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日本企業やサークルも出展増! マレーシアがアジアコスプレビジネスの中心地に

ByAdmin

3月 16, 2025 #カルチャー, #海外

サイゾーオンラインより】

 日本のコンテンツが海外で盛り上がりを見せている。“コスプレ”もそのひとつ。今ではコスプレの世界大会が開かれるほどで、伝統的な同人イベントから一歩進んだ、ビジネス革新のフロントランナーとして注目されているのだ。新規ファン獲得のため戦略的な市場展開を実践する日本のコスプレイヤーも現れるなど、同イベントはグローバル市場での協業や投資チャンスを生み出すプラットフォームとなっている。未来の成長分野への参入を検討する企業にとって、必見の現場だ。

日本最古のYouTuberとは?

 世界中で注目されるアニメやマンガ、ゲームなどの日本のサブカルチャー。”コスプレ”も同様で世界中で愛されるコンテンツとして人気を博しているが、日本とは大きく違う独特なスタイルとなっている。そんな中、筆者が最も注目する国のひとつがマレーシアである。

 2025年2月21~23日の3日間、マレーシア・クアラルンプールにあるMines International Exhibition & Convention Centreにて、マレーシア最大級のアニメコンベンション「NIJIGEN EXPO」(https://nijigenexpo.com)が開催された。「NIJIGEN EXPO」を取材し、今のマレーシアの現状をレポートする。

始まったばかりのマレーシア最注目のイベント「NIJIGEN EXPO」

「NIJIGEN EXPO」は2022年1月にスタートした新しいアニメコンベンションで、年に2~3回のペースで開催され、今回で8回目となる。

 規模・来場者数はマレーシアのアニメコンベンションではTOP3に入る。最も人気の高い「Comic Fiesta」が2002年、第2位の規模の「AniManGaki」が2009年にスタートしており、「NIJIGEN EXPO」はまだ歴史の浅いイベントだ。

 一方で「Comic Fiesta」や「AniManGaki」と比べ豪華さが際立っていて、バンプレストやブシロードなどの日本企業や、英語圏で人気のバーチャルYouTuberタレントエージェンシーのVShojoが出展。イタリアやドイツなど他国で活躍するコスプレイヤーを複数誘致し、巨大パネルを配置したブースでサイン会を行った。

 1ホールをまるごと使用し、1000人以上を収容可能な大規模ステージで、海外ゲストやマレーシアのローカルアイドル、コスプレイヤーがパフォーマンスを披露した。コスプレイヤーがパフォーマンスを行えるステージとしては、世界最大級と言えるだろう。

 そんな「NIJIGEN EXPO」では、日本のアーティストが大活躍した。インターナショナルアーティストとして招待されたSHINN UCHIDAさんとケビンばやしさんは、それぞれ長さ6メートルの壁でライブペインティングを実施。3日間かけて迫力ある作品を作り上げた。

 SHINN UCHIDAさんは1年ぶり2度目の「NIJIGEN EXPO」出演で、ケビンばやしさんは初の海外イベント出演。どちらも日本とは違った盛り上がりに非常に喜び、楽しんでいた。

 余談だが、今回の「NIJIGEN EXPO」では、日本の映像制作会社やグッズ制作会社の関係者が視察に訪れ、会場を案内する機会があった。案内した人数は10名以上にのぼり、マレーシアのイベントへの注目度の高さを実感した。

マレーシアは東南アジアのコスプレビジネスの中心?

 世界のアニメコンベンションでは「Artist Alley」と呼ばれるブースがある。これは日本の同人誌即売会における「サークル」と同じで、一般のクリエイターが申し込みできるものだ。

 ここマレーシアの「NIJIGEN EXPO」では、コスプレイヤーのみが集まる「Cosplay Alley」が設置され、70を超えるブースが会場を彩った。多くはマレーシア出身のコスプレイヤーによるブースだが、シンガポール、タイ、フィリピン、ベトナム、台湾、そして日本人のブースも出展していた。ブースの数自体は、「コミックマーケット」や以前レポートした「台湾Fancy Frontier(FF)(https://www.f-2.com.tw)」と比べるとまだ少ない。しかし、東南アジア全体で見ると規模は大きく、東南アジア最大級のアニメコンベンションとされる「Anime Festival Asia (AFA) Singapore(https://animefestival.asia/afasg24/)」でも2024年時点で約50ブース。「NIJIGEN EXPO」はそれを上回り、ほかのマレーシアのイベントでも50〜70のコスプレイヤーブースが集まることは珍しくない。

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 こうした動きの背景には近年、マレーシアにコスプレインフルエンサー専門のマーケティング会社が誕生した影響も大きい。マレーシア国内のコスプレイヤーだけでなく、近隣国のコスプレイヤーにも仕事を提供。SNSを活用したPR案件に加え、マレーシアのイベントに海外のコスプレイヤーを招待したり、逆にマレーシアのコスプレイヤーを他国のイベントに派遣したりする活動を展開している。

