【サイゾーオンラインより】
女優の比嘉愛未が1月末で約18年所属した芸能事務所ライジングプロダクション(以下、ライジング)を退所した。
比嘉は、昨年大晦日に自身のインスタグラムを更新し、《契約を満了し、退所することとなりました。これまで育て支えてくださった事務所の皆様、そして応援して下さるファンの皆様に心より感謝申し上げます》と報告。
退社日にあたる1月31日更新のインスタグラムでは自然豊かな森林の中での動画を公開し、とくに自身の退社については触れなかったが、2月3日の更新では晴れやかな青空の写真を投稿し、《新たな挑戦、精進してまいります》と綴った。
その時点ですでに所属していたライジングの公式サイトから比嘉のプロフィルは消えており、予定どおり退社したことをうかがわせる。
「1月から『三代目J SOUL BROTHERS/EXILE』の岩田剛典とのW主演の連続ドラマ『フォレスト』(テレビ朝日系)がスタートした比嘉さんですが、ここ数年は映像作品のオファーが途切れず、事務所の稼ぎ頭に成長していただけに退社は『ライジング』にとってもかなりの痛手だと思われます。『週刊文春』(文藝春秋)の2月6日号によると、比嘉は女優としてのステップアップを目指し、以前から4月スタートのNHK連続テレビ小説『あんぱん』でヒロインを務める今田美桜の所属事務所の社長に相談。今田の事務所社長は同誌に対し、今後、比嘉と話し合いを進めることを認めていました」(フリーの芸能記者)
同誌によると、元々ライジングは音楽部門が強かったが、コロナ禍で公演などが軒並み中止に。
民間調査会社によれば、20年11月期には赤字に転落してしまったという。
そのため、事務所はコストカットをせざるを得なくなり、マネジメント体制にほころびが見えはじめることに。その煽りを受けてか、近年の比嘉はなかなか代表作にも恵まれず、周囲に不満を漏らしていたというから移籍を決断したのも納得だが、同社の往時を知る音楽業界関係者はこう語る。
「ライジングといえば、以前は荻野目洋子や観月ありさ、引退した安室奈美恵さん、SPEED、DA PUMP、MAXを次々とヒットさせ、創業者の平哲夫氏が一大で芸能界に大帝国を築いた。事務所の全盛期には稼いだ金を不動産に投資しつつ、所属タレントたちには他の事務所の所属タレントがうらやましがるほどの高給を与えていたもので、隔世の感もありますね。また所属タレントやスタッフ、芸能関係者や制作陣からの人望も厚かったことでも知られています」
もっとも、2000年代半ばからすでにその勢いに陰りが見えはじめていたとの声もある。
「平氏は巨額の脱税事件で01年に逮捕されてしまい、実刑判決を受け2年4カ月の服役後に出所。会社に復帰したものの、そこから徐々に業績は傾いていきました。平氏の脱税事件後も比嘉や三浦大知、バラエティーを中心に活躍している朝日奈央らが売れたものの、所属タレントや役員、社員に対する高額な報酬、給与が経営を圧迫し、コロナでトドメを刺された印象です。保有していた不動産はほぼ売却し、高給の役員や社員はリストラなどで会社を去り、オフィスも移転するたびに縮小。今後も移籍するタレントが増えるのではないでしょうか」(スポーツ紙の芸能担当記者)
また、芸能ジャーナリストの竹下光氏は音楽業界の衰退も同社に暗い影を落としていると指摘する。
「黄金期のライジングは数多くのアーティストを抱えて一大勢力を築いていましたが、当時は利益率の高いCD全盛期でミリオンやダブルミリオンのセールスを記録する国民的なヒット曲も生まれて、音楽業界花盛りし頃でしたからね。それが今では配信やサブスクリプションサービスが主流となり、1曲セールスあたりの単価や利益もだいぶ下がったうえ、国民的なヒット曲もほとんど生み出されることはなくなりましたし、音楽ビジネスを中心に据えていた同社にとっては厳しい時代になったとも言えるでしょう」
荻野目や観月、DA PUMP、MAXら会社の往時に活躍した古株はいまだに在籍してはいるが、近年の稼ぎ頭が退社する中、果たしてここからの巻き返しはなるのか。
(取材・文=サイゾーオンライン編集部)