経営難が伝えられるセブン&アイホールディングスが、今後はコンビニ事業に注力すると発表。そこでセブン-イレブンが展開する赤字拡大中の弁当事業「セブンミール」を実際に使ってみました。
目次
・【セブンミール】とは? 業績は赤字拡大中
・【セブンミール】利用してみた!
・味うんぬんの前に……売れるものも売れない仕様
【セブンミール】とは? 業績は赤字拡大中
セブン‐イレブンで販売しているお弁当やお惣菜、管理栄養士が考えた健康的なお弁当やお惣菜などを近隣のセブン‐イレブンで受け取れる、または宅配してもらえるサービス「セブンミール」。
お弁当やお惣菜のほかに、セブンで販売しているブリトーなどのサンドイッチやパン類、酒類やスイーツも扱っています。サービス当初はカット済みの野菜や肉がセットになったミールキットの宅配を主力としていましたが、現在は終了しているようです。
運営する株式会社セブン・ミールサービスの業績は不振が続き、2023年2月期に純利益8,900万円と黒字に転換したものの、24年2月期決算は純利益マイナス5,200万円で赤字転換。利益剰余金はマイナス4億1,600万円で赤字拡大となっています。
【セブンミール】利用してみた!
親会社のセブン&アイホールディングスが今後はコンビニ事業に注力すると発表した中、赤字を拡大中のセブンミールが気になり、今回、実際に2日分の食事を利用してみます。
弁当・おかずのジャンルで頼めるメニューは、「日替り弁当」「日替りおかず」の二択。おかずと弁当の違いは、ご飯があるかないかです。
受け取る時間帯は昼便と夜便が選べて、2日とも昼便をセレクト。宅配サービスは税抜1,000円以上から対応で、料金は220円かかるため(税抜き1,000円以上2,999円未満は税込220円、3,000円以上で無料)、店舗受け取りにしました。
注文画面です。1日目は関東限定だという「健康バランスシリーズ」を選びました。
管理栄養士をアドバイザーとしたメニューになっていて、「熱量400kcal以下」「食塩相当量3g以下」「タンパク質、食物繊維、緑黄色野菜のうち、2種類以上摂取」できるとのこと。通常の日替わり弁当・惣菜よりも約20円高い商品です。
1日目 「健康バランス惣菜 オニオンソースハンバーグ」645.84円
さっそく実食します! 写真とまったく同じ商品で一安心。ただ、実物を一目見た瞬間に「ちっさ!」と思ってしまいました。およそ16cm四方の容器になります。
「健康バランス惣菜」とは、管理栄養士が監修したお惣菜セットのこと。この日の内容はオニオンソースハンバーグ、ポークビーンズ、キャベツとコーンの和え物、ほうれん草とたまごの炒め物の4品です。
オニオンソースハンバーグの下には、オクラが入っていました。
ハンバーグは優しい味。つくねに近い柔らかい食感と味わいです。原材料に表記がありませんが、豚ひき肉を使っているのかもしれません。
ポークビーンズには大豆、人参、玉ねぎ、豚ひき肉が入っていて具だくさん。トマトの酸味と甘味がバランスよくておいしいです。ただ、キャベツの和え物は、優しすぎる味つけでボヤッとした印象。病院食を思い出しました。ほうれん草とたまごの炒め物も薄味ですが、これは程よかったです。
「健康バランス惣菜」というだけあって、全体的に優しい味わいでした。外食やコンビニ食は味が濃すぎると感じている方には貴重なメニューかもしれません。
2日目:「日替りおかず 鮭のグリルと白身フライタルタルソース」645.84円
2日目は「日替りおかず」。管理栄養士監修ではない、通常の商品になります。容器のサイズはおよそ16cm四方とやはりコンパクト。上げ底が再び騒がれているのでチェックしてみましたが、問題ありません。
まずタルタルソースから口にすると、酸味がきいていておいしい! セブンのお惣菜クオリティです。しかし、フライの断面を見てみたら、やけにスカスカ……。衣をはがしてみたところ、身は半分ほどで、残りは衣でした。フライのサイズは13cmとやや小ぶりです。
マッシュポテトは塩味が強く感じられます。小松菜人参コーンの煮物も、バターの風味とこしょうの味がはっきりしていて、健康バランス惣菜とは打って変わって味付けが濃い! トマトの炒め物は酸味がきいていて好みでした。
驚いたのは鮭のグリル。表面にパセリが振ってあったので、てっきり洋風のソテーかな? と思ったのですが、口にするとしょっぱい! まさかの塩鮭でした。この日の惣菜は全部洋食メニューだったので、塩鮭がくるとは思わず、そして塩鮭にパセリを振るとは思ってなかったので衝撃的でした。
味はトータルでいつものセブンの味。1日目の健康バランス惣菜とは明確に違いました。
【セブンミール】むしろ注文させたくない?
セブンミールを今回使ったことで、いくつもの発見がありました。以下になります。
①注文までに登録することが多い
②注文画面の使い勝手が悪い
③注文締め切りが3日前と即日注文できない
④宅配サービスをしていない店舗がある
⑤弁当一つでは宅配してもらえない
どれも利用する上では大きなデメリットになるのですが、中でも①はユーザーにとってかなりのハードルです。
まずセブン&アイグループ共通のアカウントを取得するために、7iD(旧オムニ7)に会員登録するところから始まります。筆者はすでに登録済みでしたが、そこから先の登録・確認事項の多さもなかなかのもの。
ようやくセブンミールの利用登録を完了したあとも、弁当メニューや日時の選択がとてもわかりにくく、「むしろ注文させたくないのでは?」とすら思うほどでした。仕事でなければとっくにスマホを放り投げていました……。
⑤の送料は、21年時点では1,000円(税抜き)以上で送料無料だったものが、現在は1,000円(同)以上2,999円(同)未満は税込220円、3,000円(同)以上で無料。じわじわ値上げしています。というか、「一品から注文可能」とうたいながらも、弁当ひとつでは1,000円に満たないので配送してもらえないようですね。
弁当の味うんぬんの前に、目に余るポイントが多かった「セブンミール」。これでは売れるものも売れないなと思った次第です。弁当のバリエーションや取り扱い品の充実を図るよりも、まずはユーザー目線で注文しやすくしてもらいたいものです。