旧ジャニーズ事務所(現「SMILE-UP.」)創業者・ジャニー喜多川氏(2019年に死去)による性加害問題をめぐり、元ジャニーズJr.(現「ジュニア」)の2人が、米ネバダ州クラーク郡の裁判所に訴えを起こしたことが明らかになった。SNS上のファンが騒然となる中、とある雑誌の公式アカウントの投稿に非難の声が寄せられている。
目次
・SMILE-UP.、被害者530名に補償金の支払い完了
・米で提訴した元所属タレントをカルチャー誌公式Xが非難
・雑誌サイドにSixTONESファンから怒りの声
SMILE-UP.、被害者530名に補償金の支払い完了を報告
昨年3月、英国の公共放送・BBCがジャニー氏の性加害疑惑に迫るドキュメンタリー番組『J-POPの捕食者 秘められたスキャンダル(原題:Predator:The Secret Scandal of J-Pop)』を放送。SNS上でも大きな問題となり、かねてから“芸能界のタブー”とされてきたジャニー氏の闇が暴かれるところとなった。
事務所側は同9月7日に記者会見を開き、同氏の性加害を事実と認めた上で、被害者らに謝罪。同社の社長を引責辞任した藤島ジュリー景子氏に代わり、新社長に就任した東山紀之は、今回の問題に関して「法を超えた救済」が必要だと発言した。
翌月の10月2日に開いた会見では、同社が「SMILE-UP.」に社名変更して被害者の補償・救済を行う会社になるとし、一方でタレントのマネジメントを担う新会社・STARTO ENTERTAINMENT(以下「STARTO」)を立ち上げるとした。
「SMILE-UP.サイドは、公式サイトにて被害補償の状況を定期的に報告しています。12月13日付の文書を見る限り、被害者救済委員会には同日までに合計1,008名から補償申告があった模様。その上で、『被害者救済委員会から補償内容を通知した方(547名)のうち、538名(約98%)の方から補償内容にご同意いただき、うち530名(約97%)の方に補償金をお支払いしました』(原文ママ、以下同)と説明しています」(男性アイドルに詳しい記者)
元所属タレント2名がアメリカで460億円求め提訴……カルチャー誌公式Xは「明らかな金目当て」と非難
そんな中、12月19日に性加害問題が新たな局面を迎えた。同日配信の「共同通信」の記事によれば、元所属タレント・田中純弥さんと飯田恭平さんが、SMILE-UP.やSTARTO ENTERTAINMENTなどに対し、計3億ドル(約460億円)以上の賠償を求め、米ネバダ州クラーク郡の裁判所に提訴したという。
なお、同社がジャニー氏の性加害を認めて以降、「被害者側が賠償を求めて提訴したのは初めて」だそう。訴状によると、田中さんは15歳だった1997年、飯田さんは14歳だった02年に、ラスベガスのホテルでジャニー氏から性被害を受けたことなどを主張しているという。
同ニュースを受け、STARTOサイドは公式サイトに「米国における約465億円の賠償を求める訴えについて」と題したお知らせ文を掲載。同社はSMILE-UP.とは「資本関係を有せず、また経営も分離した全く別の法人として設立」したと前置きし、「米国における約465億円の賠償を求める訴え(以下『本件』)については当社は無関係の立場にあり、本件について提訴される理由がないため、大変困惑しております」とのコメントを発表した。
また同日、STARTOが公式X(旧Twitter)にて、同様の内容が記されたテキスト画像をポストしたところ、カルチャーマガジン「BOURGEOIS MAGAZINE」(Bourgeois Culture Magazine)の公式Xアカウントが投稿を引用。「様々なことに憤りを感じることが続いていますが、明らかな金目当ての人たちに負けないでほしい」(19日午後8時台)と被害者たちを非難しながら応援コメントを寄せた。
「同誌は『東京とロンドンの架け橋』をコンセプトに、15年に創刊した雑誌。19年の『BOURGEOIS 5TH TOKYO EDITION』にて、山下智久(20年10月末をもって旧ジャニーズを退所)が初めてメンズカバーを飾り、同号のバックカバーにはSixTONESを起用しています。最新の『BOURGEOIS 12TH ISSUE』(12月15日発売)では、山下、Kis-My-Ft2・藤ヶ谷太輔、女優・広末涼子、吉川愛らがそれぞれ表紙と裏表紙を務めているようです。また同誌のXアカウントは13日に『BOURGEOIS最多特集回数』として、山下、SixTONES(個人含む) 、女優・吉川、南沙良の名前を列挙していました」(同)
SixTONESファンから「二度と関わらないで」と怒りの声
そんな中、前述した通り、性被害たちを「明らかな金目当ての人たち」と糾弾したため、雑誌に登場回数の多いSixTONESのファンからは「被害者の方たちへの二次加害になるのでは? 撤回してください」「最低。もう二度とSixTONESに関わらないでほしい」「社会的倫理観を疑う。今後、推しとは関わりを持ってほしくない」「二度と推しを載せないでほしい。残念で仕方ない」といった、怒りの声が続出。
また、「雑誌の公式アカウントが被害者に対して二次加害をしている」として「STARTO社、所属タレントがこれを許すのであれば大問題」との指摘もあり、当該投稿を「通報した」という報告も見受けられる。
猛批判を浴びている「BOURGEOIS MAGAZINE」だが、21日午後6時現在までに、当該投稿を削除。特に謝罪の言葉はないものの、一般ユーザーから寄せられた投稿内容に対する苦言に対し、「貴重な意見をありがとうございます。おっしゃる通り、関係のない方に飛び火がいくことでした」と反省の弁を述べつつ、「弊社としてはこの件に関して色々思うことがあるので、作品を通して別の方法で発信いたします」と表明した。
SMILE-UP.サイドが、公式サイト上にて、被害者やその家族らに対する誹謗中傷行為について「絶対に止めていただきますよう切にお願い申し上げます」と注意喚起している通り、今後、SNS上での心ない言葉が減っていくことを願うばかりだ。