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高級スーパー【ピーコック】、イオン傘下でどうなった? 買い物してわかった苦境のワケ

 大丸百貨店子会社の高級食品スーパーとしてスタートした「大丸ピーコック」。現在はイオンの傘下となっていますが、高級路線はその後どうなったのか? 売り場をのぞいてきました。

目次

【ピーコック】これまで
【ピーコック】買い物してみた
【ピーコック】高級セレクトとコスパ路線、組み合わせの悪さ

【ピーコック】これまで

 大丸百貨店子会社の高級食品スーパーとしてスタートした「大丸ピーコック」。1960年に1号店を大阪・枚方に開業し、24年5月現在は東京、神奈川、千葉で36店舗を展開しています。

 2007年に松坂屋と大丸が統合し、名称が「ピーコックストア」に変更。13年4月にはイオングループの一員となっています。

 ピーコックストアを運営するイオンマーケット株式会社の業績は、23年の「第87期決算公告」によると営業利益が赤字、売上高もマイナスと苦境。ネット上でも「年に数億単位で赤字」「万年赤字体質」などと指摘されています。

 なお、イオン傘下前の高級スーパーとして認識している世代と、傘下以降で知った世代でピーコックに抱くイメージは違うよう。サイゾーウーマン編集部でもアラフォー世代は高級イメージ、アラサー世代は安いイメージで分かれ、ネットでも「ピーコック 高い」「ピーコック 安い」の両方が関連ワードで検索されています。

 はたしてピーコックは高いのか? 安いのか? イオン傘下12年目の現在の様子をチェックしてきました。

【ピーコック】買い物してみた

 この日訪れたのは、駅前の4階建てのビルで、地下1階・1階がピーコック。2階は100円ショップのキャンドゥ、3階は書店、4階は学習塾などが入っています。

 ビル自体がだいぶ年季を感じさせる佇まいで、再開発が進む駅前エリアにあって、ここだけ昭和が残っているようです。

 ピーコックは高いのか? 安いのか? ネット上でも真っ二つに分かれている評価ですが、まずチラシをチェックすると……。

 98円均一の文字が躍っています。なすやピーマン、トマトは筆者が利用しているスーパー「ベルク」と変わらない印象。高いとは言えません。チラシの裏面でも、「イオンアプリクーポンアプリで50円引き」と赤文字で強調しているあたり、高級スーパー感は皆無です。

 店内に入ると、照明がやや暗く感じます。平日の午後3時という微妙な時間帯とあってか客足も少なく、フロア全体の空気がなんとなく淀んでいるような……。

東京の名店が次々登場

 気を取り直して売り場を見ていくと、野菜の価格は上記のとおり一般的。しかし、弁当コーナーには見るからに高級そうな弁当が並んでいました!

 「嘉永三年創業」「日本橋 弁松総本店」と書かれた包装紙に包まれた弁当(弁六弁当)で、お値段1,350円(税込)。包装紙で中身が見えないのですが、ご丁寧に写真パネルが設置してありました。それによると、煮物、めかじきの照焼、玉子焼、豆きんとん、弁松オリジナルの生姜と昆布の辛煮が入っているそう。ちなみに、「ピーコックストア限定商品」とのこと!

 不勉強ながら「弁松総本店」が初耳だったのですが、公式サイトを見ると「東京の名店」であり、「ペリーが来る3年前から毎日作ってきたお弁当」と書かれていました。重すぎる歴史に唸るしかありません。

 弁松総本店の隣には、デパ地下でも見かけるいなり寿司が有名な「人形町志乃多」の弁当「人形町志乃多詰合せ」842.40円「人形町志乃多寿司」756円が並びます。

 そしてその横には、トップバリュの「オム焼きそば」! デパ地下からいきなりイオンに連れて行かれたようでびっくりしました。

 名店系の弁当はほかにも、「葉山鳥ぎん」監修の焼鳥重(678.24円)がありましたが、こちらもトップバリュに埋もれていました。ちなみに、トップバリュの弁当や総菜は西京焼き弁当(537.84円)やアジフライ(192円)など各種そろっていました。

