家電メーカー・SHARPの公式Twitterアカウントが「シャープさん」と呼ばれてネット上で人気を集めるなど、企業や団体のPRにおいて、今やSNSは欠かせない存在だ。その一方、SNSでの不用意な発信が大きな批判を集め、謝罪に至るような例も少なくない。2021年も、企業や団体のアカウントの“炎上”が多数発生してしまった。
その中でも、尾瀬国立公園のガイド団体で構成される協会「尾瀬ガイド協会」の公式Twitterアカウントは、差別的な投稿を繰り返すなどして、ネット上で問題視された。
「新型コロナウイルスの感染が拡大していた8月21日、同アカウントは『例え、都市部がほぼほぼロックダウン状態になったとしても、貴方の心と尾瀬の湿原は広大です。アフガニスタンやミャンマー、ロヒンギャに比べれば幸せです』(原文ママ、以下同)と投稿。これが『差別的な投稿』だと大きな批判を集めると、同アカウントは過去にも『現在、たくさんのお花が開花中!まるで、女性専用車です』『貴方だけにこっそりお伝えします なぜ、「ベラルーシは美人が多いのか?」お母さんもお父さんも美人(イケメン)が多いからです』などと投稿していたことがわかり、さらなる炎上へと発展しました」(芸能ライター)
フォロワーは5,000人にも満たないアカウントだったものの、これらの投稿に対して「令和の日本でこんなPR投稿を見るとは思わなかった」「尾瀬自体は魅力的なのに、こんな考えの人がガイド協会にいると思うと、行きたくなくなる」「極めて差別的で不快極まりない。尾瀬の素敵な思い出が、このツイートに塗り替えられて残念」といった批判が噴出した。
この問題を受け、同協会は9月2日、公式サイトに謝罪文を掲載。弁護士関与のもとに問題の調査を行ったことや、今後の対策が明記されており、「そもそも謝罪文を出すようなことをするな、という話ではあるものの、真摯に対応していることがわかる」「よくある“謝罪文”とはレベルが違った。お手本のよう」「差別発言はもちろん許されないけど、反省してやり直せる社会であってほしい」などと、ネットユーザーからは感心の声が上がることに。「コロナ禍が落ち着いたら、尾瀬に行ってみようと思う」といった声も寄せられ、徐々に信頼を回復しているようだ。
一方、謝罪をしてもさらなる批判を集めてしまったのは、DVDやブルーレイ、本のレンタル及び販売を行うTSUTAYAのフラッグシップストア「SHIBUYA TSUTAYA」のTwitterアカウントだ。
「同アカウントでは、9月22日に発売された雑誌『Tarzan』(マガジンハウス)の販促企画として、表紙を飾ったSnow Man・目黒蓮の写真パネルを設置したと告知。客がビニールシート越しに霧吹きで水を吹きかけ、汗を再現するコーナーとのことで、『汗すらも美しい #目黒蓮 さん…それを体感していただけるように、霧吹きを用意してみました…』と投稿されたが、ファンの間で『性的な消費に見えて気持ち悪い』『男女逆なら大炎上だよ。なぜ男ならいいと思ったの?』『見ていて気分が悪い。目黒くんの目に留まってほしくない』などと批判が噴出。翌23日、同アカウントは謝罪文を出す事態となりました」(同)
この謝罪文でSHIBUYA TSUTAYA側は「性的な表現を意図したものではございません」と弁解。しかし、「何が悪いのかわかっていない」「受け取り手が悪いってこと?」などとさらなる批判を呼び、「シブツタにはもう二度と行かない」と憤るファンの声も見受けられた。
また、経済系メディア「NewsPicks」の関連会社で、同社の広告などを担当する株式会社アルファドライブ関係者の投稿も、ネット上で物議を醸すことに。
「10月4日、JR品川駅のコンコースに『今日の仕事は、楽しみですか。』と書かれた広告を掲載。同日、アルファドライブのCEOを務める人物が、自身のTwitterで『今日から、品川駅コンコースを全面ジャックして僕らのメッセージを発信していきます』などと宣伝したものの、ネット上では『楽しくなくても働かざるを得ない人もいる』『まるでディストピアみたいだ』『落ち込んでる時に見たら、メンタルやられそう』といった批判が相次ぐことに。翌5日には広告を終了し、親会社であるユーザベースグループの公式サイトに謝罪文が掲載されました」(同)
企業や団体にとって、SNSでのPR活動は新たな可能性を広げてくれるだろう。しかし、一歩間違えるとイメージを大きく毀損し、信頼を失う危険をはらんでいることも、また事実のようだ。