――あらゆる世界で激動続きだったこの1年を、個性豊かな著名人の方々に振り返っていただくコーナー「あの人が2021年を振り返る」。今回は、国内最大規模のYouTube専門ニュースサイト「ユーチュラ」編集部に、「2021年印象に残ったYouTubeニュースベスト3」と「2022年に注目しているYouTuber3組」を聞いた。
2021年のYouTube関連ニュースベスト3
第1位:今泉佑唯と結婚したワタナベマホトの逮捕&引退
ワタナベマホトは、2021年1月21日に元欅坂46・今泉佑唯との結婚と妊娠をYouTube動画で発表。人気YouTuberとアイドルの結婚は大きな注目を集めましたが、同日夜に行われた暴露系YouTuber・コレコレの生配信にて、マホトが未成年女性に“わいせつ画像”を送るよう要求していたことが発覚。お祝いムードは一転し、マホトへの批判が飛び交い、ネットは大炎上となりました。
翌22日には本人が事実関係を認め、所属事務所・UUUMが契約を解除。同時に、マホトはYouTuber引退をTwitterで宣言しました。なお、その後は3月17日に児童売春・ポルノ禁止法違反(製造)の疑いで逮捕され、6月には罰金50万円の略式命令を受けています。
マホトはYouTuber時代、チャンネル登録者200万人を誇っており、実は日本を代表する人気YouTuber・ヒカキンと並ぶ最古参の1人。多数のYouTuberから“兄貴分”として慕われていた存在だったのです。そんなYouTube界での知名度と、不祥事発覚が結婚発表と同日というタイミングのセンセーショナルさから、今年の1位に選びました。
ちなみに、マホトは19年にも同居女性への暴力で逮捕(のちに不起訴処分)されており、avexからメジャーデビューが予定されていたものの、立ち消えになる騒ぎを起こしています。
第2位:水溜りボンド、コムドットら「YouTuber31人パーティ」騒動
6月、新型コロナウイルス感染拡大防止による緊急事態宣言下にもかかわらず、複数のYouTuberが集まり、深夜までパーティを開いていたことが「週刊文春」(文藝春秋)の報道により発覚。水溜りボンドやコムドットら、著名なYouTuberばかりだったことから、ネット上で大バッシングを浴びることとなりました。
報道後、パーティに参加したほとんどのYouTuberが謝罪動画を投稿。これによりYouTubeの「急上昇」欄が謝罪動画で埋め尽くされるという異例の事態にも発展しています。また、ヘラヘラ三銃士、えびすじゃっぷのように、素直に謝罪をしなかったことでさらに批判を招く展開も。
そんな中、最も影響が大きかったのは、パーティ会場となった飲食店を経営していた、水溜りボンドのトミーでしょう。参加者のほどんどが数日から数週間の休止を経て復活した一方、トミーは報道後から半年間近く活動を休止し、12月2日にようやくYouTubeに戻ってきています。話題性の高さとコロナ禍を象徴するエピソードということで、第2位に選びました。
第3位:人気YouTuber・ヒカキン、チャンネル登録者数1000万人を達成!
9月にチャンネル登録者数995万人の時点で、「1000万人を突破するまでYouTubeで生配信をし続ける」と宣言したヒカキン。当初、ネット上には「無謀すぎる」との声もあったものの、フタを開けてみると、配信スタートからわずか15分で1000万人を達成し、ヒカキンは悲鳴にも似た歓喜の叫びを上げていました。
ユーチュラがサイトを開設した15年頃、ヒカキンの動画は低評価率が30%を超えることもザラで、実は“アンチ”の多いYouTuberでもあったのです。それから数年、周りのYouTuberが次々に炎上騒動を起こす度、炎上とは無縁のヒカキンは評価が上昇。現在では、動画の低評価が5%以上になることが珍しいほどで、いつからか、ネット上で「聖人」と呼ばれるように。
編集部では、そんな努力の人であるヒカキンの快挙に心を動かされたという声が多かったことから、今年の第3位に選びました。
2022年の「注目YouTuber」3組を発表!
平成フラミンゴ:アラサー女性独身コンビ、チャンネル登録者数が急増
平成フラミンゴは、「RIHO」と「NICO」のアラサー女性独身コンビ。2人はTikTokからYouTubeに活動の場を広げたYouTuberで、“やってみた”系の体を張った企画に加え、ドッキリ動画、高校生や社会人などの“あるある動画”など、幅広いジャンルの動画を投稿。軽妙なトークで特に若い世代から人気です。
8月には、同月内にチャンネル登録者数50万人を突破できないと「引退する」と宣言し、ネット上で大きな注目を集め、瞬く間に登録者が急増。12月までに160万人も登録者を増やしました。ユーチュラ調べによると、活動開始から登録者数200万人達成までの日数は、歴代13位を記録しています。
今年はコムドットをはじめとする“新世代YouTuber”が何組も活躍しており、平成フラミンゴもその一角。来年はさらに飛躍する1年になりそうです。
コレコレ:UUUMと資本業務提携を発表し、不安の声も……
視聴者から寄せられた“相談”を、YouTubeの生配信で解決するスタイルが人気のコレコレ。恋人や友人とのいざこざから、YouTuberや芸能人が関わるトラブルまで、当事者の証言をもとに、視聴者の集合知で問題を解決していきます。しかし、当事者たちが事実を言っているのかはまた別の話で、発言の矛盾をつく「人狼ゲーム」のような展開になることもしばしば。コレコレの配信はリアリティーショーであり、参加型のワイドショーでもあるのです。
前述したマホトを始め、これまで数々のYouTuberがコレコレに不祥事を暴かれており、「YouTuberに最も恐れられるYouTuber」といえる存在。そのため、コレコレを批判的に見る人も多いものの、年々、その影響力は強まっているのも事実。今年は生配信の同時接続数が30万人を超えたこともあり、YouTube外のメディアで取り上げられる機会も増加しました。
一方で、コレコレの所属事務所・ライバーが、YouTuberの大手事務所・UUUMと資本業務提携したことを受け、ファンからは従来のスタイルが継続できるか、不安の声が上がることに。今のところ大きな影響は出ていないようですが、来年もコレコレによってYouTuberの不祥事が暴かれていくのか、それともコレコレ自身に何かしら変化が起きるのか……注目しています。
岡田斗司夫:ひろゆきが火付け役「切り抜き動画」ブームに乗る
“オタキング”として親しまれる評論家の岡田斗司夫氏は、自身のYouTubeチャンネルでアニメの考察や雑学などの動画を投稿。中でもジブリアニメの解説が人気で、普通に見ていれば気づかないような細かい部分の考察が、ネット上で評判を呼んでいます。
20年秋、ネット掲示板「2ちゃんねる」創設者のひろゆき氏は、自身が公開している動画のワンシーンを第三者が切り取って短くまとめる「切り抜き動画」を解禁。21年のYouTube業界でブームを巻き起こしました。その波にうまく乗ったYouTuberの一人が岡田氏なのです。
岡田氏のYouTubeチャンネル自体は7年前に開設されていますが、これまであまり注目されず。それが21年5月に切り抜き動画を“黙認”すると、TikTokやYouTubeで拡散されるようになり、チャンネル登録者が一気に倍増。その勢いは、現在でも衰えていません。
一方で、岡田氏といえば15年に女性問題を週刊誌にすっぱ抜かれ、炎上した過去も。現在の視聴者は若年層が多いためか、この一件が掘り起こされることはほとんどないものの、今後人気が出た時にどうなるか、気になるところです。
■取材協力:ユーチュラ