菅田将暉が主演を務める“月9”のミステリードラマ『ミステリと言う勿れ』(フジテレビ系)。世帯平均視聴率はこれまで放送された回が全て2ケタ台(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)をマークし好調だが、2月7日放送の第5話で原作にはない“恋愛要素”と思しき描写が複数見られたことから、一部原作ファンから強い反発の声が寄せられているようだ。
第5話では、頭を打って検査入院することになった大学生・久能整(菅田)の元へ、差出人不明の荷物が届く。中には赤いバラとラピスラズリが付いた指輪が入っており、久能は殺人容疑をかけられ逃亡中の友人・犬堂我路(永山瑛太)からの贈り物だと察知。しかし、このプレゼントを見た刑事の風呂光聖子(伊藤沙莉)は、久能には彼女がいるのだと思い込み、寂しげな表情を浮かべる。
その後、風呂光は先輩刑事の池本優人(尾上松也)から「(久能に)花でも持っていったら?」「友だちも彼女もいないなんて、寂しいだろうから」と言われると、「間に合ってると思います……。お花、届いてましたから。多分彼女からじゃないですか?」「指輪も入ってましたし、絶対そうですよ」と返答。さらに、久能に「クリスマスもうすぐですね。久能さん、誰と過ごすんですか?」と問いかけたり、箱の送り主について「心当たりないですか? 例えば、久能さんに片思いしている女の子とか……」と質問したりと、執拗に彼女の存在を探ろうとするシーンが描かれた。
「原作ではこういった描写はなく、そこが俗っぽさのない『ミステリと言う勿れ』らしい世界観を演出しているともいえます。そのため、ネット上では『風呂光さんと整くんの恋愛要素、まったくいらないんですけど……』『え、まさかの恋愛フラグ? やめてくれ』『脚本にガッカリした』『無理やり恋愛要素ねじ込もうとするなよ』などと拒否反応を示す原作ファンが相次ぎました」(芸能ライター)
同ドラマは、これまでも原作とは異なる点が複数指摘され、「勝手に変えないでほしい」などと苦言が寄せられてきた。例えば、第2~3話に登場した白石麻衣演じる犬堂愛珠は、我路の“妹”として登場したが、原作では“姉”であるため、放送後にネット上では「キャストの都合で原作の設定変えないでほしい。姉と妹では全然違う」「この話は姉弟であるからこそ感動的なのに、納得いかない」などと憤る声が続出した。
ただ、今回の恋愛要素に関しては、特段、原作ファンから嫌がられている印象もある。その一因には、原作で久能が「“おじさん”が真実を独占する社会への抵抗」を訴えていたことも関係しているようだ。
“事実は一つかもしれないが、真実は人の数だけある”という持論を持つ久能は、第1話で「僕は偏見の塊」と前置きした上で、「おじさんたちって 特に権力サイドにいる人たちって 徒党を組んで悪事を働くんですよ」と、“一つの真実”以外の考え方を排除し、それが常識であるかのように共有する“おじさん”たちへの抵抗を口にする。
「“月9”ドラマ化にあたり、安易に恋愛要素を入れたフジの制作サイドに対し、一部の原作ファンは、久能が頑なに抵抗している“おじさん”の影を感じてしまったようで、『さては、フジテレビに“おじさん”がいるな?』『月9は恋愛要素がなきゃって、偉い“おじさん”が言ったのかな?』と指摘する声が上がっています。当然、テレビ用に変更せざるを得ない事情はあるのでしょうが、これ以上、原作の芯の部分をブレさせると、さらに視聴者から強い反発がありそうです」(同)
とはいえ、ネット上では「原作の雰囲気を実写でうまく再現している」「原作とは違う部分も目立つけど、ドラマとしては面白い」「原作とドラマは違っていいと思う」という意見もある。第5話の世帯平均視聴率は10.0%を記録し、第4話の13.3%から3.3ポイントも落ち込んでしまったが、今後も2ケタを保てるだろうか。