よそでは見ないパスコの高級ラインやアイスクリーム

 よそのスーパーでは見かけないものでいうと、パスコの「スペシャルセレクション」シリーズも挙げられます。限定店舗で販売されている商品だそうで、パスコ公式サイトによると「『品質』『おいしさ』『独自性』を大切にしながら、それぞれのパンにあう原料や製法を見極め、丁寧に仕上げています」とのこと。

 価格もお高めで、3切れの「レーズンくるみ食パン」が275.40円。「バターミルクブレッド」(291.6円)を食べたところ、ほのかな甘さが上品でした!

 アイスクリームも初めて見る商品を発見。EECOという会社の豆乳ジェラートで、各300.24円とまあまあなお値段。プッシュされていたのは、ジャパニーズアイス櫻花という店の4個入りセットで1,290.60円でした。

 ちなみにアイスコーナーのエリアは異臭がしていたのが気になって仕方ありませんでした……。洗っていない犬のような獣臭はいったいなんだったのでしょうか……。

たまご300円、牛乳203円、納豆84円

 日配品の価格は、トップバリュの納豆が84.24円、牛乳は最安で203円、たまごも最安で300.24円といった調子で、安いものと高いものが混在しています。ネット上で「高い」「安い」の両方が指摘されているのも、こういうことかと納得。

 こちらのチーズはベルクの販売価格より20円ほど高かったです。

 鮮魚は他店でパッケージした切り身が並んでいて、あまりやる気が感じられずガッカリ。この店の目と鼻の先に鮮魚が評判の「オオゼキ」があるので、力が入らないのもわかるのですが……。

 精肉はピーコックオリジナルの商品として「佐幌高原牛」と「国産やまと豚」の盛り合わせなどがありました。

調味料コーナーが圧巻

 地下に下りると、圧巻の調味料展開! 見たことも聞いたこともないウスターソースやポン酢、味噌などが並びワクワクします。バイヤーがきちんとセレクトしていることを感じさせる商品展開で、高級スーパーの北野エースや食品のセレクトショップ、久世福商店のよう。

 こちらの味噌は、創業嘉永3年、小田原の加藤兵太郎商店という味噌屋さんのもの。お初にお目にかかりましたが、片手に収まるミニサイズだったので購入したところ、バツグンの味! 

 各種ある味噌のうち「糀こし」は女性や子どもに好まれる味だそうで、一口飲んだ1歳児の食いつきが明らかに違って驚きました。

 レトルト食品のラインアップも面白く、参鶏湯好きとしては初めてみるこちらの商品を購入。

 お菓子売り場はお煎餅やおかきが充実していて、利用者は中高年層が多いのかなと思われました。

 また、地下は生活用品も扱っていますが、下着やストッキングなどは全部グンゼのアイテムで、デザイン的にも高齢者向けだと感じました。

【ピーコック】高級セレクトとコスパ路線の組み合わせの悪さ

 今回、ピーコックで買い物して感じたことは、大きくまとめて以下の2つです。

(1)名店のお弁当や高級路線のパンなど、よそでは見かけない商品が楽しい
(2)高い商品とお手頃商品が混在していて、店としての方向性がわからない

 さすが元百貨店と感じさせる商品セレクトは間違いない魅力なのですが、それらとトップバリュ商品の組み合わせが致命的に悪く、いったいどんな客層を想定しているのだろう? と不思議になりました。

 イオンと同じノリで買い物をしたら、うっかり高級請求された……という展開も考えられ、初心者には使いこなすが難しい店という印象です。サイゾーウーマン編集部の中に「好きなドレッシングを買いにピーコックへ行く」というスタッフがいますが、そうした「指名買い」するのが間違いないかもしれません。

 高級路線とイオンの組み合わせの悪さは「カスミ」でも見られる問題で、ピーコックとそろって赤字続きの現実を考えると、今後どうやって黒字化するのだろうと気になるばかりです。

By Admin