覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。
ムショにいる男子は女子の8倍
新年あけましておめでとうございます。いつも読んでくださってありがとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。
最近はコロナとか大雪とか地震のほかに、なんか「おじいさん」の事件が目立つ気がしますけど、気のせいでしょうか。高齢化社会やから?
まあ、もともと男子のほうが圧倒的に事件を起こしてるちゅうのはあります。2020年現在でムショにいる男子は1万4,850人、女子は1,770人ですから、男子はざっと女子の8倍です。昔はもっと男子の割合が高かったと思いますが、最近は「おばあさんの万引き」が増えてるから、女子の懲役(受刑者)も増えているようです。
※「令和3年版犯罪白書」p52「2-4-2-6図 入所受刑者の罪名別構成比(男女別)」
「上級国民」の収監先は?
瑠美が気になるおじいさん事件その1は、池袋で母娘を死なせた90歳のおじいさんです。去年の秋に収監されていたことがニュースに出てましたね。
おじいさんの自宅に嫌がらせの手紙とかが来てたそうで、収容先とかも公表されないようです。普通は初犯の重大な交通事故の加害者は交通刑務所に収監されます。関東なら千葉の市原刑務所かなと思いますが、おじいさんやから医療刑務所かなとも思います。医療刑務所は、国内に4カ所、関東に1カ所しかないです。関東は、昔のハチケイ(八王子医療刑務所)が2018年から「東日本成人矯正医療センター」になってますね。
ちなみに交通刑務所は、「単にクルマを運転してて事故った人」が対象ですから、コワモテ系だけでなく「このワシが逮捕されるなんて納得できひん」みたいな、まったく反省の色がない大学教授や弁護士さんとかのエリートさんもいてると聞いてます。
「飛び出してきた被害者が悪い」みたいなのは、気持ちはわかりますが、やっぱりドライバーが気をつけないとです。瑠美も毎日運転してるので、気を引き締めていきたいものです。
もうひとつ、「コカインおじいさん」の事件ですね。18年7月に、デートクラブで知り合った女性に覚醒剤入りの日本酒を飲ませて死亡させた逮捕時72歳の税理士さんです。自分もクスリ(違法薬物)をやってるそうで、いいトシしてキメセク好きってインパクトありすぎ。
被害者は、おじいさんの家から友だちに「いまコカイン(を)おやじにすすめられてます」とかLINEで送っていて、そのあとに亡くなっています。ちなみにコカインは覚醒剤よりお高いので、セレブ感がありますね。
おじいさんは殺人やなく傷害致死で起訴されて、去年の7月に懲役9年の判決を受けて控訴したそうです。まさに「逆ドン・ファン事件」で、裁判所は直接証拠がないのに「覚醒剤を日本酒に入れて飲ませた」と認定しました。
かばうわけではないですが、堂々と無罪を主張して控訴してるのに、ネットとかで「反省してない」とか言われてて、それはちゃうやろと思いました。自分的に無罪なら反省しようがないですから。
このまま最高裁までがんばって、未決勾留期間を少しでも延ばす感じですかね。未決なら自腹でお弁当やお菓子を買えますし、手紙も毎日書けますから。この裁判も注目です。
和歌山カレー事件や工藤會も直接証拠がないまま死刑判決
あと、紀州のドン・ファンは被害者ですが、これも気になっています。当時の奥様がパクられ(逮捕され)てから結構たつのに、まだ裁判が開かれてないことが話題ですね。
報道などによると、ドン・ファンは「ひたすら女好きの変わり者」で、奥様は「お金が欲しい」とハッキリ言うわかりやすい人らしいですが、もしお金が欲しいだけならご主人は殺さないですよね。必ず疑われます。
ちゅうても和歌山カレー事件とか工藤會とかも直接証拠がないまま死刑判決です。ぶっちゃけ奥様は「ええ人」でもなさそうですが、もし無実ならお気の毒です。公判はどうなるでしょうか?