• 金. 7月 11th, 2025

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“TOKIO廃業”がもたらしたタレントビジネスへの不信感 浮き彫りになった個人事務所の”限界“

サイゾーオンラインより】

 複数のコンプライアンス上の問題行為が発覚したことで、無期限活動休止となった国分太一。これを受けて、国分が所属していたTOKIOは解散となった。また解散に伴い、TOKIOのメンバーで構成されていた株式会社TOKIOは残務整理後に廃業することを発表。現在メンバーは謝罪行脚に追われているというが、TOKIOとして関わっていた様々なビジネスへの影響も計り知れない。

「『辞めよう』という気持ちはない」グループ愛

 1994年に旧ジャニーズ事務所に所属するアイドルグループとしてメジャーデビューしたTOKIO。1995年には日本テレビ系『ザ!鉄腕!DASH!!』がスタートし、農業や漁業を手掛けるようになる。番組内企画「DASH村」のロケ地だった福島県とのつながりが深まり、東日本大震災後には、同県のPR広告にも出演し始めた。

 2018年にはメンバーだった山口達也が強制わいせつ容疑で書類送検され、TOKIOを脱退。さらに2021年3月には、長瀬智也がグループを脱退するとともに芸能界を引退。残された城島茂、国分太一、松岡昌宏の3人は、ジャニーズ事務所から独立し、同年4月に株式会社TOKIOを設立。城島が社長に、国分と松岡が副社長に就任した。

 独立後はさらに福島県との関係が深まり、2021年4月1日には、福島県庁企画調整部企画調整課内に株式会社TOKIOと自治体や関連機関との橋渡しを行う窓口となる「TOKIO課」が設置されたほどだ。

 しかTOKIOが解散となると、TOKIO課もその形を変えざるを得なくなりそうだ。福島県庁企画調整部は6月25日、城島・松岡と新たな関係を築いていくと発表したが、少なくともTOKIO課という名称の変更は避けられない。

旧ジャニーズ事務所の「解体」がもたらした余波

 今回の騒動で浮き彫りになったのは、企業や自治体がタレントとビジネスを展開することのリスクであろう。昨今の芸能界では1回の不祥事でタレントがキャリアを棒に振ることも多く、そのビジネスパートナーもまた簡単に不祥事に巻き込まれてしまう。今回の福島県は、まさにその一例だといえる。元テレビ朝日プロデューサーの鎮目博道氏が、芸能事務所とビジネスのあり方を指摘する。

「地方都市にとって、知名度の高いタレントの集客力は大きな魅力です。それと同時に、タレントにとっても特定の地域に根ざして活動することで、仕事の幅を広げることができる。昨今は全国区の売れっ子がローカル局の番組に出演するケースも増えていますし、地域と密着したビジネスがより重要視されるようになっていました。

 特に株式会社TOKIOは、“県”という大きな自治体とコラボしてビジネスを展開していたトップランナーだったわけですが、それが今回の不祥事で崩れてしまったことの影響は大きいでしょう。『タレントの起用はリスクがある』というイメージが印象付けられ、今後タレントの起用に慎重になっていく可能性もあると思います。今の時代は、過去の不祥事が掘り返されることもありますし、よりリスクは大きくなっているとも言えます」

 株式会社TOKIOのように、大手事務所ではなく“独立”したタレントとのコラボとなると、余計にリスクが大きくなる側面もある。

「これまで大手の芸能事務所が信頼を得てきた背景には、所属タレントが不祥事を起こして仕事ができなくなった際に、代わりのタレントを立てるなどして損害を最小限に食い止めることができたことがあります。しかし、それが個人事務所となると、代役を立てることもできないし、今回のTOKIOのようにいきなり廃業することもありうる。大手事務所であれば、1人の所属タレントの不祥事で簡単に事務所がなくなるなんてことはありえませんが、個人事務所は決断がよくも悪くも属人的です。ビジネスとしてみた場合、個人事務所は信頼に足る存在ではないということを証明してしまったとも言える。他の個人事務所へのネガティブな影響もありえます」(同)

 近年、大手事務所から独立するタレントは珍しくないが、その流れに拍車をかけたのが、旧ジャニーズ事務所の創業者であるジャニー喜多川氏による性加害問題だ。旧ジャニーズ事務所が解体され、マネジメント業務はSTARTO ENTERTAINMENTへと移行したが、そのタイミングで多くのタレントが独立。他の大手事務所にもその流れは波及していった。

「ジャニー氏の騒動も含めて大手事務所にいろいろな弊害があったのは事実ですが、個人事務所ではビジネスを守るのが難しいという脆弱性があるわけです。過去の大手事務所では、成功して信頼を積み重ねていたベテランのタレントがいて、そのベテランの信用をもって新人を売り出すことができた。新人に何かトラブルがあれば、ベテランが責任を取ることもありました。そういう意味ではいわゆる“師弟関係”というものは、よくできていた仕組みだったと思います。しかし、個人事務所には、そういった仕組みはない。タレントが自由に活動できるのはいいことですが、信頼を得てビジネスをするのは難しい。

 今回の事件をきっかけに、改めて独立するタレントはビジネスを展開するうえでの“責任”が伴うことを、改めて認識する必要があるでしょう。同時に、芸能界としてもタレントを起用する側としても、大手芸能事務所のメリットを今一度見直すことも重要だと思います。タレントが不祥事で活動できなくなることに対するリスクマネジメントについて、業界全体でしっかりと考えていかなくてはいけないということを突きつけた事件だと思います」(同)

 単なるタレントの不祥事では済まされない、今回の国分太一の騒動。日本の芸能界にとって、重要な教訓としなくてはならない。

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(取材・文=サイゾーオンライン編集部)

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