筆者から見た弱点とは?
目次
・ヨークフーズとは?
・ヨークフーズの店内写真
・ヨークフーズはすべてが平均点
ヨークフーズとは?
セブン&アイ・ホールディングス傘下の総合スーパー、イトーヨーカドーが北海道、東北、信越地方の17店を今春、順次閉鎖すると報じられました。首都圏型に今後は集中し、経営の立て直しを図るとのこと。
その食品スーパー事業「ヨークフーズ」は、2020年5月に1号店がオープンした、セブン&アイの首都圏スーパーストア事業。それまで展開していたイトーヨーカドー食品館等を順次ヨークフーズに転換していき、昨年9月時点で全国103店舗です。
なお、「ヨークフーズ with ザ・ガーデン自由が丘 新宿富久店」はヨークフーズの旗艦店的な存在で、高級食材スーパーのザ・ガーデンと協業した店舗となっているそうです。
ここからは、ヨークフーズの利用歴1年のユーザーが写真で店内の特徴をお届けします。
ヨークフーズ、実際に買い物してみると?
店内は通路の幅が広く取られているので、カートやベビーカーも余裕で行き交うことができます。広々した空間使いで照明も明るく、商品も見やすいのが良いですね。
鮮魚、精肉コーナー
鮮魚コーナーは、店内でも広めのスペースを使って展開されています。近隣のオーケーストアに比べると、魚の種類や販売面積はヨークのほうが秀でています。
丸ごと一尾の魚の場合、無料で身おろしをするサービスを行っています。やはり近隣のオーケーストアでは対応していないためありがたいです。
ただ、同じく近隣スーパーのベルクと比較してしまうと、中途半端な感じも。ベルクは魚に力を入れている印象です。
肉のコーナーは特に目立った特徴はないように思います。オーケーでは、プラスチック容器ではなくポリ袋に入れて販売する商品もありますが、ヨークではすべてこのような形式でした。
鶏肉もきれいにパッケージされています。
生鮮コーナー
きれいにパッケージされた各種トマトが、見やすく美しくレイアウトされています。
「顔が見える野菜。」シリーズは2002年にイトーヨーカドーが立ち上げたプライベートブランドだそう。誰がどこで作ったかがわかるようになっていて、このレタスのように、QRコードと生産者の氏名や地区まで記載されています。良いサービスですよね。
惣菜コーナー
ヨークフーズについてネットでユーザーの口コミを調べると、「惣菜がおいしい」との声が見られます。実際、同社も惣菜には注力しているそうで、この店舗でも最大の面積を割いているのが惣菜コーナーです。
近隣のオーケーと比べるまでもなく、惣菜の量がすごい! こちらはかぼちゃの煮物やほうれん草のごま和えといった定番商品のコーナー。
サラダ専用の売り場もあります。ポテトサラダをはじめ、野菜を使用したヘルシーなサラダや惣菜がたくさんあり、いつも目移りしてしまうほど。さしずめ、デパ地下でよく見るRF1の感覚です。
種類豊富で陳列もきれい。そして味も、個人的にはベルクよりもおいしいと思っています。
ただ、「ヨークフーズの惣菜といえばコレ!」といった商品が思い浮かびません。これだけ種類があるのに、看板商品が伝わってこないなんてこと、あるんでしょうか?
パン売り場
多くのスーパーで見かけるインストアベーカリー。いまや焼き立てパンは珍しい存在ではなくなりましたが、そんな中、オーケーは1枚500円のピザで一躍有名になりました。ライフもホテルブレッドが知られていますよね。
一方、ヨークフーズはいったいなんのパンが目玉なのか? 1年以上のユーザーですが、思い返してもベーカリーの目玉商品が思い浮かびません。ミニクロワッサンやおいしそうなパンは並んでいるんですが……。
よくよく商品に近づいて見たら「新商品」とシールが貼ってありました。新商品なら、もっとアピールしたほうがいいのでは?
定番的な商品でピザも扱っていました。インストアベーカリーの商品は、どれもちゃんとおいしそうなのに、まったく目に留まらないのが不思議です。訴求力がゼロ。もったいないの一言です。
セブンプレミアム商品の棚
セブン&アイ系列のため、店内ではセブンプレミアムの商品がいたるところに置かれています。ネット上では、それを喜ぶ声もあるのですが……。
個人的には、スーパーまで来てコンビニと同じ商品を見せられることにテンションが下がってしまうというか。確かに、セブンプレミアムの焼き魚シリーズは晩酌に重宝してはいますが……。
金のハンバーグ、大展開。おいしいですよね。でも、こんなに金のハンバーグで棚を埋められると、他メーカーの商品を選ぶ選択肢を狭められてる気がしてテンションが落ちてしまいます。
パン売り場にもセブンプレミアムコーナーがあります。ただ、パンは他社の商品もしっかり展開されているので、セブンプレミアムの圧は感じませんでした。
イートインコーナー
パン売り場の横に併設されたイートインスペース。一休みできてとても助かるスペースですよね。
なんと、コンセント利用OK! パソコン、携帯電話に使って良いとわざわざ書いている優しさ。この日も、PCで仕事に励む方がいました。
水や電子レンジも提供。ちなみに、ベルクではコンセントや水だけでなくお茶やWi-Fiも提供していますが、使い勝手さではイーブンといった印象です。
ヨークフーズはすべてが平均点
今回、あらためて売り場を意識的に回ったことで、ヨークフーズの特徴がわかりました。
ヨークフーズは、たとえるとツルンとしたプラスチック製品のようなスーパー。商品はきれいにパッケージングされ、きれいに陳列され、安定感がある。それはとても素晴らしいことで、きっとどのヨークフーズに行っても同様のサービス、商品が提供されているのでしょう。
一方でオーケーやベルクはデコボコした粗削りの木製製品みたいなスーパー。パッケージも陳列もヨークのように完璧にきれいじゃないけど、売る側の思いや熱量が伝わってくる。惣菜やパンから作ってる人の“声”みたいなものが、なんか感じられるんですよね。
昨日行ったオーケーでは、乳製品コーナーで中年の男性店員が大声で口上を述べてました。「先週も販売したこの商品、あっという間に売り切れとなりました! 今回も〜」など話し続け、思わず笑ってしまったものです。
そういった店員や店の「クセ」を意図的に徹底的に排除したのがヨークフーズなのだと思うんですが、その結果、すべてが平均的で味気なくなってしまったのが弱点なのではないでしょうか? 味気なさすぎて「ただセブン-イレブンを広くしただけ」という印象すらあります。
もちろん平均的という点はすごい長所ではあるものの、近年人気のスーパーはそれぞれ強みがありますよね。いったい、ヨークフーズの強みはなんなのか? これからのヨークフーズに期待しています。