 また、InstagramやFacebookで100万人近いフォロワーを持つコスプレイヤーを抱えており、その影響力は非常に大きい。

 こうした動きから、マレーシアがコスプレビジネスの中心へと成長していく可能性は高いと考えられる。

日本のコスプレイヤーがマレーシアを避ける「とある事情」

 では日本人のコスプレイヤーはどうだろうか? 「台湾FF」は多くの日本人コスプレイヤーで賑わっていたが、 「NIJIGEN EXPO」にも日本人コスプレイヤーが少数ながら出展していた。日本人ブースを見たとき筆者は、「マジか!?」と声をあげるほど驚いた。というのも、今までコスプレイヤーブースを見たことがなかったからだ。

 実は、マレーシアのイベントに対して抵抗感を持つ日本のコスプレイヤーは少なくない。

 その理由のひとつが2019年に発生した「コスプレ・イベント参加邦人に対する2度の入国管理局による一時拘束事案(https://www.my.emb-japan.go.jp/itpr_ja/newinfo_12072019.html)」だ。マレーシアのイベントでパフォーマンスを行ったコスプレイヤーが現地当局に拘束され、このニュースは当時、日本のコスプレ界でも大きな話題となった。

 原因はイベント側の不手際により、適切な手続きがされていなかったことにあった。現在では、海外のオファーを受ける際に適切なビザを発行してもらうことが必須となり、この事件をきっかけに世界中のイベントでビザ対応の厳格化が進んだというプラスの側面もある。そのため、マレーシアのイベントでのトラブルは、以前に比べて大幅に減少している。

 しかし、別の視点から見ると、マレーシアのイベントに参加するには今も、いくつものハードルが存在する。ステージ出演やブース出展に関わらず、イベント主催者と密に連携し、ビザ発行や招聘状の準備など、適切な手続きを進めなければならない。加えて、英語でのやり取りや費用負担もあり、こうした参入障壁の高さが、日本のコスプレイヤーがマレーシアでの活動を避ける一因となっていたのだ。

マレーシアのイベントに参加する日本のコスプレイヤーの特徴は…?

 ではなぜ今回、「NIJIGEN EXPO」には日本のコスプレイヤーが参加していたのだろうか? 参加者に話を聞いたところ、すぐに明らかになった。参加していたのは日本から来たコスプレイヤーではなく、マレーシアや他国に移住した日本人のコスプレイヤーだったのだ。

 海外に住む日本のコスプレイヤーは、日本から行くよりもハードルが低い。英語ができるのでイベント側ともスムーズに連絡が取れ、適切なサポートが受けやすい。今回話を聞いたマレーシア在住のコスプレイヤーは現地イベント団体と連携しており、フィリピンから来たという別の日本人コスプレイヤーもイベント側と密にやり取りを行っていたそうだ。

 実は近年、海外に住むコスプレイヤーが海外のイベントで活躍している。移住先の国で活躍する場合もあれば、移住先の近隣諸国のイベントに出演するコスプレイヤーもいる。そのようなコスプレイヤーたちは、海外のイベントへ参加することに抵抗がない。

 少し特殊な例だが、少し前に日本在住のスペイン人コスプレイヤーにマレーシアのイベントの素晴らしさを紹介したところ、さっそく今回の「NIJIGEN EXPO」にブース出展していた。イベント側に連絡をして、適切な手続きを経て来たとのことで「手続きは大変だけど、新たなファンができた」とすごく満足していた。

今後さらに注目のマレーシア×コスプレ

 かつての事件の影響でマレーシアのイベントでは、さすがにまだ日本企業のブースやコスプレイヤーの参加は少ないのでは…? と思っていたが、今回「NIJIGEN EXPO」を取材してみて、これから日本の企業やゲスト、そして日本のコスプレイヤーがマレーシアへ来る機会がどんどん増えるのでは? と感じた。

 なお、マレーシアでは 「NIJIGEN EXPO」以外でも大小様々なアニメイベントが誕生している。例えばクアラルンプールにある「ららぽーと BBCC(ブキッ・ビンタン シティ センター/Bukit Bintang City Centre)(https://recruit.mitsuifudosan.co.jp/shinsotsu/story/bbcc)」では、定期的にジャパンイベントが開催され、コスプレで楽しむ方が増えている。同店には、2024年12月〜5月の期間限定でアニメイト(https://www.animate.co.jp/news/15871)が出店したため、クアラルンプール以外でもアニメイベントが開催されるそうだ。ちなみに筆者はシンガポールに隣接する都市・ジョホール・バールでのアニメイベント開催に期待している。

 日本から参加するコスプレイヤーは急激には増えないだろうが、知り合いのコスプレイヤーはマレーシアのイベント視察に行き、グループでの参加も検討しているとのこと。これだけイベントが増えていれば、私の知らないところで、多くの日本人がすでに参加している可能性もある。

 今後さらにマレーシアに注目していきたいと思う。

(文・写真=DAI)

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