立ち食いステーキとして一世を風靡するも、2020年の大量閉店以降は苦境が続いている「いきなりステーキ」。現在アメリカンビーフフェアを開催し、期間限定でUS産ビーフのステーキを提供しています。このステーキの実力を測るべく、グルメライターが店舗を訪れ、その味をチェックしてみました。
目次
・【いきなり!ステーキ】国内490店舗→176店舗に
・【いきなり!ステーキ】「アメリカンビーフフェア」とは?
・ライス関連、30円値上げ
・付け合わせとスープをコストカット?
・1,590円「USリブロースステーキ」実食
・にんにく、ガーリックチップ、甘口ステーキソースが◎
・ネットではかなり好評だった
【いきなり!ステーキ】国内490店舗→176店舗に
株式会社ペッパーフードサービスが運営するステーキチェーン「いきなり! ステーキ」。2013年に東京都中央区に1号店をオープンした同チェーンは、立ち食い形式のステーキ店という新たなジャンルの先駆者となり、最も店舗数が多かった2019年12月には国内490店舗(ペッパーフードサービスの公式サイトによる)まで拡大するほどの人気を獲得しました。
しかし、急激な拡大戦略により、店舗が飽和状態に達してしまったことや、従業員の教育不足によるクレームの増加などを背景に、19年には赤字に転落。その翌年となる20年12月には287店舗と、1年間で200店舗以上の大量閉店を行うなどの苦境に立たされ、今年の10月時点では国内店舗数が176店舗。全盛期の3分の1強までその数を減らしています。
ペッパーフードサービスの公式サイト内で公表されているIR情報によれば、今年の10月までの各月で、全店舗の売り上げが昨年同期を上回ったのは2月、3月、6月のみとなっており、いまだ復権を果たせてはいないようです。
【いきなり!ステーキ】「アメリカンビーフフェア」とは?
そんな「いきなり! ステーキ」ですが、現在「アメリカンビーフフェア」としてUS産ビーフを期間限定で販売しています。
11月8日から行われているこのフェアは、同月27日までは第1弾として「USサーロインステーキ」の限定販売を実施。翌28日から今月の17日までの第2弾では「USリブロースステーキ」(いずれも100g1390円~、税込み/以下同)を販売しているようです。
最寄りの店が閉店して以降、同チェーンから足が遠のいていた筆者ですが、このメニューに「確かに近頃、ステーキはオーストラリア産の牛肉を自宅で焼いて食べてるばかりな気がするなあ……。久々にアメリカ産の牛肉を食べてみるか!」と興味を惹かれたため、店舗を訪れ、実食してみました。
【いきなり!ステーキ】ライス関連、30円値上げ
最寄りの店舗を訪れ、「USリブロースステーキ 100g」と、「ランチ限定セット」を注文。
公式サイトのフェアを紹介するページでは、開店から午後3時までのランチタイムでは、ライス、スープ、サラダが+170円で付けられると書かれていましたが、訪れた店舗ではこれらセットが200円になっていました。
どうやら、ちょうどライス関連の値上げが行われたタイミングだったようで、ライスと上記関連セットが税込み30円高くなっています。サイト上での金額表記にタイムラグがあるのは仕方ないとはいえ、店舗でいきなり高くなっているのは驚きます。
【いきなり!ステーキ】付け合わせとスープをコストカット?
注文から10分程度で品物が運ばれてきました。以下、写真で詳細をお伝えしたいと思います。
今回、少し気になったのは肉の付け合わせがコーンだけであったことと、スープの具が野菜だけだったということ。以前訪れた際には、スナップエンドウやブロッコリー、にんじんなども付け合わせとして提供されており、スープもビーフキューブ入りのものであったように記憶しています。
「あれ、もしかしてこういうところもコストカットしないと厳しいのかな……?」と思ってしまいました。
付け合わせに関しては、公式サイトの写真を見る限りでは「ワイルドステーキ」などのレギュラーメニューでは依然と同様に提供しているようですが、どうせならフェアメニューについても同じようにバラエティ豊かな付け合わせにしてほしいところ。
スープに関しては、野菜がメインの今のものも優しい味でおいしいのですが、以前のもののほうがステーキチェーンという感じがあって好みだったので、少し残念でした。
【いきなり!ステーキ】1,590円「USリブロースステーキ」実食
気になる点はあったものの、さっそく「USリブロースステーキ」を実食していきます。
まずはそのまま食べてみると、赤身部分はうま味が強い上に柔らかくておいしいのですが、脂身やスジの部分に特有の匂いが強く、ちょっとゲンナリ。アメリカ産の牛肉は比較的こういう匂いが少ないイメージがあったので、意外な感じがしました。
個体差などの問題もあるのかも知れませんが、あくまで今回食べたものと比較すると、以前それなりの頻度で通っていたころに食べていたレギュラーメニューの「ワイルドステーキ」のほうが個人的には好みです。
また、コスパの観点からも、ランチの時間帯であれば、追加料金なしでセットがついてくる上、150gで1,590円の「ワイルドステーキ」、同じく150gで1,380円の「赤身!肩ロースステーキ」というレギュラーメニューが同チェーンには存在。
同じ値段か、あるいは少し安くなる上に肉の量が50g増えることを考えると、お得感でもこちらに軍配が上がるように思えました。
「USリブロースステーキ」にんにく、ガーリックチップ、甘口ステーキソースが◎
とはいえ、赤身の部分は十分に魅力的な味である「USリブロースステーキ」。匂いをカバーできれば、よりおいしく食べられると思い、肉に添え付けられたガーリックチップとバターソースや、卓上調味料でいろいろな味付けを試してみることにしました。
卓上調味料は甘口と辛口のステーキソース2種のほか、以下のとおり豊富にありました。
・甘口ステーキソース
・辛口ステーキソース
・ミックススパイス「いきなり!スパイス」
・にんにく
・マスタード
・わさび
これらを組み合わせて食べ比べた結果、基本的ににんにく系のものと相性が良いようで、バターソースとガーリックチップ、にんにくとガーリックチップなどの組み合わせが好印象でした。
ローストガーリックが入っているという「いきなり! スパイス」も悪くはなかったのですが、生のニンニクやカーリックチップに比べるとどうしてもパンチが足りないように思えてしまいました。
わさびも絶対おいしくなるだろうと予想したものの、肉の脂と合わせるとあまり香りが立たず、肉の匂いに対してどうしても弱く感じてしまったのでちょっと微妙。
個人的なオススメは、薬味のにんにくとガーリックチップ、甘口のステーキソースとの組み合わせです。にんにくの強烈な風味が、そのままだと少し気になってしまう肉の匂いもうま味の一つに感じられるようになるのが最高でした。同メニューを注文した際には、ぜひお試しください。
【いきなり!ステーキ】ネットではかなり好評?
筆者の個人的な好みにあまり合わなかった「USリブロースステーキ」。取材後、ネットで評判を確かめてみると、かなり好評であったので、今回はたまたま個体差が悪い方向に傾いてしまったということかも知れません。
近頃は「やっぱりステーキ」や「感動の肉と米」など、自身のフォロワーとなる新興の安価なステーキチェーンに押され気味となっている印象の「いきなり! ステーキ」ですが、再び勢いを盛り返し、今後もリーズナブルなステーキを我々に楽しませてくれることを願ってやみません。