1月期の連続ドラマが続々と初回放送を迎えている。10日にスタートした菅田将暉の「月9」初出演ドラマ『ミステリと言う勿れ』(フジテレビ系)は、初回世帯平均視聴率13.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)を獲得し、好調な滑り出しを切った。今期のドラマについて、ある業界関係者は「総じて“これ”という目玉の作品がない。安全パイで揃えた印象」と語る。そんな中でもヒットが期待できるもの、苦戦が予想される作品を挙げてもらった。
まず、業界内からも期待を寄せられている作品は、先に挙げた『ミステリと言う勿れ』。原作は、「月刊flowers」(小学館)にて連載され、単行本は累計発行部数1,300万部を突破した田村由美氏による同名漫画。観察力・推測力に優れたおしゃべり好きの大学生・久能整(菅田)が、さまざまな事件に巻き込まれながらも、淡々と自身の見解を述べることで事件の謎や人の悩みを解きほぐしていくというストーリーで、ミステリーと会話劇を融合させた異色作だ。
「撮影自体は1年以上前に終了しているようですが、主演の菅田は昨年11月に女優・小松菜奈との結婚を発表したばかりの“新婚”とあって話題性もありますから、結果的に良いタイミングで放送を迎えることができたのでは? また、ドラマには毎回、豪華ゲストが登場することもあり、最終話までその勢いが続くとみられています」(前出・関係者)
このほか、高視聴率が見込まれているのは、嵐・松本潤主演の『となりチカラ』(テレビ朝日系)だそう。同作は、思いやりと人間愛だけはあるものの、何をしても中途半端な男・中越チカラ(松本)が、同じマンションの住人たちの悩みを解決していく社会派ホームコメディー。脚本を手掛けるのは、最終回で40%もの高視聴率を叩き出した『家政婦のミタ』(日本テレビ系、11年放送)で知られる遊川和彦氏だ。
なお、『となりチカラ』には、『家政婦のミタ』で主演を務めた松嶋菜々子も出演し、遊川氏と約10年ぶりのタッグが実現。また、チカラの妻役は、松本とは同じ高校出身の先輩・後輩という関係で、ドラマでは初共演となる上戸彩が演じている。
「松本と上戸で連ドラを作れるだけでも、他局が羨むようなキャスティングですし、『となりチカラ』は丁寧に作られている印象を受けます。また、遊川氏のオリジナル作品ということもあり、“先の展開が読めない”という楽しみもある。おそらく、初回は12%台あたりでスタートし、以降もガクンと数字が下がることはないでしょう。ひとまず、20日放送の第1話に注目が集まります」(同)
また、「週刊漫画TIMES」(芳文社)で連載中の村田椰融氏による同名漫画を実写化した俳優・堤真一主演の『妻、小学生になる。』(TBS系)も10%台の視聴率が狙える作品だとか。
「10年前に亡くなった妻が小学生の姿になって現れるという転生ストーリーで、石田ゆり子、蒔田彩珠、吉田羊らがキャストに名を連ねています。物語は転生の秘密が明かされていくであろう後半にかけて面白くなると思いますし、視聴率の伸びにも期待が持てます。謎解き要素などの話題性まで獲得できれば、2ケタをキープできるかもしれませんね」(同)
一方で、“低視聴率にあえぐ可能性がある”と危惧されているドラマは、いずれも若手女優が主演の2作品。そのうちの1つは、月曜午後10時台の浜辺美波主演『ドクターホワイト』(フジテレビ系、1月17日スタート)だが、前出の関係者は「主演・作品のテイストともに弱さを感じる」と指摘する。
「“月10”は昨年10月期に新設された枠です。せっかくの新枠ですし、まだ視聴習慣がついていない枠とあって、いろいろとチャレンジができそうなものですが、比較的“安パイ”とされる医療ドラマを持ってきたのは少々残念です。第1作の綾野剛主演『アバランチ』はサスペンスアクションで、ハラハラドキドキの展開が視聴者を沸かせました。『ドクターホワイト』には柄本佑、勝地涼、小手伸也、石坂浩二といった演技巧者が揃っているとはいえ、前期の『アバランチ』ほどのインパクトはない。フジにはもう少し攻めの姿勢を見せてほしかったですね」(同)
残る“大コケ”候補作は、11日開始の『ファイトソング』(TBS系)。メインキャストは、21年度前期放送のNHK連続テレビ小説『おかえりモネ』でヒロインを演じた清原果耶、昨年1月期の『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』(TBS系)での好演が話題となった間宮祥太朗、近年はバラエティでも活躍中のSexy Zone・菊池風磨の3人。さらに、朝ドラ『ひよっこ』(17年放送)などを手がけた岡田惠和氏のオリジナル脚本となっている。清原にとっては民放連ドラ初の主演作であり、朝ドラ終了後とあって、期待値はかなり高いが……。
「これまで多くのラブストーリーを手がけ、“大御所脚本家”として知られる岡田氏ですが、最近は全話平均視聴率7.6%で終了した有村架純主演『姉ちゃんの恋人』(フジテレビ系、20年10月期放送)など、不発に終わる作品も増えています。この時代にヒットするような恋愛モノを書けるのかどうか、懸念が残ります」(同)
果たして、今期ドラマでこの予想を裏切る"どんでん返し”は起こるのか、今後の行く末を見守りたい。