全国に300店舗以上を展開するディスカウントストア「TRIAL(トライアル)」の業績が好調だとか。その理由を調査するため、トライアルで実際に買い物をしてみます!
※2024年5月13日公開の記事を再編集しています。
目次
・トライアルとは?
・外観とカートに驚き
・売り場をチェック!
・お弁当2種を実食
・トライアルの魅力4つ
※2024年5月3日時点の情報です
※価格はすべて税込み
※最新情報は公式サイトやSNSをご確認ください
【トライアル】とは? ロピアを制してヨーカドー跡地に出店
トライアルは、福岡に本社を置くトライアルホールディングスが全国展開するディスカウントストア。
1992年の1号店出店以降、居抜き物件で店舗数を増やし、2024年6月30日現在で318店舗。2000年以降は23期連続で増収しています。
24年3月には東京証券取引所グロース市場に上場を果たし、2024年6月までの1年間の売上高は約7,110億円を見込んでいるといいます。これは、23年6月までの1年の売り上げから579.5億円の増収だとか。
さらには、純利益も107.7億円予想で26.9億円も増益。増収増益と絶好調です。
一口にトライアルといっても、生活必需品が1店舗で揃う郊外店「スーパーセンター」、食品や趣味嗜好品を扱う「メガセンター」、食品が中心の「smart」、もっと小規模な「小型店」など、複数の業態で運営しているそう。
8月23日放送の『ガイヤの夜明け』(テレビ東京系)では、そんなトライアルの新業態を紹介。24時間営業の「都市型小型店」で、福岡を中心に出店しているとのこと。見た目はコンビニでも品揃えはスーパー並という特徴を持つといい、現在は実験段階だとか。
ロピアに競り勝ってヨーカドー跡地に出店
9月10日、22年7月3日に閉店したイトーヨーカドー函館店の跡地にトライアルが出店すると「函館新聞」で報じられました。
新名称が「グランディールイチイ」となる旧イトーヨーカドー函館店は、25店が出店を計画しており、そのうちのひとつがトライアルとのこと。24年12月20日に「グランディールイチイ」としてグランドオープン予定です。
出店をめぐっては、急成長しているディスカウントストア「ロピア」との競い合いがあったとも伝えられ、最終的にロピアに競り勝ったトライアルに決まったとのこと。
【トライアル】外観とカートにびっくり!
茨城県内にあるトライアルに到着。業態としては、もっとも品揃えが豊富な「スーパーセンター」型の店舗です。近年は特に生鮮食品と総菜の売上が好調とのことなので、そのあたりを中心にチェックしていきたいと思います。
今回、トライアル初体験の筆者は、スーパーらしからぬ門構えに「何これ、面白い!」と大興奮! 一見するとIKEAのような北欧めいたおしゃれさがありつつ、横から見るとハリボテ感もあり、ちょっと不思議な建物です。
しかもこの店舗は、24時間営業とのこと!
店舗の外には花の苗や培養土が積まれていて、今のところホームセンターっぽい雰囲気。
入り口では、トライアルのスマホアプリ「SU-PAY(スーペイ)」の案内を発見。
このアプリでお金をチャージすると、スマホひとつで支払いが完了するそう。全国のトライアルで使えるようです。
ふとカートを見ると、見慣れないものがずらり。結構な大きさのタブレットとバーコードリーダーがくっついています。
これを見て「はいはい、さっきの『SU-PAY』と連動させて、レジを通らず買えるやつね」と理解した気になっていた筆者ですが、後で調べてみると、どうやらそれだけではない模様……。
これはAIを搭載した「Skip Cart」なるもので、カート上で決済が完結するだけでなく、カート内の商品を分析してその客に合ったおすすめ商品やクーポンを表示したり、センサー機能によってスキャン漏れを検出することなどができるそう。
しかも、トライアルHDはもともと流通業向けのITシステムを開発したり、パソコンを販売していた企業だそうで、小売り事業を始めたら大成功した……という経歴があるため、このカートも自社で開発したといいます。
バックボーンを知ると、トライアルがほかのスーパーとは一線を画す“頭脳派理系集団”に思えてきました……。
【トライアル】の売り場をチェック!
