【サイゾーオンラインより】
最新の全国週末興行成績ランキング(興行通信社調べ、6月13~15日)で、ディズニーの実写映画『リロ&スティッチ』(6月6日公開)がV2を達成した。
目次
・3位初登場の『フロントライン』、映画ライターが語る“見どころ”
・5位初登場の『ドールハウス』、宣伝の文言に賛否
・『名探偵コナン 隻眼の残像』、139億突破でシリーズ歴代2位に
・全国映画動員ランキングトップ10(6月13~15日、興行通信社調べ)
3位初登場の小栗旬主演『フロントライン』、映画ライターが語る“見どころ”とは?
6月16日発表の全国週末興行成績ランキングで首位をキープした『リロ&スティッチ』は、同題ディズニーアニメーション(日本では2003年公開)の実写版。上映開始から2週目の週末を迎えても3日間で観客動員31万3000人、興行収入4億5500万円をあげ、累計興収は12億円を超えた。
前回のランキングで3位スタートを切っていた『国宝』(6月6日公開)は、今回2位に上昇。小説家・吉田修一氏の同題原作(朝日新聞出版)は歌舞伎界の人間ドラマを描いた作品。吉沢亮主演で実写化され、上映開始から2週目の週末も3日間で動員31万人、興収4億5100万円を記録し、累計興収は12億円間近となっている。
3位には小栗旬が主演を務める『フロントライン』(6月13日公開)が初登場。20年2月に日本で初めて新型コロナウイルスの集団感染が発生した豪華客船「ダイヤモンド・プリンセス」で起きた実話をもとに、災害医療専門の医療ボランティア的組織「DMAT」らが奮闘する姿を描いたオリジナル作だ。
DMAT指揮官・結城英晴を熱演した小栗旬のほか、松坂桃李、池松壮亮、窪塚洋介、森七菜、桜井ユキ、美村里江、光石研、滝藤賢一、吹越満ら豪華キャストが集結。監督は『生きてるだけで、愛。』(18年公開)などで知られる関根光才氏が務め、『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』シリーズなどを手がけてきた増本淳氏が企画・脚本・プロデュースを担当。
全国366スクリーンと大規模で封切られ、初日から3日間で動員25万1000人、興収3億4700万円をマークした。
同作について、映画ライターのヒナタカ氏は以下のように語る。
「増本氏は、ドラマ『白い巨塔』(2003年10月~04年3月)や『劇場版コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命-』(18年)などの医療もののほか、福島第一原発事故を追うNetflixドラマ『THE DAYS』(23年)も手がけており、『新型コロナウイルスを事実に基づく物語としてオリジナル脚本で映画化した日本で初めての作品』と銘打たれた本作を手がけるのも必然的なキャリアの持ち主。今回も綿密な取材に基づき取り組んだことは、とことん当時の現場の“リアル”を描く本編から伝わるでしょう。ネット上の反響を見ると、前例のない事態に最前線で立ち向かう人々の姿から『シン・ゴジラ』(16年)を、仕事にまつわる群像劇かつ社会問題の提起とエンタメ性を兼ね備えている様からは『ラストマイル』(24年)との共通点を挙げる声も多く、大衆向けの映画としての完成度の高さがわかります」
ヒナタカ氏いわく、「今作にはいわゆる“災害パニック”もののような派手な展開はない」というが、高い表現力からハリウッドなどでは標準になりつつあるデジタルシネマカメラ「ALEXA 65」が日本の劇場用長編映画で初めて使われており、「スクリーン映えするリッチな画と没入感も見どころ」だそう。
5位初登場の長澤まさみ主演『ドールハウス』、宣伝の文言に賛否
そんな『フロントライン』と同日公開の『ドールハウス』(長澤まさみ主演)は、初登場5位にランクイン。『ウォーターボーイズ 』(01年)や『スウィングガールズ』(04年)などの矢口史靖氏が監督・原案・脚本を務める今作は、娘を亡くした主人公・鈴木佳恵(長澤)が骨董市で購入した人形に愛情を注ぐことで癒されていくが、やがて夫・忠彦(瀬戸康史)との間に新たな娘・真衣(池村碧彩)が生まれて成長していく中、奇妙な出来事が起こるようになり……という内容。
