漫画家・芥見下々氏による人気コミック『呪術廻戦』(集英社)のテレビアニメを映画化した『劇場版 呪術廻戦0』が、全国の映画館動員ランキング(興行通信社調べ、2月5日〜11日)で1位を獲得した。同作は、公開52日間で興収110億円を突破。国内興収歴代ランキングでも27位に浮上した。
現在の国内興収歴代ランキング1位は、2020年公開の『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』で、興収404.3億円という驚異的な数字を記録。続く2位は『千と千尋の神隠し』(01年、316.8億円)、3位は『タイタニック』(1997年、262億円)なので、『劇場版 呪術廻戦0』はまだまだ及ばない。
しかし、10位の『ハリー・ポッターと秘密の部屋』(02年、173億円)には肉薄してきており、ネット上では「歴代トップ10入り」に期待を寄せるファンの声も見受けられる。
なお、今月12日に行われた同作の「大ヒット御礼舞台挨拶」では、23年にアニメ第2期放送が決定したとの発表があり、ファンを熱狂させていた。話題はまだまだ豊富だが、今後どこまで興収を伸ばせるだろうか。
2位は長澤まさみ、東出昌大、小日向文世出演の『コンフィデンスマンJP 英雄編』が公開5週目でランクイン。同作は、公開3週目から『劇場版 呪術廻戦0』に押さえ込まれた形での2位ではあるものの、好調をキープし続けている。
映画レビューサイトでの評価も高く、「期待通り、いや、期待以上の面白さでした!」「コロナ禍なので映画館に行くのは迷いましたが、楽しい作品を見て現実逃避できてよかったです」「見終わったばっかりなのに、もう一回見たい!」といった絶賛が多数。『劇場版 呪術廻戦0』と共に、引き続きランキング上位に君臨しそうだ。
3位は、Hey!Say!JUMP・山田涼介が主演、女優・土屋太鳳がヒロインを務める『大怪獣のあとしまつ』が初登場でランクインした。
同作は、人気ドラマシリーズ『時効警察』(テレビ朝日系)や、映画『俺俺』(13年)などを手掛けた三木聡氏が監督・脚本を務める特撮エンタテインメント・コメディ。ヒーローによって退治された巨大怪獣の死体処理をめぐり、日本政府や官僚が右往左往する姿、特殊部隊・特務隊が奮闘する様を描く。
初登場3位と好成績を収めたものの、ネット上では公開初日から酷評の嵐。Twitterでは一時、同作の関連ワードがトレンド上位に続々と上がるほど“大荒れ”状態となった。
映画レビューサイトを見ても、「ずっと何を見させられているのかわからなかった」「出てる役者たちに同情する。近年まれに見るひどい映画」「この映画を鑑賞する時間はほぼ罰ゲーム。懲役2時間」「下品なレベルの下ネタが出てきて全く笑えず。子どもには見せられない」など、厳しい感想が圧倒的に多い。
一方で、公開から数日たつと「やたらと評価が低いけど、普通に楽しめました」「ハードルを下げてから見たので、世間の評価ほど悪いとは思わなかった」「『時効警察』が大好きなので、最高に面白かったです!」といった好意的な声も上がるように。
SNS上には「山田くんがカッコいいので見る価値あり」「大画面で山田くんの綺麗なお顔が見られてうれしい」など、山田ファンからの書き込みも見受けられ、意外にも興収を伸ばすかもしれない。
4位には、公開6週目の『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』がランクイン。米ソニー・ピクチャーズによると、2月15日の時点で全米興行収入は7億6098万ドルを超え、北米歴代興収ランキングで3位にまで上り詰めたとか。なお、歴代2位は8億5830万ドルを記録した『アベンジャーズ エンドゲーム』(19年)で、マーベル作品の強さを見せつけている。
続く5位には、1980年代に大ヒットした大ヒットアドベンチャーコメディ映画『ゴーストバスターズ』『ゴーストバスターズ2』の続編となる、『ゴーストバスターズ/アフターライフ』が初登場。同作では、かつて「ゴーストバスターズ」の一員だったスペングラー博士の娘家族を主人公に、孫たちがゴーストバスターズとなり、奮闘する姿を描く。
同シリーズではおなじみの「マシュマロマン」が小さくなって登場したり、スペングラー博士の孫・フィービーのビジュアルが博士そっくりだたりと、歴代の『ゴーストバスターズ』ファンにうれしい場面が多々あるようで、映画レビューサイトには「子どもの頃に見た『ゴーストバスターズ』の新作を、大人になって見られるなんてうれしい!」「過去作を見ていた人は、グッとくる場面もあり楽しめた」「出演者と一緒に自分も年を取って、涙腺が緩み涙が止まらなかった」といった感想が上がっており、懐かしみながら作品を見た人も多いようだ。
6位には、世界的人気ゲームを映画化した大ヒットシリーズの最新作『バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』が公開3週目で入った。
7位は、15年の「本屋大賞」に輝いた上橋菜穂子のベストセラー小説をアニメ映画化した『鹿の王 ユナと約束の旅』が初登場。謎の伝染病が流行した世界を舞台に、対立する2つの国家の争いに巻き込まれた戦士と少女の姿を描く。堤真一、竹内涼真、杏らが声優を務めたことでも話題になったが、ネット上の評判はいまひとつのようだ。
特に「原作を読んでいないとストーリーが理解できない」といった感想が多く、「話に着いていくのに精一杯で、楽しむ余裕はありませんでした」「専門用語が多すぎて着いていけない。声優陣はうまいのに……」「一緒に行った子どもが2人とも寝てました」など、厳しい声が散見される。
続く8位は藤原竜也、松山ケンイチ、神木隆之介出演の『ノイズ』が公開3週目でランクイン。351館の大規模公開作品にもかかわらず、初週10位と振るわなかったが、トップ10に3週残る“しぶとさ”をみせている。
一方で、SNSなどには「期待外れだった」「ひどい、長い、つまらない」「設定があり得ない」「ストーリーに意外性がなかった」といった酷評も多い。観賞した人が増えるにつれ、批判も増えてしまうのだろうか……?
9位はペネロペ・クルス、ファン・ビンビンら豪華キャストが“女スパイ”を演じるアクション映画『355』が初登場。続く10位には、松本潤、香川照之、杉咲花出演の『99.9 刑事専門弁護士 THE MOVIE』が公開7週目でギリギリトップ10入りを果たした。
【全国映画動員ランキングトップ10(興行通信社調べ、2月5日〜11日)】
1位 劇場版 呪術廻戦0
2位 コンフィデンスマンJP 英雄編
3位 大怪獣のあとしまつ
4位 スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム
5位 ゴーストバスターズ/アフターライフ
6位 バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ
7位 鹿の王 ユナと約束の旅
8位 ノイズ
9位 355
10位 99.9 刑事専門弁護士 THE MOVIE