【サイゾーオンラインより】
NEWSの活動と並行し、小説家としても活躍中の加藤シゲアキ。4月6日放送のラジオ番組『SORASHIGE BOOK』(Fm yokohama)では、作家業で「サイン会」を行わない理由について、過去の“トラウマ”が関係していることを赤裸々告白した。
目次
・NEWS・加藤シゲアキ、「サイン会はやらない」と決めた出来事語る
・加藤シゲアキ、過去の“トラウマ”語る
・加藤シゲアキ、「NEWSを守りたくて書いた」デビュー作執筆の裏側
NEWS・加藤シゲアキ、「サイン会はやらない」と決めた小説家デビュー時の出来事語る
番組の前半、2月26日に発売された小説『ミアキス・シンフォニー』(マガジンハウス)に関するお便りを紹介した加藤。リスナーからは「作家・加藤さんにお会いしたいので、サイン会をしてもらいたいです」「多くの人が行けるサイン会をしていただけたらうれしいです」との要望も寄せられた。
しかし、この提案を受けて加藤は「サイン会ねぇ~……。これね~。まあ気持ちはわかるんですけどね、“サイン会はやらない”って決めてしまったことがあってね。今さらだから言えるかもしれないけど」とポロリ。彼は、2012年1月発売の『ピンクとグレー』(角川書店)で作家デビューを果たしたが、当時は同作の発売記念として、抽選で当たった数十名にサインをするという出版イベントのような催しを行ったんだとか。
加藤は「それはしょうがないんですよ」と前置きした上で、イベントを行ったのは、「まだ本を発売した日とかだからさ、読んできてる人はまずいないわけですね」と説明。ファンに名前を聞いてサインをしていたものの、「やっぱりそのタイミングで誰もね、本について聞いてくれなかった」といい、一方でたくさんの人から「『あだ名つけてください』とか、グループのこととか(を聞かれた)。あとは『投げキッスしてください』とか」言われたそうだ。その上で「なんか、それがね……。まあ、言うてしまうと、苦しかったんですね」と、本音をぶっちゃけた。
そして、作家デビューしたばかりだっただけに、「今だったらもう少しそういう余裕があるのかもしれない」と想像した加藤は、「若かりし僕はもう本当に、“生きるか死ぬか”みたいな状態で書いた小説。ここではもう、“アイドルではなく、新人作家として立ち振る舞うんだ”っていう覚悟で」と当時を回顧。
「『そうしなさい』っていうところもあったしね。周りからも、自分でも。“新人作家としてここに立つんだ”って思ってた」中で、ファンから求められたのがアイドルとしての対応だったため、「あのときは(心が)引き裂かれたんですね」と率直な思いを述べた。
NEWS・加藤シゲアキ、過去の“トラウマ”でサイン会開催は「60歳くらいになったらやれるのかな」
とはいえ、「ファンの方が悪いわけじゃない」とフォローの言葉も。サイン会はアイドルとファンが1対1で会話ができるチャンスとあって、シチュエーション的には「やっぱりそうなる」とファンの心情に理解を示した。
ただ、あくまで加藤の場合は「これをやるってことになるんだったら、僕は小説を書けなくなるかもしれない」と思い、その経験から以降は同様の形でのサイン会は実施していないという。
「自分が(小説を)書き続けるためにサイン会をやらなくなってしまったんですよ。やらなくなってしまったというか、やっぱりまだ自分の自信のなさとか(当時は)実際に僕としても確立されてなかったですしね」「だから、サインして(本を)お渡しするっていうことだけだったら、事前にサインして送る(形式)だったらいいなと思って、それはやったかな」とこれまでを振り返りながら、サイン会は「本当はやるべきなんだと思うんですけど。やっぱりそのときのね、まあ言うと“トラウマ”があって(笑)。僕が60歳くらいになったらやれるのかな(笑)」と話すほど、加藤にとっては苦い記憶のようだ。
さらに、「サイン会をやってほしい」というファンの気持ちには寄り添いながらも、「なかなかあのときのトラウマと、心の折り合いがつかなくてですね……。サイン会とかね、握手会とかが、僕が苦手なのがそういうことなのかな。本当は(読者であるファンに)感謝してるしね。お礼も言いたいと常に思ってるんですけど」と説明。
最後には「まあ、いつかできるかもしれない」と前向きな発言もあったが、「僕のトラウマが克服できた際は。いつかね。一生やらないとは思ってない。いつか、いつか、いつか……」と漏らしており、実現するとしてもかなり遠い未来の話になりそうだ。
加藤シゲアキ、「NEWSを守りたくて書いた」デビュー作『ピンクとグレー』執筆の裏側
加藤はデビュー作『ピンクとグレー』について、「“生きるか死ぬか”みたいな状態で書いた小説」だと回顧していたが、当時、彼が同作に着手したのは「NEWSのため」だったとか。芸能ライター・阿部ベア氏が解説する。
「そもそもNEWSは、03年9月のグループ結成発表の段階で9人グループでした。同年12月に初期メンバーの森内貴寛が脱退し、06年までに内博貴、草野博紀もNEWSを離れることに。以降は山下智久、錦戸亮(ともに11年10月7日付で脱退)、小山慶一郎、増田貴久、手越祐也(20年6月19日付で脱退)、そして加藤の6名で活動を続けてきたんです」
その傍ら、手越と増田は06年11月に「Tegomass」名義でシングル「Miso Soup」をスウェーデンでリリース。日本でも「テゴマス」としてユニット活動を行っていた一方で、「加藤はグループ内での自身のキャラクターを確立できずにいると、苦悩していた」(阿部氏)という。
「そんな中、『小説を書きたい』と思い立った加藤が締め切りを言い渡されて必死に執筆していたとき、山下と錦戸がグループから離脱することが決まったんだとか。15年発売のアイドル誌『Myojo』(集英社)のロングインタビュー連載『STAND BY ME~いつもそばにいてくれたね~』内で加藤は、『6人のNEWSを守りたくて書いた』と、打ち明けていましたから、相当悔しかったと思います」
こうして、『ピンクとグレー』は並々ならぬ覚悟で書き上げただけに、加藤としてはサイン会で作品に関する話題が出なかったことに、落胆してしまったのかもしれない。
今回のラジオでの発言を受けて、ネット上のファンからは「サイン会、シゲアキがそこまで言うくらいトラウマになっちゃったのか。作家として命懸けで挑んだのに、つらかったね……」「サイン会でそんな出来事があったんだ。いつかトラウマが払拭できたらいいな」「サイン会でのトラウマがあるなら、やらなくていいと思う」と、加藤の考えを支持するコメントが上がっていた。
近年は『なれのはて』(講談社、23年10月発売)が「第170回直木賞」にノミネートされるなど、作品も高い評価を受けている小説家・加藤。作品のファンも多く存在しているため、そろそろ読者と会うことも考えてみてほしいところだ。