• 日. 12月 22nd, 2024

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大阪万博で山口組排除強化! ヤクザに重罰の「前例」はカタギさんにも影響【「元極妻」芳子姐さん連載最終回】

 今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

目次

「他人名義のETCカード使用」で実刑判決
暴力団員が減っても半グレや殺人事件が増える
大阪府警が大阪万博で「山口組排除強化」

「他人名義のETCカード使用」で実刑判決

 以前から注目していた「ヤクザのETC使用禁止問題」ですが、ついに実弟さん(=カタギさん)のETCカードを使った親分に対して、大阪地裁が懲役10カ月(電子計算機使用詐欺の罪)の刑を言い渡しました。

 まあ「自分以外の人のETCカードを使っちゃダメ」という「決まり」を作るのは勝手なんで、「守らなくちゃダメ」なのもわかるんですが、守らなかったからといって実刑レベルになる話なのでしょうか。

 報道によると、弁護団は、「一般人であれば捜査すらしないのに、暴力団員であるがゆえに起訴された」と無罪を主張、憲法の法の下の平等(第14条)から見ても「許されない差別的なもので公訴権の乱用」として公訴棄却も求めていました。

 たしかにこれも「カタギならなんてことないけど、ヤクザだから逮捕も実刑もアリ」という「ヤクザ罪」です。

 親分の弟さんと運転手さんには執行猶予がつきましたが、大阪地裁の末弘陽一裁判長は、「弟の了解があったとしても、カード会社が設ける暴力団との取り引きを拒絶する暴力団排除条項をかいくぐる手段で悪質」と指摘、カードの発行元の阪神高速道路も「悪質な不正通行は積極的に警察に通報するなど厳正に対処」と、やたら「悪質」を連発してます。

 いいことではないけど、そんなに「悪質」なんですかね。世の中、もっと悪質なこといっぱいありますよね。

 それに、こういう前例ができてしまうと、いずれカタギさんにも適用されますよ。「自分は何も悪いことしてないから大丈夫」とおっしゃるカタギさんは多いですが、「悪いこと」をしてるかどうかは、裁判所が決めることです。だから冤罪事件も起こるんです。

暴力団員が減っても半グレや殺人事件が増える

「いっそマフィアみたいにヤクザ組織そのものを禁止すればいいのに」

 これは、ヤクザからも聞く言葉です。ヤクザ組織自体は、憲法の「結社の自由」(第21条)で保障されてますから、実はヤクザも違法な存在ではないのです。暴対法も「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」です。暴力団そのものじゃなくて、「暴力団員の行為」を規制する法律なんですよ。

 存在はアリでも「息をするな」みたいな規制が多すぎるので、「ここまでイヤガラセをするなら、もういっそ殺してくれ」みたいな感じかなと思います。

 でもイタリアなどマフィアを規制する法律のある国も、しっかりマフィアは根付いてますから、どこの国でも法律だけの規制はムリなんでしょうね。

 そこで、日本政府は暴力団や暴力団員だけではなく、「暴力団と関わるカタギさん」を規制することにしたのです。

 ETCカードもですが、銀行から携帯電話会社まで、ほぼすべての会社が契約書に「暴排条項」を入れてますよね。

 たしかに暴排条例の破壊力はすごいです。社会全体で暴力団の締め出しを図った結果、暴対法が制定された1992年の指定暴力団の構成員(準構成員含む)は9万600人でしたが、全都道府県で暴排条例が出そろった2011年は7万300人、2023年は約2万人まで減少しました。

 とはいえ、暴力団員減少の背景には少子高齢化とか不景気とか、ほかにもいろんな理由もあると思いますけどね。それに、暴力団員が減ったところで、半グレみたいのは今後もどんどん出てきてます。1950年代をピークに減っていた殺人事件も、これからは増えると思いますよ。

大阪府警が大阪万博で「山口組排除強化」

 一方で、大阪万博については、大阪府警が「山口組排除強化」を発表、7月に暴排条例が改定されることが報道されています。万博会場建設をめぐって建設業界からヤクザへの利益供与を禁止する内容だそうです。

 改定条例では、府内の一部の建設業者を「規制対象建設業者」として、暴力団との間で利益供与が確認されたら、双方に「懲役1年以下」か「罰金50万円以下」の罰則が科されるそうです。

 ていうか、万博もどうなるのかわからないので、とりあえず「暴力団対策なら誰にも批判されないからやっときます」みたいな印象しかないです。

 などと勝手なことを書かせていただいた連載も、今回で最後になりました。

 なんと2017年から184回も続けさせていただき、単行本にもまとめていただきました。こんな幸せなことはありません。最後になりますが、サイゾーウーマン編集部の皆様、読者の皆様には心より御礼申し上げます。

 素晴らしいご縁をいただき、本当にありがとうございました。またどこかでお目にかかれますように。

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