入っていきなり惣菜コーナー
入口を抜けると、いきなり広大な惣菜コーナーが広がっています。「スーパーの惣菜は順路の終盤にあるものだ!」と思い込んでいたので、これにはド肝を抜かれました。
でもよく考えてみたら、最初に惣菜を買ってしまったら、客は野菜や魚といった料理の材料を買う気が薄れてしまいませんか? それってお店にとっては客単価を落としかねないのでは……と素人考えで思うので、トライアルがこの売り場の配置にした理由がとても気になります。
なお、トライアルは全店舗の業績分析を、ソフトウェア開発専門の子会社が担当しているそう。もしかしたら分析ソフトのAIが「ソウザイコーナーハ サイショニアルト イイヨ」と、人間には到底出せない結論をはじき出したのかもしれません……。
早くも型破りな雰囲気が漂うトライアルですが、惣菜に目を落とすと、どれも安い! 2人前はあろうかという「ナポリタン」や「ペペロンチーノ」は329円、大きな「厚切り三元豚のとんかつ」は399円、「海老カツ」は5個入りで329円……といった調子で、もはや同じ料理を作るより買ってしまったほうが安いです。
そんな中から、今回は299円の「三元豚ロースかつ重」と、大量に並んでいた299円の「特製のり弁当」を購入してみます。
鮮魚&精肉売り場をチェック! 500円の海鮮丼も
鮮魚売り場では、美しくパック詰めされた寿司が大量に並んでいました。どれもネタが大きく、“お値段以上”の見た目。特に、握りずし8貫で555円のパックや、500円の豪華海鮮丼が目を引きました。
肉売り場は、「焼くだけでOK!」と書かれた味付け肉の種類が豊富。例えば、「スパイシーポークステーキ」は分厚い肉が6枚入って500円前後でした。
卵は1パック199円で、日常使いにもってこいのスーパーであることが一目瞭然です。
【トライアル】食品ゾーンを抜けると、巨大ホームセンターの様相
乳製品売り場やお菓子売り場を見ながら歩いていると、突然、巨大なホームセンターのような景色が広がりました。
この店舗、入り口から右側がスーパーエリア、残りが生活用品や衣類、ペット用品などの売り場になっているようです。
メーカー品だけでなく、トライアルオリジナルのトイレットペーパーやごみ箱、天然水なども売られていて、小売りだけでなく製品開発にも力を入れている模様。
ここでは、同行していた娘にねだられ、韓国製のソックス(99円)を購入しました。
レジへ向かうと、手前にゲームセンターゾーンが出現。結構な広さがあり、UFOキャッチャーが中心でした。
やりたそうにしている娘を見て見ぬフリしつつ、レジで会計を済ませます。
【トライアル】購入品を実食! 70円自販機を発見
出口付近にイートインスペースがあったので、購入したお弁当をいただくことに。
「その前に、飲み物の自販機はあるかな?」とキョロキョロしていると、なんと70円均一のカップ型自動販売機を発見!
ただ、氷を切らしたのか、冷たい飲み物はすべて売り切れ……。この時は落胆しましたが、このサービス自体はうれしいですね。
まずは299円の「三元豚ロースかつ重」をいただきます。
パッケージ説明によると、「本醸造しょう油に、鰹の風味とまろやかな甘みを巧みに調和させた、京都創味食品オリジナルの特製だれ使用」とのこと。
口に入れると、肉がとっても柔らか。甘さ控えめの味付けも個人的にはヒットで、とても299円とは思えないクオリティーでした。
ちなみに、299円のかつ重といえば、人気スーパー・オーケーの名物「ロースかつ重」が思い出されます。
今回、トライアルのかつ重を食べながら、元カレを思い出すかのように「オーケーはもっと肉が厚かったなあ」「オーケーは衣にサクッと感が残ってたなあ」と無意識に比較してしまった筆者……。
ただ、一つ言いたいのは、トライアルに罪はないということ。オーケーが“スーパーのかつ重”のハードルを上げ過ぎてしまっただけなので、誰も悪くないんです。
続いて、299円の「特製のり弁当」をいただきます。ちなみに、「ほっともっと」の「のり弁当」(362円)よりも安いです。
しかも、おかずは、白身魚フライ、きんぴら、焼きそば、唐揚げ、ウインナー、磯辺揚げ、コロッケ、漬物の8品と盛りだくさん。
揚げたてではないので、全体的に衣がしっとりしていますが、普通においしいです。
何より物価高騰の最中、この充実感のあるのり弁を299円で提供するトライアルには感謝しかありません。
【トライアル】の魅力とは? すべて税込み表示!
今回感じたトライアルの主な魅力は、以下の4つです。
(1)AI搭載のカートが、スーパーの未来を感じさせる
(2)税抜き表示がなく、買い物しやすい
(3)総菜コーナーが安くて楽しい
(4)生活必需品が1店舗で揃う(「スーパーセンター」の場合)
トライアルで買い物してみて衝撃だったのが、価格表示に税抜き価格が一切書かれていなかったこと。
日本では21年4月から“総額表示”が義務付けられましたが、トライアルではなんと24年前から税込表示を徹底してきたそう。
筆者はいまだに税抜き価格に飛びついた結果、会計時に「思ってたより高い!」とショックを受けることがあるので、全スーパーがトライアルに続いてほしいと切に願います。
また、今回お邪魔した店舗はとにかく商品数が多かったので、訪れるたびに掘り出し物が見つかりそう。特にレディースファッションのコーナーはその匂いがプンプンしたので、次回はゆっくり見て回りたいと思いました。
独自開発した次世代カートを導入するなど、スーパーの最先端が垣間見えたトライアル。現在、イオン系スーパーが幅を利かせる日本ですが、トライアルが対抗馬の筆頭となる日も近いかもしれません。
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