全国327スクリーンで上映を開始し、初日から3日間で動員17万4000人、興収2億4200万円を記録。鑑賞済みのネットユーザーからは「しっかり怖くて面白い」「亡くなった子どもの代わりに日本人形……なんてありきたりな設定、ストーリーっぽいのに上手く作られている」「予想できない展開で突っ込みどころも多いけどそれが面白いし、テンポもよかった」などと評価されている。
「SNS上では『怖い』『王道の人形系ホラー』であることが話題となっている印象です。宣伝では『ドールミステリー』という触れ込みがされていて、『ホラー』という単語が避けられていることも特徴でしょう。『ホラーと言うと、見る人が減ってしまうのはわかる』『ちゃんと怖いから注意喚起のためにもホラーって言ったほうがいいのでは?』などと、宣伝の文言には賛否両論がありますが、とにかく本編が大好評なのはホラーファンとしてはうれしい限りです」(前出・同)
なお、『ドールハウス』には「ホラーの定番といえる展開を踏みながら、フレッシュなアイデアがたくさん込められている」(同)とか。
「予告編ではギャグにも見える『日本人形をMRIで検査する』場面に、最も戦慄したのもうれしい驚きでした。筆者が公開初日の夕方に見に行った際、中高生や20代の若者が多く、しかも時折、客席のあちこちから『怖すぎて悲鳴が上がる』といった願ってもない環境で、やはり映画館で体験するホラー作品の需要を強く感じました。
日本のホラー映画はなかなか厳しい評価が寄せられることも多かったのですが、昨年公開の『サユリ』は絶賛を浴びましたし、『ドールハウス』と同日公開の『きさらぎ駅 Re:』、先週公開の『見える子ちゃん』も大好評を得ています。今後は7月25日に『事故物件ゾク 恐い間取り』、8月8日に『近畿地方のある場所について』、そして8月29日に『8番出口』と、若者に訴求する日本のホラー映画が立て続けに公開されるので、さらなる盛り上がりに期待したいですね」(同)
『名探偵コナン 隻眼の残像』、139億突破でシリーズ歴代2位に!
そのほか、今回6位のアニメ映画『名探偵コナン 隻眼の残像』(4月18日公開)は、累計興収139億円を突破。国内で上映された歴代映画の興収ランキングで見ると、『劇場版 呪術廻戦 0』(21年公開/最終興収138億円)、『トップガン マーヴェリック』(22年公開/最終興収138.1億円)、『名探偵コナン 黒鉄の魚影』(23年公開/最終興収138.8億円)を抜いて19位まで上昇。「劇場版名探偵コナン」シリーズにおいては、24年公開の『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』(最終興収158億円)に次ぐ歴代2位の好成績となっている。
一方、6月20日にも複数映画の公開が予定されているが、早川千絵監督の長編映画で「第78回カンヌ国際映画祭」のコンペティション部門に唯一の日本映画として出品されて話題の『ルノワール』(鈴木唯主演)や、主演に大橋和也(なにわ男子)&畑芽育、共演に木村慧人(FANTASTICS)、山中柔太朗(M!LK)、大久保波留(DXTEEN)、NAOYA(MAZZEL)、矢吹奈子(HKT48やIZ*ONEの元メンバー)、佐藤大樹(EXILE、FANTASTICS)といったアイドルが多数起用されている『君がトクベツ』などが次回のランキングにどう影響してくるか、注視したい。
全国映画動員ランキングトップ10(6月13~15日、興行通信社調べ)
1位:『リロ&スティッチ』
2位:『国宝』
3位:『フロントライン』(初)
4位:『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』
5位:『ドールハウス』(初)
6位:『名探偵コナン 隻眼の残像』
7位:『劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪ TABOO NIGHT XXXX』
8位:『劇場版総集編「呪術廻戦 懐玉・玉折」』
9位:『マインクラフト/ザ・ムービー』
10位:『見える子ちゃん』