中学受験をリアルに描く連続ドラマ『二月の勝者-絶対合格の教室-』(日本テレビ系、土曜午後10時~)。舞台は、スーパー塾講師・黒木蔵人(柳楽優弥)が校長を務める中堅中学受験塾「桜花ゼミナール吉祥寺校」。11月13日放送の第5話では、成績トップの生徒・島津順(羽村仁成)が父親(金子貴俊)から「教育虐待」ともいえる恫喝に晒されていることが明らかになった。Twitter上では父親の暴君ぶりに恐怖や憤りのコメントが続出。一方で、順と海斗(伊藤駿太)の友情に胸を打たれた視聴者も多かった。
あらすじ
11月20日放送の第6話では、桜花の講師たちの憩いの場であるスナック「井の頭ボウル」オーナーの一人娘で、黒木とも知り合いの大森紗良(住田萌乃)が桜花にやってきた。
紗良は制服でも私服でもよい自由な校風の二葉女子学院(実存する雙葉中学校と女子学院中学校をかけ合わせて表現したと思われる)に通っている。Aクラスで学校は不登校の柴田まるみ(玉野るな)は、紗良から二葉女子学院の話を聞き、自由な校風に憧れを抱く。
二葉女子学院は偏差値65の難関校だが、まるみは自習室を使うほど勉強に意欲的になり、桜花の夏合宿への参加を決め、成績上位者のΩクラス選抜テストにも見事合格。今回、Ωクラスに入れたのは、まるみと、第5話でクローズアップされた海斗だった。
夏合宿では、Ωクラス入りしたばかりのまるみに、おしゃれが大好きで明るい性格の直江樹里(野澤しおり)が話しかける。フレンドリーな樹里に戸惑いつつも徐々に打ち解けていくまるみだが、Ωクラスの授業のスピードや、自分と同じ学校を志望する樹里の算数の才覚に圧倒されてしまい、夏合宿から帰宅すると母の前で大号泣する。
外向的で算数問題をパズル感覚で解いていく天才肌の樹里と、内向的で丁寧に努力するまるみ。一緒に自習している時、まるみは「なんでまるっきり逆の私なんかと……」「私、樹里と違う!」と、羨望や劣等感をぶちまけて、飛び出してしまう。
まるみを追いかけた樹里は「まるみは伸びしろしかないじゃん!」と叫び、樹里もまた、努力家でΩクラスに上がってきたまるみに尊敬の念を持っていた。お互いの気持ちをぶつけ合った2人は、一緒に二葉女子学院を目指すことを約束する。
まるみと樹里の「化学反応」を仕掛けた黒木
前回の第5話に続き、第6話も、11~12歳という年齢の子どもたちにとって「友達」という存在が、良くも悪くも、いかに大きくて重要なものであるかを再認識させられるようなエピソードだった。
まるみと樹里や、第5話の順と海斗のように、お互いを認め合える関係は理想的であり、頼もしくて、微笑ましい。言わずもがな、Twitter上ではまるみと樹里の友情に大喝采で、「泣ける」「合格してほしい」などのコメントが相次いだ。
まるみに二葉女子学院の話を聞かせることを紗良に依頼し、夏合宿の部屋割りや授業の席替えを決定したのは、すべて黒木だ。黒木は、まるみと樹里という「タイプの違う2人のかけ合わせ」に「大きな化学反応を期待」し、きっかけを与えていた。
振り返ると、今回のまるみと樹里にしろ、これまでスポットが当たった生徒たちにしろ、黒木から情報や言葉は与えられるものの、行動しているのは生徒自らの印象だ。11~12歳の子どもが「自分で決める」ことの重要性を、黒木はよく知っているのだろうな、と見ていて思う。
黒木のバックボーンも徐々に明らかになりつつある。かつて不登校児だった紗良は近所の無料塾に通い、そこで黒木と出会い中学受験を勧められたのだという。おそらく繁華街のビルの一室で営まれている無料塾「スターフィッシュ」のことだろう。
これまでの放送でも黒木や紗良がスターフィッシュを訪れる場面が幾度かあった。黒木は髪やネクタイを崩し、表情も豊かで、桜花で校長として辣腕を振るうときとは随分と様子が違った。
中学受験塾に通う生徒たちの親を「ATM」と言ってはばからず、塾講師は教育者ではなく「サービス業」とも言い切る黒木。しかし、大手名門塾「ルトワック」を辞めて敢えて中堅中学受験塾「桜花ゼミナール」の校長に就いたことと、お忍びで無料塾を訪れ勉強を教えていることは、彼の中で密接なつながりがあるのだろう。
11月27日放送の第7話では、塾に通いながらも遊んでばかりの男子生徒にスポットが当たる予定だ。