米スポーツ界のアカデミー賞こと「ESPY賞」のパット・ティルマン功労賞をヘンリー王子が受賞することになり大炎上している。賞を主催するESPNに対し再考を求めるオンライン署名には数日間で4万1000筆超が集まるなど、大騒ぎに発展した。
目次
・ESPY賞パット・ティルマン功労賞とは? 昨年の受賞者
・パット・ティルマンの母親も「ショックを受けている」
・ESPNへのオンライン署名は4万1,000を超える
ESPY賞パット・ティルマン功労賞とは? 昨年の受賞者
今回、ヘンリー王子が受賞することになったESPY賞のパット・ティルマン功労賞は、米プロフットボールNFLのチーム「アリゾナ・カーディナルス」に所属し、将来を有望視されていたアメフト選手パット・ティルマンをたたえて作られたもの。
パットはアメリカ同時多発テロ事件の発生を受けて、国のために尽くしたいとアスリートとしてのキャリアを中断し米陸軍に入隊。陸軍遊撃隊員として派兵されたアフガニスタンで、友軍の銃撃により27歳の若さで命を落とした国民的英雄である。
国防従軍賞、大統領殊勲部隊賞、名誉戦死傷賞、戦功賞など数多くの賞が贈られるなど、国や軍からも高く評価されているパットの名がついたこの功労賞は、パットの残したレガシーを継ぐ人物や人々に贈られるもの。
昨年は、NFLの試合中に心肺停止に陥ったダマー・ハムリンに駆け寄りCPR(心肺蘇生)を施したバッファロー・ビルズのトレーニング・スタッフたちに贈られた。プレゼンターとして壇上に登場したダマーも苦しい闘病生活を乗り越え、CPRを広める活動を始めた素晴らしい人物であり、涙を拭う彼に会場は総立ちになり拍手を送った。
ヘンリー王子は、退役軍人や傷病兵らの国際スポーツイベント「インビクタス・ゲーム」での功労が認められて今年、受賞者として選ばれたとのことだが、これに世間は猛批判。「インビクタスは王子ではなく、王室が作ったようなものなのに?」「王子は負傷した戦士たちを利用して番組を作り、Netflixで金もうけしているのに?」といった疑問の声や、「王子が受賞したら、この賞が無意味なものになる」「アメリカのスポーツ界で活躍した人に贈られるものではなかったのか」などのブーイングが上がった。
パットの母親も「ショックを受けている」
元アメフト選手でWWEレスラーとしても活躍したパット・マカフィーは、YouTube登録者数250万人を超える人気番組『The Pat McAfee Show』で、「ESPNは一体なにを考えているのだ」「スポーツを愛する人たちへの侮辱」「炎上狙いなのか」と辛辣に批判。
王子についても「『王子って呼ばないでくれ』とか言ってた人じゃないの? 『サウスパーク』や『ザ・クラウン』とかでチラッと見たくらいで知らんけど」「王族だと呼ばれたくない王室のスポーツ大好き王子にあげようだなんて」と、あきれたように語った。番組の出演者たちも「王子は、この賞がどんなものか知りもしないだろう」と、授賞はESPNの黒歴史になるというニュアンスで批判した。
英紙「デイリー・メール」の取材に応じたパット・ティルマンの母親も、ヘンリー王子の選出について事前連絡はなかったと明かし、「なぜ、これほどまでに物議を醸すような意見の分かれる人物を選んだのかとショックを受けている」とコメント。
受賞者は「もっとふさわしい人がたくさんいる」とし、選出理由についても「退役軍人コミュニティで活動し、退役軍人を支援するために多大なる貢献をしている人たちがいる。そういう人たちは、ヘンリー王子のようにお金や資産、コネ、特権を持っていない」と述べ、「私はそのような人たちに贈られるべきだと思っている」と主張した。
ESPNへのオンライン署名は4万1,000を超える
ネット上では、大多数の人がESPNに対して批判をしているが、なんの疑問も感じずに受賞を了承した王子に対しても、「1月に受賞した“レジェンド賞”とは、重みと意味が違う」「常識があれば辞退するんじゃないのか」などの批判が殺到。
メーガン夫人まで、「嫁は大喜びだろうね」「スポーツ選手だけでなくたくさんのセレブも集まるから、授賞式には夫婦で出席するだろう」といったバッシングを受けている。
世間の怒りはとどまるところを知らず、6月28日から始まった「ヘンリー王子へのパット・ティルマン功労賞授賞ことをESPNに再考させる」オンライン署名には4万1,000筆超が集まっており、目標である5万は確実に達成するだろうと見られている。
ESPY授賞式は現地時間7月11日に開催される予定。ヘンリー王子夫妻が出席し賞を受け取ったら、それはスポーツの祭典に泥を塗る行為に値するという厳しい声も上がっており、辞退すべきだとの意見が大半のようだが、一体どうなるのだろうか?