立ち食いステーキという目新しい業態で話題を集め、最盛期には全国で約500店舗を展開するも、現在では半数以上が閉店に追い込まれてしまった「いきなり!ステーキ」(以下、いきなりステーキ)。2022年8月には、業績不振により、創業者で当時の社長の一瀬邦夫氏が引責辞任したのも世間に衝撃を与えました。
かくいう筆者も、かつてはよくいきなりステーキに行っていたものですが、その凋落が各メディアに報じられてからは、なんとなく足が遠のいていたのです。
そんな中、久々に同店を訪れたところ、最もお手頃価格のステーキメニュー「ワイルドステーキ」よりもさらに安いメニューが登場していました。それが「赤身!(肩ロース)ステーキ」(以下、赤身ステーキ)です。絶体絶命のいきなりステーキが、客層の幅を広げようと始めたメニューなのでしょうが、果たしてその味は? 今回、実食レビューを行いたいと思います。
※価格はすべて税込
※メニューや値段は3月18日時点の情報です
※店舗によって取り扱い商品が異なります
※最新の情報は公式サイトや公式SNSをご確認ください
目次
いきなりステーキの最安値ステーキは、ワイルドステーキより150円安い
苦境のいきなりステーキにおいて一番安いステーキメニューの座をワイルドステーキから奪った赤身ステーキ。例えば、ライス・サラダ・スープがセットになった平日限定のランチメニュー(オープン~午後3時)では、ワイルドステーキ150gが1,390円であるのに対し、赤身ステーキ150gは1,240円と、150円も安価なのです(なお、グランドメニュー(単品)だと、ワイルドステーキ150gが1,240円、赤身ステーキ150gは1,090円で、差額はやはり150円)。
メニューを見ると、ワイルドステーキは「米国農務省(USDA)格付けのアンガスビーフの中でハイクオリティな品質のCAB認定ビーフを使用」、赤身ステーキは「牧草肥育後に、100日以上穀物飼料で育てられた赤身の美味しさが特徴のステーキです」とそれぞれ説明されています。
今回は、平日限定のランチメニューで、赤身ステーキ200g(1,540円)を注文しました!
いきなりステーキの赤身ステーキは肉が硬くてかみ切れない!?
テーブルに運ばれてきた赤身ステーキの肉肉しいビジュアルに心が躍ります。ランチはライスのおかわりが無料とあって、「少なくとも2回はおかわりしよう」と心に決めました。
提供時のステーキは、レアに見える焼き具合。
あつあつの鉄板で断面を少し焼いてから食そうと思ったのですが、同じく赤身ステーキを注文した隣の席のお客さんは「よく焼きで」とオーダーしていました。最安値のステーキメニューでも好みの焼き具合で提供してくれるというのはありがたいですね。
では早速、分厚くカットされた部分からいただきます。赤身ならではのかみ応えの良さに、「肉を食べている!」という実感を覚えたのですが……んんん!? かみ切れない!!!! 想像以上に肉が硬くて、まったくかみ切れないんです。
何度も咀嚼してようやく口の中で肉が“ちぎれた”のですが、それでも塊のままなので、飲み込む際、ちょっと「ウッ……」となってしまいました。これは小さい子や年配の方にはかなり食べにくいのではないか、というのが率直な感想です。
とにかく「肉が硬い」「かみ切れない」ことにばかり意識が持っていかれてしまい、味に集中できなかったのことはかなり残念でした。
いきなりステーキの赤身ステーキは、硬い肉とやわらかい肉が混在
ところが……小さくカットされた部分を食べてみると、これまた驚き! さっきと打って変わってやわらかいんです。
適度なかみ応えで、しっかりかみ切ることができ、肉汁のうまさを堪能できます。
また、肉の厚さが薄い部分もあったのですが、こちらもやわらかい!
ちなみに気になって、分厚くカットされた部分をナイフでサイコロ大にして食べてみたのですが、やっぱり硬いものは硬い。カット方法の違いで硬さに違いが出ているわけではなさそう。
つまり、赤身ステーキはその1枚に、かみ切れないくらい硬い肉とやわらかい肉が混在していることがわかったのです。口に入れるまで硬いかやわらかいかわからない……そんなスリリングな食事になりました。
かつてよく食べていたワイルドステーキも、肉質は硬めではありましたが、かみ切れないということはなかったと記憶しています。正直、赤身ステーキに数百円上乗せしても、ワイルドステーキを頼めばよかったと思ってしまいました。
赤身ステーキは確かに安く、いきなりステーキにお客さんを呼び寄せる効果はあると思う一方、リピート客を生めるかといわれると正直微妙なところではないでしょうか。
いきなりステーキのV字回復のきっかけになるような新メニューの登場を待ちたいと思います。